紅茶に適したティーカップは?ボーンチャイナと白磁で異なるお茶の香

[2013.03.06] Written By

紅茶のティーカップやティーポットの素材を選ぶとき、素材による味への影響を考慮してますか?中国茶用の蓋碗、ティーポットや茶杯も同様です。

白磁やボーンチャイナも味に影響する

朱泥などの陶器が味に影響するのは言うまでもありませんが、白磁、ボーンチャイナも味や香りに影響することをご存じですか?多くの人は、そんなに大差ないだろうと思われるかもしれません。しかし、実際に、並べて比較をすると、意外なほどにお茶の味にも香りにも差が出ます。ガラスの茶器でいれたお茶を、白磁、ガラス、ボーンチャイナの茶碗で試飲しました。

実際の結果は以下の通りです。

  1. コク : 白磁 > ガラス >ボーンチャイナ
  2. ボディ : ボーンチャイナ > ガラス > 白磁
  3. 香りの立ちかた :ボーンチャイナ > ガラス > 白磁

 

香りの立ち方とボディは同じ

香りの立ち方はボディと同じと言えます。コクが増すほど香りは立ちにくくなり、逆に、ボディが増すにつれて香りは立ちやすくなります。

 

白磁は緑茶向き

白磁はコクを増す反面、ボディ(ふくよかさ)を減らします。この性質は緑茶を飲むのに向いております。緑茶用の湯飲みをボーンチャイナか、白磁か悩まれた場合は白磁(瀬戸物など)が適しております。
今回ガラスはコントロールとして用いました。ガラス自体は、ほとんど味に影響を与えません。そのこともあり、ガラスはボディとコクのバランスが良く、飲みやすいと感じました。

ボーンチャイナに含まれるカルシウムがボディに影響

ボーンチャイナがなぜボディを増すかという点ですが、これはボーンチャイナに含まれるミネラルが関係しております。ボーンチャイナは伝統的に牛のほねの骨灰を混ぜて作られたために、「ボーン」の名称が用いられます。現在も、素材にはリン酸カルシウムがCa3(PO4)2)が30%以上含まれております。
以前のブログでも書きましたが、カルシウムにはボディを高め、逆にコクを減らす作用があります。
カルシウムを豊富に含むボーンチャイナは同じく、ボディを増し、コクを減らします。

ここまで読まれた人は、バランスが良いガラスが一番良いと思われると思われたのではないでしょうか?しかし、実際はそうとも限りません。

 

実際の味は他の茶器との相互作用できまる

湯を沸かすのに南部鉄器を使ったり、お茶を入れるのに朱泥の茶器が用いられたばあい、鉄イオンの溶出によりコクが劇的に増します。このような場合、ボーンチャイナでお茶を飲んだとしても、それなりにコクが感じられる物です。茶の茶器の鉄分で得られるコクと、ボーンチャイナのボディが組み合わさることでバランスの良いお茶になります。

 

やかんを使い続けるとボディが増す

逆に、ヤカンに水垢(炭酸カルシウム)が大量に付着すると、自然と水のボディは増します。白磁の茶器を使用していたとしても、水自体にボディがあれば、お茶を飲んだときに適度なボディが感じられます。この事からお茶用のヤカンの水垢取りはお勧めしません。

 
 
 
追記 2013年 3月21日

ガラス=イオンの放出はないと言う点を前提とした場合、なぜ表面がガラス化しているボーンチャイナ、白磁で味に違いがあるという点に疑問が生じるとおもいます。実際は微量のイオンが水に溶け出すことが研究により明らかになっております。以下の資料や論文を見ると実験用の純度の高いガラス製品でも微量ですが溶出しております。食品衛生法の観点からは、誤差の範囲内で非検出となりますが、微量のイオンの存在がお茶やその他の飲み物に影響を与えているものと思われます。ボーンチャイナの場合、表面が釉薬でおおわれておりますが、カルシウムイオンが釉薬に溶け出すことも想定されます。

実験用ガラスの溶出
http://www.jsac.or.jp/bunseki/pdf/bunseki2011/201101minifile.pdf

日本板硝子テクノリサーチ株式会社
http://www.nsg-ntr.com/tech/b13.html

ガラスより水中へ溶出するアルカリ・イオンの溶出量と溶出時間および溶出温度との関係式(第2報)
http://ci.nii.ac.jp/naid/110000216271

ガラスがワインに溶ける?(これは参考)
http://www.j-real.com/honmakaina/R1.html

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