今回の台湾出張の最大の目的は、最高の品質の東方美人を買い付けることでした。

東方美人は6-7月に飛来するウンカに汁を吸われた茶葉だけを選択的に摘むことで作られます。
その昔、有る農家が忙しさのあまり、茶園を放置したところ、おしよせたウンカの大群に汁を吸われ、茶葉はみな黄色く変色してしまったそうです。あきらめきれなかった農家では、黄色く変色した茶葉を収穫し、お茶に加工したそうです。
そのお茶は、甘い香りを放っており、たまたま、ヨーロッパの茶商人の注目を集めました。ヨーロッパに紹介されたこのお茶は、フォーモサティと呼ばれました。フォーモサとはラテン語で「美しい」という意味です。
フォーモサティは瞬く間にヨーロッパでブームを引き起こし、イギリスの女王までもその虜になったと言われております。
当時のフォーモサティ=東方美人、英語でOriental Beautyと言われておりますが、実はフォーモサティは今日の東方美人とは少し異なるそうです。現代と昔とでは製茶環境(エアコンがない、装置がない等)が大きく異なり、それゆえ、製法も異なりました。昔のフォーモサティは現代の東方美人よりも、さらに緑色をしていたと言われております。
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葉にとまっているのがウンカです。

 

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ウンカの周りに黄色の斑点が出来ているのに注目ください。
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 上2枚の葉は、ウンカに汁を吸われ、黄色く変色し、さらに、表面がでこぼこになっております。
台湾のウンカは日本のウンカとはサイズが異なります。日本でウンカと言えば、稲の害虫として知られており、大きさは5mm-10mmほどあります。ところが、東方美人に関係するウンカは、物凄く小さく、大体2mm程度です。緑色をしており、ぴょんぴょんと跳ねる様は、まるで緑の妖精のようです。
ウンカに汁を吸われた葉は、具体的にどうなると思いますか?汁を吸われた茶葉は、まずその部分がレモンのように黄色い斑点になります。さらに沢山吸われると、斑点が茶葉一面に広がり、葉が黄色く見えます。
また、汁を吸われた茶葉は、表面がでこぼこになり曲がります。見た目的には柚の表面のようになります。
しかし、一番大切なのは、茶葉の内部で起こっている現象なのです。汁を吸われた茶葉は、傷口を治癒しようとし、生理活性質を作り出します。人間における抗体反応・防御反応と同じです。科学の世界ではこれの物質をファイトアレキシンと呼びます。以前にも説明しましたが、この物質が東方美人の特徴的な香りの秘密なのです。
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これが東方美人になる葉と芽です。黄色く変色した芽を注意深く選び、1つの芽と2枚の葉だけを摘み取ります。
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では、東方美人の特徴的な蜜のような甘い味は?これは、ウンカとは全く関係有りません。実は、普通の茶を収穫しても、東方美人のような作り方をすれば甘い味になるのです。この甘い味の秘密は、長時間の「萎凋」にあります。元々若い芽を収穫するため、苦味成分(ポリフェノール)が少ない茶葉を長時間室内で萎凋をすると、成分が分解され、茶葉に含まれる天然の糖類(ポリフェノールの配糖体から)やアミノ酸類が遊離し、その結果本当に甘い味に変わるのです。
東方美人はウンカに噛まれることで、お茶の木の上で発酵するとの説明が一般的ですが、これは俗説に過ぎません。
東方美人もやはり他の烏龍茶と同じく、萎凋→発酵→揉捻を経て製茶されます。ウンカに噛まれる事自体は、フルーツの香りを作り出すことに寄与するだけで、東方美人の発酵・味の形成には関係しません。
ところで、無農薬茶園というと響きは良いですが、本当の無農薬茶園は、凄くみすぼらしく、お茶の木も、私たちのイメージする雰囲気とは全く異なります。化学肥料や農薬散布をしないため、茶木の成長は遅く、一つの木あたりの茶葉の量も劇的に少ないのです。
以下に4つの写真を載せます。上2つは、東方美人用の無農薬茶園。下二つは、農薬を散布している茶園です。両者の違いは一目瞭然です。
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無農薬茶園
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無農薬茶園には雑草も沢山はえております。頻繁に手入れが必要となります。
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農薬を使用している茶園。青々としており、美しいです。
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農薬を使用している茶園:茶葉の勢いが、無農薬茶園と全く異なります。
次回、今回入手した東方美人の説明をします。

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