雲南のおもてなし文化:食事に込められた思い

[2024.04.30] Written By


中国では、挨拶代わりに「你吃饭了吗?」、つまり、「ご飯食べた?」と言うのが一般的ですが、雲南省にいると、色んな局面で、「吃饭」「吃饭」、ご飯食べていきなさいと言われます。ただ、長く雲南省に携わると、これらのご飯への誘いは本当に誘っている場合と、京都における「お茶でもどうぞ」と同じで、逆の意味を持つ場合があることがあると分かります。

雲南省ではお茶を選ぶのでは無く、自分たちで生産

鳳凰単叢や台湾の烏龍茶の場合、私たちは産地を訪れ、生産者が作ったお茶を選定します。品質向上に不可欠なのは、選定プロセスで問題点を共有し、それに起因する製造上の課題を生産者と話し合うことです。

しかし、雲南省のお茶については、仕入れ方法が全く異なります。単に出来上がったお茶を仕入れるのではなく、私たちは生産者の設備や工場、人員を活用し、生産管理はもちろん、実際に自らお茶を生産しています。ある意味、アウトソーシングのような形態を取りながら、自らが生産者として活動しています。そのため、夜中の2時や3時まで工場に滞在することも珍しくありません。滞在中は、生産者の提供で夕食を毎回ご馳走になっております。

現在も私達は雲南省に滞在しており、日々の様子は以下のインスタやFacebookで紹介しております。

https://www.instagram.com/hojoteajp/
https://www.facebook.com/hojoteajp

雲南省では肉が一番高価な食材

雲南省では、野菜が非常に安価であり、一方で肉類は高価であるという現状があります。少数民族のマーケットなどに行くと、野菜は種類に関係なく、一束1元(20円以上)程度が相場です。

そのため、ゲストをもてなす際には肉料理が用意されることが一般的です。また、それら肉料理の味付けは、各種香辛料に加え、発酵食品やハムが用いられます。

山間部では、ほとんどの農家がハムや発酵豆腐など、さまざまな発酵食品を製造しています。これらの貯蔵食品は彼らの料理に欠かせず、特にハムは日本料理における煮干しや昆布、鰹節のように出汁を取る上で欠かせない食材として重要視されています。

夕食を戴くべき状況とお断りすべき状況

野生茶の探索や遠隔地の茶園を訪れる際には、現地の農家の方々が料理を振る舞ってくれます。私は、夕食まで御馳走になってしまうのは非常に申し訳ないと思い、一緒に行った友人に帰ろうと促すのですが、彼らは食べる気満々で、帰ることを拒みます。結局、毎回昼食や夕食を御馳走になるのが常です。

山村での野生茶探索の際にいただいた食事は、余韻が強烈に長く、シンプルながらも香辛料やハーブの複雑な香り、そして発酵食品による味わいが素晴らしい料理でした。

一方で、生産工場などで皆で食事をしていると、色んな人が代わる代わる工場に用事があって立ち寄ることがあります。雲南省では、やってきた人には、立場に関係なく、必ず、「吃饭!」と声をかけます。つまり、「一緒にご飯を食べましょう!」という意味です。しかし、工場に来た人が実際にご飯を食べるのを見たことがありません。彼らは基本的に何らかの理由で断り、ご飯を食べません。近所の人に「ご飯食べてってよ」というのは、雲南省では「こんにちは」と言う意味なのです。

外の世界との繫がりを非常に重要視する地域性

私は既に雲南省に10年以上来てますが、最初の内は、このご飯を戴くべきか、お断りするべきかの空気感が中々読めませんでした。ただ、最近分かったのは、遠路、仕事の話で遙々訪れたお客には、ご飯を振る舞うし、お客もそれを戴くのがある種のマナーなんだという事です。

雲南省で仕事をしていて思う点は、彼らはお茶、クルミ、山菜、キノコ、蜂蜜、ハム、その他発酵食品など、我々から見たら非常に貴重な食材を生産したり、採取したりしておりますが、村が山奥の僻地に位置していることで、外との繫がりが非常に限られております。このため、他省はもちろん、自分たちの村外から来た人と知り合うことは、外との販路を確保する稀少なチャンスなのです。このため、彼らは些細な出会いでも、外の人との出会いを非常に大切にします。外から遙々来た人をもてなすのも、そういう地域性ゆえなんだと思います。

彼らのもてなしに仕事を通じて応えてあげるのがベストなのですが、そうも行かないことも多々あります。そのため、私たちが山村を訪問する際には、フルーツやお菓子など、村では稀少と思われるお土産を沢山持参するように心がけています。

日本茶(緑茶)、中国紅茶、白茶、プーアル熟茶、プーアル生茶、ジャスミン茶、烏龍茶という厳選された茶葉7種のお試しセット

関連記事 RELATED ARTICLES

お茶に関する最新情報を確実にキャッチするには? SOCIAL NETWORK

1,Twitterをフォローする。2,FaceBookで「いいね!」を押す。3,メールマガジンに登録する。という3つの方法で、お茶に関する最新情報をキャッチすることができます。今すぐ下のツイッターフォローボタンや「いいね!」をクリック!

