Y011 130ml RM4200

最近再び宜興の茶壺を入手しました。今回も注意深く水の試飲を行い、あるレベル以上に水の味を円やかにする茶壺のみを選び出しました。

紫砂は土の種類を示す言葉ではなく、宜興産の土の別称

宜興の土は、紫砂と呼ばれます。紫砂と呼ばれるために紫色と誤解されがちですが、紫砂というのは宜興産の天然土の総称です。
私の経験上、紫砂の中で、最も性能が高い土は朱泥です。性能とは水の味を円やか、つまり、喉越しを強くする能力のことです。

優れた性能の土、朱泥

宜興には朱泥以外にも紅泥を初め、様々な赤土がありますが、性能の高い朱泥は他のどの土にも勝ります。
朱泥というと、「朱泥」という種類の土があるとお客様の多くが思われます。しかしながら、実際には同じ朱泥と呼ばれる土でも、採掘される場所により様々な種類の微量ミネラルを含んでおり、土の性能は全く異なります。不純物の量が土によって微妙に異なるため、何が純粋な朱泥かと定義することは困難です。

含まれるミネラルが焼成後の急須の色に反映する

性能の点で理想とされるミネラル組成を含む朱泥は、ミカンのようなオレンジ色をしております。オレンジ色の性能の高い朱泥に対し、亜鉛、銅、マグネシウム、マンガンなどの微量ミネラルの含有量が増えると、それらが焼成により黒や緑に発色するため、オレンジ+黒, 緑,青=エンジ色、赤茶色、紫色へと変化します。これらの色の茶壺も美術的には美しいですが、微量ミネラルによる影響が強すぎるために、決して、朱泥のような性能を発揮することはありません。特に、微量金属の比率の高い、紫泥になると、水を通しただけで渋味が生じたり、水の味が元の水よりもコクが無くなったりすることが多く、良い土に巡り会うことは極めて希になります。私が性能を重視して茶壺選びを行った場合、紫泥が選ばれることは極めて希か、殆どありません。

今回入手した土の中でも、最も性能の高い茶壺はやはりオレンジ色をした朱泥系のモデルでした。
これらの茶壺は、基本的にKLの事務所に保管しておりますが、取得を希望されるお客様には販売をしております。
非常に高額の茶壺ですので、敷居は高いですが、性能は非常に優れております。

Y007 90ml RM3200
Y008 150ml RM4200
理想とされる朱泥に近い色
Y006 110ml RM3200
Y005 150ml RM3200
Y002 180ml RM4200
Y001 150ml RM4200
理想とされる朱泥に近い色Y010 140ml RM2100
Y009 170ml RM1100
鉄以外の金属含有量が増えると、この様な色合いになります。これは朱泥ではありません。どちらかと言うと、紫泥に近いと思います。

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