烏龍茶にも多種多様な種類があることをご存知ですか?

日本では鉄観音がとても有名ですが、実はそれ以外にもさまざまな種類の烏龍茶があるのです。茶葉の形も、飲むときのお茶の色も、味わいも香りも、全く違うけれど全て烏龍茶。奥深い烏龍茶の種類について解説するので、あなた好みの烏龍茶を見つけ、楽しみましょう。

烏龍茶とは

烏龍茶はもともとしっかり発酵された黒い茶葉でした。そのため、中国語で黒を意味する『烏茶』と呼ばれていたそうです。さらに、茶葉がねじれている様子が龍に似ていることから、『烏龍茶』と呼ばれるようになったという説があります。

現在の烏龍茶は、黒い茶葉ばかりではなく、飲むときのお茶の色も緑茶に近いものから紅茶に近いものまであり、バラエティー豊かです。さまざまな味や香りが楽しめる烏龍茶は、どのような基準で分けられているのでしょうか?

烏龍茶は半発酵茶

お茶を分類するとき、どのくらい発酵させたかによって分ける方法があります。ここでいう発酵とは、微生物を働かせる発酵ではなく、正確には酵素酸化です。摘んだお茶の葉をどのくらい発酵させるかによって、できるお茶の種類が変わります。

例えば、緑茶は発酵させませんので、酵素を働かせないよう、茶摘みをしてすぐに加熱します。そのため、非発酵茶とよばれるのです。反対に発酵の度合いが高いのが紅茶です。完全発酵茶ともよばれますが、実際には、産地や茶園ごとに発酵の度合いは異なり、必ずしも完全発酵茶とはいえません。

烏龍茶は緑茶と紅茶の間です。発酵の度合いが中間なので、『半発酵茶』といいます。烏龍茶のバリエーションが多いのは、発酵度10~80%のお茶が全て烏龍茶に分類されるからです。緑茶に近い発酵度合いのものも、紅茶に近い発酵度合いのものも、烏龍茶で一括りにされます。

中国茶の種類「青茶」は烏龍茶

中国茶でも、発酵度合いによってお茶を下記の6種類に分類しています。

  • 緑茶
  • 黄茶
  • 白茶
  • 青茶
  • 紅茶
  • 黒茶

下にいくほど酸化の度合いが高くなります。1番下の黒茶は、後発酵茶といい、微生物の働きを利用した発酵をさせるお茶です。

この6種類の分類の中で、烏龍茶は『青茶』とよばれます。

烏龍茶と鉄観音の違い

烏龍茶の中でも鉄観音は特に有名です。誰もが知るペットボトル飲料の烏龍茶に鉄観音が使われたことから、一躍有名になったといわれています。そのため、『烏龍茶=鉄観音』と思っている方もいるのではないでしょうか?

正確には、鉄観音は中国の安渓を中心に作られている烏龍茶の品種のことです。お米でいえばコシヒカリのようなものだと思ってもらえれば分かりやすいでしょう。鉄観音は烏龍茶の一部に含まれる種類です。

台湾烏龍茶の種類

烏龍茶には、産地や品種によってさまざまな種類があります。その中でも、台湾で作られた烏龍茶が台湾烏龍茶です。人気の台湾烏龍茶の中でも、代表的な種類を紹介します。

花のような甘い香り 文山包種茶

文山包種茶は、台湾烏龍茶の中で非常にポピュラーなタイプの烏龍茶です。発酵度は緑茶に近いくらい低く、茶葉も飲むときのお茶も緑に近い色をしています。

最も特徴的な点は花のような甘い香りです。萎凋という茶葉をしおれさせる工程により、さわやかでフローラルな香りを引き出しています。

ただし、近年一般的に販売されている文山包種茶の中には、青海苔のような香りのものが増えています。HOJOで提供する文山包種茶は、独自に低温でのベイキングを実施。これにより、魅力的な花の香りを引き出しています。

台湾茶の代表 凍頂烏龍茶

台湾烏龍茶というと、凍頂烏龍茶のことを指すほど、代表的なお茶です。そのため、初めて台湾烏龍茶を飲む、という方にもおすすめします。

凍頂烏龍茶の最大の特徴は、アルカリ土壌に起因するふくよかで豊かな味わいです。一般的な凍頂烏龍茶は、文山包種茶に近い微発酵で作られているものが多いのですが、HOJOで選んでいるのは中発酵のタイプです。発酵度が高めだからこそ味わえる、フルーティーな香りととろりとしたまろやかさが特長といえます。

厳選した凍頂烏龍茶をご用意しているので、7煎は楽しめるのもうれしいポイントです。渋みが少ない優しい味わいのため、どなたでも安心して召し上がれます。

ウンカが作る魅惑の香り 東方美人

東方美人は、かつてヨーロッパで『フォーモサティー』と呼ばれ人気を博した烏龍茶です。特徴的なのは、濃厚なマスカットのような香りととろりと甘い後味。他のお茶では味わえない魅力があります。

この香りを作るのに重要なのが、ウンカという小さな虫です。6~7月頃に、ウンカの群れが茶園で発生し、若葉の汁を吸うことで、フルーティーで甘いお茶になります。茶葉がウンカにそれ以上吸われないよう、人でいうところの抗体のようなものを作り、それが香りのもとになっているのです。

そのため、茶園は無農薬でなければいけませんし、同時に運に恵まれなければ作れない、特別な烏龍茶です。

スイーツとの相性も抜群の烏龍茶なので、ティータイムに選ぶのにも向いています。

中国の烏龍茶の種類

烏龍茶発祥の地には諸説ありますが、一説には中国の福建省だといわれています。烏龍茶が生まれたといわれている土地には、どのような種類のお茶があるのでしょうか?