メールマガジン登録で無料サンプルをもらおう!
メールマガジンにご登録いただくと無料のサンプル茶葉のプレゼントや希少商品の先行購入など様々な特典がございます。ソーシャルメディアの購読だけでなく、メールマガジンへのご登録もお忘れなく!

HOJO TEAオンラインショップNEWS一覧を見る

東山生茶・白毫銀針・茉莉銀針の3種類のお茶を発売
東山生茶2023、白毫銀針、茉莉銀針の3種類のお茶を発売しました。 東山生茶2023 https://hojotea.com/item/d63.htm 東山生茶2023を発売しました。東山生茶は当店でも非常に人気の高いお …
大雪山野生茶(生茶)2023年・2024年産 同時発売
大雪山野生生茶の2023年産と2024年産を発売しました。 2023年産については、マレーシアの倉庫で1年間熟成しております。 https://hojotea.com/item/d27.htm   雲南省でも入 …

最新の記事 NEW ARTICLES

東山生茶・白毫銀針・茉莉銀針の3種類のお茶を発売
東山生茶2023、白毫銀針、茉莉銀針の3種類のお茶を発売しました。 東山生茶2023 https://hojotea.com/item/d63.htm 東山生茶2023を発売しました。東山生茶は当店でも非常に人気の高いお …
大雪山野生茶(生茶)2023年・2024年産 同時発売
大雪山野生生茶の2023年産と2024年産を発売しました。 2023年産については、マレーシアの倉庫で1年間熟成しております。 https://hojotea.com/item/d27.htm   雲南省でも入 …
佐渡無名異焼作家の渡辺陶三作:野坂粗土還元急須が入荷
野坂粗土還元焼成の茶器を発売しました。 今回入荷したモデルは、茶壺(後手急須)、フリーカップ、マグカップの3点です。 https://hojotea.com/item/tozo_nosaka_reduction.htm …
佐渡島の渡辺陶三製作:野坂粗土酸化焼成の茶器が入荷
佐渡島の陶芸家、渡辺陶三氏による「野坂粗土酸化焼成」の茶器を発売いたしました。 https://hojotea.com/item/tozo_nosaka.htm   野坂は佐渡島の沢根にある地区名で、相川金山に …
2300mの野放茶園産、高山白茶を発売
高山白茶を発売しました。 このお茶の茶園には、次の2つの特徴があります。 1. 標高2200-2300mに位置する茶園 2. 完全に野生化したお茶の木で構成される野放茶園 非常に理想的な環境ゆえに、お茶の品質も素晴らしく …
標高2100mの無農薬・無肥料茶園産の高山紫茶2024
2024年産の高山紫茶を2種類発売しました。 https://hojotea.com/item/d53.htm 2種類とも、同じ生産者が同じ地域内に保有する茶園の茶葉ですが、茶園の位置が異なり、また、生産日も異なります。 …
大雪山野生茶(普洱生茶)2024の散茶を限定発売
大雪山野生茶は、雲南省臨滄市永徳県の大雪山に自生する野生のカメリアタリエンシスから作られたプーアル生茶です。 野生茶とは 野生茶とは、樹齢が高いお茶や野生化したお茶ではなく、山に自生している天然のお茶を指します。 過去に …
鳳凰単叢烏龍茶の産地、潮州市鳳凰鎮を訪問(2024)
先月、鳳凰単叢烏龍茶の産地である潮州市鳳凰鎮へ、仕入れと生産者との打ち合わせを兼ねて出張しました。ちょうど台風の時期と重なり、山から潮州に戻れなくなるなどのハプニングもありましたが、無事に仕入れを終えました。鳳凰鎮にはこ …
前川淳蔵作の伊賀天然朱泥急須、宝瓶各種入荷
前川淳蔵作の伊賀天然朱泥の茶器が入荷しました。 今回入荷したのは、丸型宝瓶、急須、絞り出し、茶海です。 https://hojotea.com/item/maekawa_iga.htm 数百年前に古琵琶湖の湖底に沈殿した …
佐渡島:渡辺陶三作、無名異上赤茶壺と宝瓶が入荷
渡辺陶三氏作の無名異常赤急須および宝瓶が入荷しました。今回の入荷品は、後手タイプが中心です。 https://hojotea.com/item/tozo_joaka.htm 非常に稀少な上赤 「上赤」は、佐渡島の相川金山 …

PAGETOP