岐阜県春日で在来種の煎茶の仕入れ

[2013.06.06] Written By

春日の茶園

岐阜県の揖斐川町の春日(以前は春日村)にお茶の仕入れに行ってきました。
春日は標高は500m前後、揖斐川を中心にVの字型の谷で形成された地域です。春日の茶園は谷から数百メートル上の、なだらかなスロープに広がっており、在来種とやぶきたが中心に作られております。

お茶の在来種はつまり雑種

お茶の場合、在来種と言っても、ニホンカモシカ、大和イワナのような日本古来の固有の種を指す言葉ではありません。本来、種というからには、単一の種類を指すべきなのですが、お茶における在来種というのは様々な種類のお茶の混生を指します。むしろ「雑種」というのが最も適切な表現で、昔からの複雑交配で様々な品種のお茶が混じり合った状態の茶園を指します。複数の種類のお茶から構成されている在来種ですが、藪北のような選抜種と比べると平均的に味が濃くなる傾向にあります。藪北のような選抜種の場合、肥料の吸いが良く、成長が著しく早いことから一つ一つの細胞が大きくなりがちで、結果としてコクが少なくなる傾向があります。平均的な在来種のお茶と比べると、例え混生種であっても在来種の方が濃い味になる傾向があります。

春日の茶園

何と!茶園に鹿が現れました!

意外と重要ではない老木

春日の茶園は沢山の老木が沢山残っていることでも知られております。なかには樹齢が200年ほどの木もあると言われております。老木ゆえに、根の表面積が大きく、養分やミネラルをより多く吸収し、若い木と比べるとコクが強いお茶が出来ると考えられております。ただし、老木によるメリットは、他の栽培条件が同じであった場合のみ適応されます。例え老木でも、肥料を与えたり、深く刈り込んで、枝の生長を早くした場合、若い木と全く変わらない性質のお茶へと変化します。私はプーアル茶の仕入れを通じて、多くの老木を見てきておりますが、老木でも、収量を上げる為の試みをおこなった場合、コクのないフラットな味わいに変化します。実際には春日の全ての茶園が、老木の特長を生かせているわけではありません。

春日のお茶の長所

私の個人的な視点で春日のお茶を観察した場合、3点特筆すべき点があります。

無肥料・無農薬栽培

春日のお茶は、自然栽培・準自然栽培が実践されており、窒素肥料や農薬がほとんど使われておりません。もちろん、全ての農家がそうしているわけではなく、肥料の袋が散見される茶園もあります。少なくとも、私がお付き合いしている農家では農薬・窒素肥料を全く使用しておりません。無肥料で育てられた、お茶はゆっくりと成長し、味が濃く、コクの強いお茶ができます。

ウンカ

無農薬茶園と言うこともあり、沢山の昆虫がおりました。写真はウンカです。この虫が汁を吸った茶葉だけを集めて作られたのが台湾の東方美人です。春日には沢山のウンカが飛び回っておりました。

芽数型の管理

春日には、芽数型といって、深く枝を刈り込まず、先端の枝を極力細くし、成長速度を遅くする方法でお茶を管理している農家が多く見られます。多くといっても、パット見た感じでは全体の30-50%程度の茶園です。芽数型で管理された茶園の場合、芽がしっかりとしており、芽のサイズは小さく、茶葉は全体に黄色味を帯びた色になります。この方法で作られたお茶はコクが強くなります。

ボディのあるお茶

私が春日のお茶を注目している最も重要な理由は、土に含まれるミネラルです。春日の土は、お茶のボディを強くする傾向があります。私の仮説ですが、土壌に含まれるアルカリ系のミネラルが関係しているように思います。春日のお茶はコクという点では、ベストではありませんが、ボディとのバランスが良くそれゆえに飲み応えがあります。

春日で野イチゴつみ

春日の茶園周辺には沢山の野イチゴが自生しており、これを食べるのが私の毎年の楽しみでもあります。地元ではヘビイチゴと勘違いされており、ほとんど誰も食べないのです。

日本茶(緑茶)、中国紅茶、白茶、プーアル熟茶、プーアル生茶、ジャスミン茶、烏龍茶という厳選された茶葉7種のお試しセット

関連記事 RELATED ARTICLES

お茶に関する最新情報を確実にキャッチするには? SOCIAL NETWORK

1,Twitterをフォローする。2,FaceBookで「いいね!」を押す。3,メールマガジンに登録する。という3つの方法で、お茶に関する最新情報をキャッチすることができます。今すぐ下のツイッターフォローボタンや「いいね!」をクリック!

