宇治茶の生産地域視察

[2012.01.13] Written By

宇治茶の視察に行ってきました。
今年から、宇治茶にも力を入れたいと考えており、その為に生産者が忙しくない冬の時期を利用し、茶園を見せて頂きました。
私のように沢山の量を扱わない業者の場合、お茶のシーズン中に訪問しても迷惑をかけるだけなので、シーズンオフに訪問し、ゆっくり話を聞かせて貰うことにしております。
また、今の時期は、お茶の質に大きく左右する枝の刈り方がよく見えるため、お茶の作り方を学ぶにはむしろ良い時期なのかも知れません。
京都と言えば、宇治茶ですが、宇治茶だからと言って宇治市にあるわけではありません。本来宇治茶は実に3つの県にまたがって作られております。
主な産地は、奈良の月ヶ瀬、京都の宇治田原町、和束町、笠置町、南山城村、滋賀県信楽の朝宮です。
戦国時代からこれらの地域で作られたお茶は宇治茶として流通し飲まれてきました。それが、廃藩置県の際に、たまたま県境が作られ、3つの県に分散してしまったのです。
数年前より産地表示が厳しくなったことで、何百年も宇治茶として作られて来た信楽や奈良のお茶は宇治茶と呼べなくなりました。何とも変な話です。
これらの地域に共通するのは、何れの地域も大昔は琵琶湖の湖底だったという点です。琵琶湖の湖底が隆起し、これらの地域が形成されたため、何れの地域にもきめの細かい粘性の高い赤土が豊富に含まれております。
この地域の土は極めて品質が良く、私が販売している佐渡の「野坂土」とも非常に似た性質をしております。
このような土は、高台にのみ豊富にあり、川の浸食で作られた標高の低い土地は砂と混ざっております。
砂地の場合、私の好むようなお茶は出来ません。どの地域に行っても、極めて似た景色と、同じような土壌が豊富にある為、産地が奈良県でも、滋賀県でも、京都府でもほぼ同じお茶が出来ます。
この他に京都のお茶の特徴は以下の通りです。
お茶が畑単位で厳密にロット管理されおり、原料同士がブレンドされることはほぼありません。
静岡では例外もありますが、一般に原料茶葉がブレンドされる事が多く、茶園毎の特徴が出にくいのが特徴です。
京都の場合、お茶を蒸す時間が短く、また、火も軽めに入れます。
火を強く入れたり、蒸し時間を長くすると、鼻に抜ける香りが強くなることから、原料の質が低くても素人受けしやすいお茶になります。
それに対し、火や蒸しが弱い場合、お茶そのものの品質が強くないと、全くつかみ所のないお茶となります。
宇治茶は茶園の土質が抜群に良く、その質(土壌の)の高さは私が知る限り世界でもトップクラスです。おそらく江戸時代などは窒素肥料を与えずにお茶が育てられており、お茶そのものの質が極めて高かったことから火や蒸しを極力弱くするという作り方が定着したのでしょう。
ただ、現在においては、窒素肥料をふんだんに施肥している農家が非常に多く、その結果として個性の薄い、つかみ所のないお茶も沢山あります。
お茶の木の育て方ですが、芽数型と呼ばれる、木を極力切らずに自然な状態に近い状態で育てる方法の場合、ミネラルが濃くなり、逆に、芽重型と言って深刈りをし、肥料の粋を良くした場合、アミノ酸が豊富でミネラルの薄いお茶が出来ます。
当然美味しいお茶はミネラルが豊富なタイプで、飲めばその違いは一目瞭然です。但し、芽数型は成長が遅く、収率が悪いために余程こだわりがある農家か怠け者の農家しか実施しておりません。
他の地域では極めて希な芽数型栽培法ですが、今回視察した地域には結構な数の芽数型茶園が見られました。これは素晴らし事であり、今年は良いお茶が仕入れられるような気がしました。今年の春が楽しみです。
uji.jpg
各山の頂上付近には粘土質で、鉄分の多い赤土(黄土)が豊富に見られました。
uji2.jpg
写真は典型的な宇治茶の生産地域の写真。周りを極めて豊かな自然に囲まれ、茶園は猫の額程度しか有りません。

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