無名異焼の仕入れで渡辺陶三氏を訪問

[2009.04.02] Written By

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無名異焼作家の渡辺陶三氏を訪ね、佐渡島へ行きました。
陶三氏は今年で70歳ですが、現在も現役で茶器を中心に作品作りをされております。
陶三氏には娘さんと息子さんがおり、それぞれに陶芸に従事されているとの話を聞きとても心強く思いました。
今回は息子さんは不在だったため、娘さんと陶三氏の奥様と3人で私を迎えてくださりました。
3人ともお茶が好きで、私の持参したお茶をとても喜んでくださりました。お茶の好きな作家は良いお茶の道具を作り出します。陶三氏の急須が使いやすいのは、彼自身がお茶好きということが大きく寄与しているように思いました。
佐渡に行くと相川を中心に無名異焼の窯元がいくつもあります。無名異とは、李時珍という中国の学者が、本草網目という本の中で薬草をまとめた際、止血剤として用いられていた赤土に対して付けられた名称であり、それと同じタイプの土が佐渡にもあったことから無名異焼という名が付けられたと考えられております。

佐渡の無名異作家の間では最近、釉薬をかけた商品が主流になりつつあります。観光客を相手とする商売の場合、その方がよく売れるからで、作家としても需要の高い作品に力を入れようとするのは当然のことであるように思います。私たちのようなお茶と急須を共に扱う業者が、無名異の性能を再認識し、赤土だけから作られたシンプルな急須を求めない限り現在の状況はより加速していくことでしょう。需要のないところに、創作は生まれません。私の使命としては、朱泥のすばらしさをお客様だけでなく、作家にも理解して頂き、昔ながらの朱泥の素材を生かした作品を欲しいと思う人を少しでも増やしていきたいと思います。

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窯に入れる前の急須。無名異焼は生磨きという工程があり、故に表面に艶があります。

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