鉄観音が人気!安渓烏龍茶

福建省の安渓で作られている烏龍茶を安渓烏龍茶と呼びます。さまざまな種類の烏龍茶が作られているのが特徴です。日本でも有名な『鉄観音』はもちろん、ニッキを連想させる『肉桂』、複数の品種をブレンドしている『色種』などです。

オーソドックスな鉄観音はもちろん、HOJOでは貴重な『黒鉄観音』も提供しています。鉄観音を焙煎して仕上げた烏龍茶は、茶葉が真っ黒でカラメルのような香ばしい香りが特徴。ミルクとの相性も抜群の珍しい烏龍茶です。

まるで果物!? 鳳凰単叢

広東省を代表する烏龍茶といえば、鳳凰単叢が有名です。茶葉のみで作られているにも関わらず、果汁が入っているのでは?と思わせるほどのフルーツの香りが感じられます。

鳳凰単叢の単叢とは、1本の茶樹のことを意味します。お茶の木は挿し木をすると、同じ特徴の木を増やせます。しかし、それは近年になって行われていることです。古くは種から育てて増やしていました。

種から育てると、お茶の木の特徴はそれぞれ違うものになります。親子でも顔や性格が違うように、お茶も味わいや香りが違うものに仕上がるのです。

そのため、鳳凰単叢は、香りや質を基準に1本の茶樹や、特定の数本の茶樹ごとに分類された『単叢』ごとに茶葉を摘み、製茶します。

HOJOで選んでいるのもそのタイプ。フレッシュな果物を思わせる清香タイプや熟成した濃香タイプなど、好みの香りを選べるバリエーション豊かなラインナップで紹介しています。

また、他の烏龍茶では考えられないほど樹齢が高い老木から作られることや、標高1000m前後の高地で作られているのも特徴です。高地で育った老木だからこその、濃い後味が味わえる烏龍茶です。

岩茶で有名な武夷烏龍茶

武夷烏龍茶といえば岩茶が有名です。岩茶とは、岩の分解によってできた砂質の土壌に根を張り育った茶樹から摘んだ茶葉で作られています。

最も樹齢が高く希少性が高いのが『水仙』、次いで『肉桂』が有名です。比較的新しい品種には、『白鶏冠』『水金亀』『鉄羅漢』『半天腰』といった四大岩茶ががあります。

岩の多い土地に根を張った茶樹は、日本でよく見る茶園の茶樹よりも生育状況が悪そうに見えることもあります。しかし、もともと海底だった武夷山の岩には、カルシウムやカリウムなどアルカリ性のミネラルが豊富です。

岩に含まれるたっぷりのミネラルを吸収した茶葉は、壮大なふくよかさの感じられる岩茶になります。

また、強めの焙煎で仕上げられるのも特徴です。

烏龍茶のおいしい淹れ方

好みの烏龍茶を見つけたら、丁寧においしく淹れましょう。そのためには、いくつかのポイントを押さえて淹れることが大切です。

1度沸騰させたお湯を使う

おいしい烏龍茶を飲むために大切なのは『沸騰させたお湯を使う』ことです。ぐつぐつと沸騰した状態で3~5分ほど経過したお湯を使うことで、茶葉本来の味わいを楽しめます。

使う水は水道水で構いませんが浄水器を通して塩素をあらかじめ取り除きましょう。その上で沸騰させることで、水に含まれる重炭酸カルシウムという成分が炭酸カルシウムへ変化するため、まろやかな甘味のある水になります。

温度管理も大切

烏龍茶は熱湯で淹れればいい、と単純に考えている人もいるかもしれません。しかし、お茶を淹れる過程では、さまざまな原因でお湯の温度が下がります。

例えば、茶器や茶葉が冷たいだけで、お湯の温度は大きく下がります。

そのため、烏龍茶を淹れるときには、『茶葉も温める』ことが重要です。急須に茶葉を入れ、そこに沸騰したお湯を手早くかけるのです。そして、10秒経過後にお湯を流します。さらにもう1度熱湯を入れ、5秒温めたらお湯を流し、準備完了です。

急須を温めておくのはもちろんですが、茶葉も温めることを忘れないようにしましょう。

淹れ方の手順

まず、水道水は浄水器で塩素を除去してから沸騰させておき、茶器は熱湯を入れて10秒間温めておきましょう。茶葉の量は、淹れるお茶の総量によって決定します。例えば、全部で1lのお茶を淹れるなら茶葉は3g、1.5lのお茶を淹れるなら茶葉は5gが目安です。

  1. 急須に沸騰したお湯を入れ、10秒間温め、お湯を流す
  2. 急須に茶葉を入れ、沸騰したお湯を注いで10秒間茶葉を温め、お湯を流す
  3. 急須に熱湯を注ぎ、さらに5秒間茶葉を温め、お湯を流す
  4. 熱湯を急須に注ぎ、100~150mlの急須なら10秒、200~300mlの急須なら15~20秒待つ
  5. 最後の1滴までしっかり注ぐ

熱湯を注いでから待つ時間は、2煎目以降なら数秒ほどです。

烏龍茶の種類を知ると、もっとお茶を楽しめる

烏龍茶と一口にいっても、その種類は幅広く、味も香りも全く違います。烏龍茶の産地や品種ごとの違いを知ることで、お茶の楽しみがグッと広がるのです。

さわやかな味わいが好みなら文山包種茶、フルーティーさを楽しみたいなら東方美人、本格的な烏龍茶なら鳳凰単叢烏龍というように、特徴を活かしたチョイスで楽しみましょう。

好みの烏龍茶を選んだら、淹れ方のコツを押さえておくことも重要です。塩素を除去した水道水を沸騰させて使うことと、茶葉と茶器を温めて温度管理することを意識すれば、烏龍茶の味わいや香りを存分に引き出せます。

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