メールマガジン登録で無料サンプルをもらおう!
メールマガジンにご登録いただくと無料のサンプル茶葉のプレゼントや希少商品の先行購入など様々な特典がございます。ソーシャルメディアの購読だけでなく、メールマガジンへのご登録もお忘れなく!

HOJO TEAオンラインショップNEWS一覧を見る

大雪山野生生茶2025年版 散茶少量入荷のお知ら
大雪山野生生茶2025年の散茶を発売しました。 https://hojotea.com/item/d27.htm 今年は生産できた量が非常に少なく、雲南省の標高2000mを超える山林に自生する茶樹から、毎年春にごく限られ …
白岩山古樹生茶2025 散茶|標高2300m・限定量入荷
白岩山高山茶2025の散茶を発売しました。 白岩山は、私たちがプーアル茶を製造している産地の中でも最も標高が高く、標高2300mの茶園から茶葉を収穫しています。 非常に限られた数量のみの入荷となっておりますので、ぜひお早 …

最新の記事 NEW ARTICLES

大雪山野生生茶2025年版 散茶少量入荷のお知ら
大雪山野生生茶2025年の散茶を発売しました。 https://hojotea.com/item/d27.htm 今年は生産できた量が非常に少なく、雲南省の標高2000mを超える山林に自生する茶樹から、毎年春にごく限られ …
白岩山古樹生茶2025 散茶|標高2300m・限定量入荷
白岩山高山茶2025の散茶を発売しました。 白岩山は、私たちがプーアル茶を製造している産地の中でも最も標高が高く、標高2300mの茶園から茶葉を収穫しています。 非常に限られた数量のみの入荷となっておりますので、ぜひお早 …
雲南省の自然栽培茶で作った釜炒り緑茶
雲南春尖緑茶を発売しました。 標高2100mにある自然栽培のお茶を原料とした、プーアル茶クラスの長い余韻が特徴のお茶です。 雲南省という比類なき茶葉原料の産地 私はお茶の会社を創業して20年間の間、あらゆるお茶産地を訪問 …
産地の潮州・汕頭で人気の鳳凰単叢八仙2022を発売
2021年以来となる鳳凰単叢八仙の新ロットを発売いたします。 今回発売するお茶は、2022年産のお茶です。数年の熟成期間を経て非常に良い状態に仕上がりましたので、販売することにいたしました。 https://hojote …
大雪山野生白茶 散茶 2025年産の新茶を発売
大雪山野生白茶2025を発売しました。 https://hojotea.com/item/w11.htm 雲南省の山に自生するカメリアタリエンシスを原料に、今年も現地で原料選別から製茶まで関わって生産しました。 野生茶な …
2025年産の古樹白茶と古樹白牡丹を発売
2025年産の古樹白牡丹と古樹白茶、2種類を発売しました。 いずれも無農薬・無肥料で作られたお茶です。 実は少し前から販売していましたが、公式にはお知らせしていなかったため、本記事を書きました。 生産者と共に作り上げるお …
東山生茶2024年産餅茶を発売
東山生茶2024の餅茶を発売しました。2024年産の東山は、以前に散茶を発売し、短期間で売り切れとなりました。今回発売する2024年産の餅茶は同じ原料から作られたお茶です。餅茶は作りたては香りが比較的穏やかな傾向がありま …
雲南省の自然栽培茶を使った薪火釜炒り焙じ茶の開発
現在、私たちは雲南省に滞在し、お茶の生産に取り組んでおります。シーズンも終盤に差しかかっていますが、この時期は特に成長が遅く、質の高いお茶が収穫期を迎えるため、最後まで気が抜けません。プーアル茶と紅茶の製造を主軸としなが …
料理から見る雲南の多様性:少数民族・四川料理の交差点
雲南省に長期滞在してお茶を作っているわけですが、雨の日や生産予定の無い日は、近隣の街のホテルに滞在しております。 ホテルに滞在しているときは、外食するのですが、私達にとって、現地での食事はお茶作りと同等に興味があり、非常 …
渡辺陶三作:秋津無名異、野坂粗土急須他入荷
佐渡島の無名異焼作家、渡辺陶三氏の茶器が多種類入荷しました。 今回は、特に、秋津無名異酸化焼成と野坂炭化還元の急須・茶壺が多数入荷しました。 https://hojotea.com/categ/teaware.htm 秋 …

PAGETOP