スパイスのプロから見たスパイスティをおいしく作るコツ

[2013.05.14] Written By

スパイスティ
スパイスティ・マサラティという分野があります。紅茶にスパイスやハーブをブレンドしたアレンジティです。スパイスティは市販もされておりますが、紅茶は別に仕入れ、自分でスパイスをブレンドすることをお薦めします。そのほうが茶葉自体の質を自分で管理することが出来、値段もむしろ安く付きます。
本コラムの読者はご存じかどうか分かりませんが、私はお茶の会社を始める前は、香辛料を専門とする食品会社に10年間勤めており、商品開発や生産技術、工場運営などの技術的な仕事に従事しておりました。当然、人一倍スパイスには詳しいと自負しております。そこで、スパイスティを作る上で重要と思う知識を紹介したいと思います。

 

食べて美味しいスパイスと、食べると「えぐみ」があるスパイス

スパイスを扱う上で重要な点は、スパイスによって、香りだけ楽しむべき種類と、食べて美味しい種類があります。実はスパイスには粉砕して粉にすることでえぐみや渋味が生じるタイプと、粉にしてそのまま食べても渋味などがないタイプがあります。当然えぐみが生じるタイプの香辛料を、粉砕してお茶に加えた場合、紅茶自体にえぐみや渋味が生じ、結果的にミルクをたくさんいれないと茶が楽しめなくなります。

 

ホールで使用するスパイス、粉砕して使用するスパイス

上記の考え方は手作りで各種スパイスからカレーを作るさいにも重要です。マサラパウダーのように粉砕してから使用するスパイスと、ホール(丸ごと)のまま使用するスパイスがあります。ホールのまま使用すべきスパイスを粉砕して粉にした場合、えぐみ・渋味・苦みなどが生じます。インドや東南アジアでは「香り用のスパイス」については、ホールのまま油で炒めることで香りのみ抽出します。香りだけを油で引き出し、えぐみは殻の中に閉じ込めたままにします。「これらのスパイスを粉砕するともっと香りが強くなるかも?」との下心から香り用のスパイスを粉砕した場合、カレーはえぐみと渋味をともなう料理へと変わります。せっかく苦労して作っても子供達は真っ先に拒否反応を示すでしょう。
スパイスティ

 

スパイスティへに適したスパイスの使い方

以上の考え方を頭に入れつつ、スパイスティをつくってみてください。重要なのは、粉砕すべきスパイスと、粉砕すべきでないスパイスがある点です。粉砕すべきでないスパイスは、粉にせず、ホールのまま、或いは、数mmの粗い状態で加えてください。茶漉しで除去できるサイズ以上であることが重要です。粉にして混ぜ込むべきスパイスは、香りの相性を確認する前に、えぐみ・渋味を確認しつつ厳選すべきです。

 

粉砕すると、えぐみや渋味が生じるスパイスの代表格

  1. スターアニス
  2. クローブ
  3. シナモン
  4. カシア
  5. カルダモン

 

使用するスパイスは極力抑える

スパイスティを作る際、あくまで主役はお茶という点が大切なポイントです。市販品も含め、多くのスパイスティはスパイスが個性を出しすぎているように思います。ある意味、バックダンサーがメインの歌手よりも前で踊っているようなものです。特に個人でブレンドをした場合、ついつい張り切りすぎてスパイスを使いすぎてしまう傾向があります。スパイスティはスパイスがほんの僅かだけ香ることが大切です。スパイスはお茶の引き立て役と捉えるのがよいでしょう。あまり、スパイスがききすぎると、物珍しさから、その場はひとまず満足感を覚えるでしょうが、継続的に飲みたいと思えないお茶になってしまいます。

日本茶(緑茶)、中国紅茶、白茶、プーアル熟茶、プーアル生茶、ジャスミン茶、烏龍茶という厳選された茶葉7種のお試しセット

関連記事 RELATED ARTICLES

お茶に関する最新情報を確実にキャッチするには? SOCIAL NETWORK

1,Twitterをフォローする。2,FaceBookで「いいね!」を押す。3,メールマガジンに登録する。という3つの方法で、お茶に関する最新情報をキャッチすることができます。今すぐ下のツイッターフォローボタンや「いいね!」をクリック!

メールマガジン登録で無料サンプルをもらおう!
メールマガジンにご登録いただくと無料のサンプル茶葉のプレゼントや希少商品の先行購入など様々な特典がございます。ソーシャルメディアの購読だけでなく、メールマガジンへのご登録もお忘れなく!

