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中国茶の王様とも言える鳳凰単叢烏龍茶
- [2018.11.25] Written By 北城 彰(Akira Hojo)
烏龍茶というと台湾の烏龍茶を思い浮かべる人が多いかと思います。事実、HOJOの烏龍茶の中でも台湾の烏龍茶は非常に人気の銘柄です。
反面、中国広東省潮州産の鳳凰単叢烏龍茶は名前が難しい事も伴い、台湾の烏龍茶ほどの認知されていないのが事実です。また、同じ中国の烏龍茶の中でも、安渓産の鉄観音や武夷山産の武夷烏龍茶の方がよく知られております。
しかし、お茶に詳しくなるほどに、鳳凰単叢烏龍茶の虜になる人が多く、私自身、鳳凰単叢烏龍が好きすぎて毎年産地へ通っております。お茶マニアの中には、プーアル茶と鳳凰単叢烏龍茶しか飲まないという人もいるほどで、鳳凰単叢烏龍茶はマニアからも別格のお茶として、特別視されているお茶です。
フルーツの香りがして初心者でも楽しめる鳳凰単叢烏龍茶
鳳凰単叢烏龍茶は、名前が難しい為、渋味が強く素人では理解が難しいお茶と思われがちですが、実際はその逆で、お茶とは思えないレベルで花やフルーツを連想する甘い香りがし、非常に飲みやすいお茶です。産地には樹齢100歳を超えるような巨木が沢山あり、また、無肥料で栽培されているお茶が多い為、味に奥行きがあり、強いコクが感じられます。
微発酵の台湾烏龍茶と重発酵の鳳凰単叢烏龍茶
鳳凰単叢烏龍はその製法から浪青烏龍(中国語でランチンウーロン)と呼ばれます。それに対して、台湾の烏龍茶の製法は揺青(中国語でヤオチン)と呼ばれます。揺青とは文字通り、「揺するように」穏やかな攪拌を行うことで発酵を促すのに対し、浪青烏龍茶の場合、発酵工程の後半にかけて浪(なみ)の文字の如く波のように激しく攪拌することで、発酵をしっかりと行う製法がとられます。したがって、台湾の烏龍茶は一部を除き微発酵なのに対して、鳳凰単叢烏龍茶はしっかりと発酵が行われております。その為、台湾茶は全体に緑色をしているのに対して、鳳凰単叢烏龍茶は緑色に加え、黄色やオレンジ色を呈しております。微発酵で仕上げられる台湾烏龍茶が花の香りがするのに対して、しっかりと発酵を行って作られる鳳凰単叢烏龍茶はフルーツのような香りがします。
炭火による低温焙煎
加え、鳳凰単叢烏龍茶は炭火による焙煎をすることで、透明感のあるより甘い香りを引き出します。ただし、標高の低いエリアの若い木から摘まれた安価なグレードになるとその多くは熱風乾燥機で焙煎されます。実際、同じ温度で焙煎をしても、炭火と熱風では全く異なる結果を生みます。炭火の焼き肉や薪ストーブを想像して貰えると分かりやすいと思いますが、炭火は熱透過性が高いため、お茶を焙煎したときに芯まで熱が透過するのに対し、熱風だと、外から内側に向かって熱がじわじわと伝達します。炭火で焙煎したお茶は、味香りに統一感があり、香りに透明感があります。尚、焙煎という言葉を使うと、コーヒーや焙じ茶のように香ばしい香りを引き出す工程と思われがちですが、鳳凰単叢烏龍茶の焙煎は100℃以下の温度で数時間以上かけてゆっくりじっくり焙煎をします。低温焙煎は鳳凰単叢烏龍茶のフルーツの香りを引き出すために欠くことができない技術です。
高騰しつつある鳳凰単叢烏龍茶の値段
近年、鳳凰単叢烏龍茶の需要は増加傾向にあり、仕入れ価格からも値段の上昇が観察されます。ただし全てのお茶について値段が上がっているわけではなく、ここ数年値段の高騰が顕著に感じられるのは、高級な単株茶や老木から作られる老ソウと呼ばれる種類のお茶です。例えば、2016年、2017年とHOJOで販売していた文種単株については、今年現地での仕入れ価格が3倍になり、あまりに現実離れした値段になってしまったことから、仕入れを断念しました。全体の傾向として、値段高騰が顕著なのは、烏崠山産のお茶に限ってのようです。烏崠山における農家の自宅が巨大化している点からも値段高騰の状況が容易に見て取れます。烏崠山は、鳳凰単叢の最も有名な産地として知られております。烏崠山が有名になった最大の理由は、老木の数が他の山よりも圧倒的に多い為です。ただし、他の山も、烏崠山ほどの数ではないものの老木があり、それら老木から作られたお茶を飲んで見ると、烏崠山のお茶と遜色のない高い品質です。そんなこともあり、私は近年烏崠山周辺の山の老木に注目しております。
烏崠山の烏崠村にある農家の住居:もはや道にまで家がせり出しており、まるで城壁のような外観になっております。
各住宅がビルとかしている烏崠山中腹の農家の住居
写真のお茶の木は烏崠山の中でも非常に有名な銘柄ですが、この木から収穫されたお茶は今年38000元/500gで取引されました。この木一本で7kgの収穫があったため、農家(写真一枚目)はこの木だけで532,000元、つまり869万円の売り上げです。
鳳凰単叢烏龍茶のいれかたが難しいというのは誤り
お客さんと話をしていると、鳳凰単叢烏龍茶はいれかたが非常に難しく、上手に美味しくいれられないという話を聞きます。実際、飲んで見ると非常に渋い鳳凰単叢烏龍茶によく出くわします。実は渋いお茶はどのような淹れ方をしても渋く、それはいれかたの問題ではなく、原料に問題があります。一般に、標高の高い茶園や老木の場合、お茶が摘まれるのは春1回のみですが、低地にある大規模な茶園産のお茶は、何度もお茶摘みが行われ、夏や秋摘みのお茶も烏龍茶に加工されます。夏や秋に摘まれたお茶は、春茶には含まれない成分が含まれるため非常に渋く、これは烏龍茶に限らず、どのようなお茶に加工したとしても渋くなります。紅茶が渋く感じら、胃に負担を感じるのもこれが理由です。標高の高い茶園産の春茶から作られたお茶は、烏龍茶・紅茶、更には種類に関係無く、非常に円やかで、慣れない淹れ方をしたとしてもそれなりに美味しく飲めます。ただし、当然、上手にいれたお茶はより美味しくはいります。以下のコラムにて動画付で詳しく説明しておりますのでご参照ください。
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