HOJO TEAオンラインショップNEWS一覧を見る

前川淳蔵作の伊賀天然朱泥急須、宝瓶各種入荷
前川淳蔵作の伊賀天然朱泥の茶器が入荷しました。 今回入荷したのは、丸型宝瓶、急須、絞り出し、茶海です。 https://hojotea.com/item/maekawa_iga.htm 数百年前に古琵琶湖の湖底に沈殿した …
佐渡島:渡辺陶三作、無名異上赤茶壺と宝瓶が入荷
渡辺陶三氏作の無名異常赤急須および宝瓶が入荷しました。今回の入荷品は、後手タイプが中心です。 https://hojotea.com/item/tozo_joaka.htm 非常に稀少な上赤 「上赤」は、佐渡島の相川金山 …

最新の記事 NEW ARTICLES

鳳凰単叢烏龍茶の産地、潮州市鳳凰鎮を訪問(2024)
先月、鳳凰単叢烏龍茶の産地である潮州市鳳凰鎮へ、仕入れと生産者との打ち合わせを兼ねて出張しました。ちょうど台風の時期と重なり、山から潮州に戻れなくなるなどのハプニングもありましたが、無事に仕入れを終えました。鳳凰鎮にはこ …
前川淳蔵作の伊賀天然朱泥急須、宝瓶各種入荷
前川淳蔵作の伊賀天然朱泥の茶器が入荷しました。 今回入荷したのは、丸型宝瓶、急須、絞り出し、茶海です。 https://hojotea.com/item/maekawa_iga.htm 数百年前に古琵琶湖の湖底に沈殿した …
佐渡島:渡辺陶三作、無名異上赤茶壺と宝瓶が入荷
渡辺陶三氏作の無名異常赤急須および宝瓶が入荷しました。今回の入荷品は、後手タイプが中心です。 https://hojotea.com/item/tozo_joaka.htm 非常に稀少な上赤 「上赤」は、佐渡島の相川金山 …
非常に稀少な野生茶、永徳野生白茶2024を発売
永徳野生白茶を発売しました。このお茶は2021年に一度発売されましたが、瞬く間に売り切れ、その後の入荷はありませんでした。質が高く、個性的な香りで当店でも非常に人気の高いお茶です。 永徳野生茶は、雲南省臨滄市永徳県で、牛 …
2024年産の古樹白茶を発売: 雲南省にて生産監修することで品質向上
2024年産の古樹白茶を発売しました。 今年は、私たちが自ら現地に滞在し、茶葉の選定から生産に至るまで現場で監修したことで、自信のある仕上がりになっております。 https://hojotea.com/item/w25. …
単株茶を含む2022年産の鳳凰単叢老欉を3種類発売
単株を含む、鳳凰単叢の老欉を3種発売しました。今回発売したお茶は以下の三種類です。何れも標高1200mの茶園産の茶葉原料から作られており、濃厚な香りと深い後味がする素晴らしいお茶です。 鳳凰単叢老欉夜来香 2022 鳳凰 …
東洞庭山産、無農薬無肥料の碧螺春を発売
碧螺春(Biluochun)は中国を代表する緑茶の一つで、その優れた品質と独特の風味で有名です。HOJOでは、無肥料無農薬栽培による、余韻の長い碧螺春をお届けします。 https://hojotea.com/item/g …
マレーシアで8年熟成の白鶯山古樹白茶2017を発売:トロピカルフルーツの香り
白鶯山古樹白茶2017を再度発売しました。同じ名称の商品をこれまでも販売しておりましたが、以前販売していたロットの商品は日本で熟成したお茶でした。今回発売する商品は8年間マレーシアで熟成をしたお茶になります。マレーシアの …
雲南省の稀少茶、大雪山野生白茶2024を発売
大雪山野生白茶2024の散茶を発売しました。 このお茶は、私達が実際に現地雲南省の産地に滞在し、現地で生産管理しながら作り上げたお茶です。 雲南省における野生茶の定義 これまで何度も説明しておりますが、雲南省 の人々は例 …
HOJO独自の新製法で実現した香り高い紅茶:雲南での挑戦
雲南省に1.5ヶ月滞在した期間中、良質な白茶やプーアル茶の生産はもちろん重要な課題でしたが、今回の大きな目標は、小ロット生産にも対応した新しい紅茶の生産方法を開発することでした。 一般的に雲南紅茶といえば、当店のラインア …

PAGETOP