当店にお越しいただき、ありがとうございます。HOJO代表の北城彰です。中国茶販売から紅茶まで、お茶のことならお任せください。
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私は過去に食品メーカーにて10年間、食品の専門家として、先端の食品開発・加工現場を経験してきました。過去の経験を糧に、理系だからこその、他のお茶屋さんにはない独自の考え方に基づき、商品を買い付け、販売しております。
HOJOでは2007年よりクアラルンプールに直営店を出店しておりますが、弊社のお茶・茶器に対する独特の考え方は地元でも深く受け入れられ、マレーシアおよびシンガポールを中心に多くのお客様にご愛顧いただいております。
以下、私の品質に対する考え方を、具体例を挙げつつ説明してみたいと思います。
お茶の店を訪れてみると、様々なお茶や茶器がありますが、値段と品質は必ずしも相関関係にありません。希少な商品、入手が難しい商品には、高い値段で売られております。そのため、高い値段を出して買ったお茶が全然美味しくなかったとしても不思議ではありません。
日本茶を例に説明してみましょう。日本茶の場合、市場に流通する時期が早ければ早いほど高い値段が付きます。早摘み茶ほど品質も高いのでしょうか?実はそうとは限りません。むしろその逆です。実際は標高の低い茶園になればなるほど、茶摘みの時期も早くなります。山間の標高の高い茶園は春の到来が遅いために茶摘みの時期が遅くなります。当然、山間部の高地で採れたお茶の品質が良いのは当然です。
茶器に関して言うならば、有名作家が作った茶器は高いわけですが、それは茶器の本質的な品質とは関係有りません。有名作家から購入したからと言って、使用している土の材質が良いとは限らず、茶器の道具としての性能が優れているとは限りません。
別の例として、プーアル茶について説明してみたいと思います。プーアル茶は長期間保存すれば保存するほど品質が良くなると信じられており、また、その考えに基づき値段が付けられております。実際は熟成の多少は有機物が酸化により変化するためお茶の性格を変えますが、品質自体が変わるわけではありません。悪い原料から作られたお茶は何年貯蔵したとしても、品質が良くなることはありません。
このような品質と価格の矛盾点はお茶業界にはゴロゴロしております。お茶業界(お茶市場)が評価するお茶が、お茶がお客様にとって、美味しいお茶とは限りません。私の実家ではリンゴを作っておりますが、全く同様の問題が見受けられます。早く出荷されたリンゴ、赤く色づいたリンゴほど市場では高値で取引されます。但し、美味しいリンゴと市場で高く評価されるリンゴは異なります。美味しいリンゴは早出しリンゴではなく、樹上でしっかりと熟したリンゴです。
マニアックな収集家は別として普通の消費者としては、品質に対してお金を支払いたいと思われるのではないでしょうか。消費者にとっての品質基準とは純粋に「美味しさ」だと思います。値段が高くても、品質が高ければ、納得は出来ますが、その逆はありません。
この現実をふまえ、HOJOではお茶にしても茶器にしても、品質を良い悪いと判断する基準を明確化するように努めております。「美味しいお茶」「お茶を美味しくいれられる茶器」を良い品質と定義しており、そのために、独自の品質判断基準を設け、商品の選定・販売を行っております。
幣店を訪れたお客さんは、ラインアップの特異性に驚かれます。ただ、いったん私たちの基準に慣れてくださったお客様は、私たちの提唱する、お茶・茶器選びの新しい基準を心より楽しんでくださります。
良いお茶・品質の高いお茶とはどういうお茶を指すと思われますか?
「自分がよいと思うお茶が良いお茶」という意見もあるかもしれませんが、それを言ったらお終いです。客観的な見地から良いお茶の品質とは何かという点について説明いたします。
100gが千円のお茶と1万円のお茶を飲み比べた場合、その差は歴然としており、誰でも分かります。では、1万円のお茶と10万円のお茶は何が違うのでしょう?更に、10万円のお茶と100万円のお茶は何が違うのでしょう。
実はこの違いを理解する事が、お茶の世界を理解する第一歩だと私は思います。
中国語には「喉韻」という言葉があります。これはどういう意味かというと、喉の奥で感じられる味を意味します。日本語でこの意味に近い言葉は、「喉越」「余韻」「後味」だと思います。
お茶の場合、この喉韻が強ければ強いほど、つまり味や香りが3次元的に深く感じられる程、品質が高いと定義されます。実はこの定義はワインの品質評価でも同じです。質が良くない原料から作られたお茶は、口に入れた瞬間に香が感じられ、また味は口の前面で感じられます。余韻が少なく、後味が有りません。それに対し、品質の高いお茶の場合、飲んだ直後に感じられる香りは弱い物の、味・香りに深みがあり、喉の奥深くで味が感じられ、何時までも余韻が残ります。この香りと味の奥行きこそが、10万円のお茶と100万円のお茶の違いです。言葉では分かり難いと思われるかもしれませんが、実際に飲み比べてみると、多くの人々が味に奥行きのあるお茶を美味しいと納得されます。
私はお茶の品質をカメラのレンズの性能に例えることがあります。 ただ映れば良いだけだったら、どんなレンズでも構いません。但し、立体感、写真の解像度(密度)、彩度を求めた場合、レンズに対してかなりのこだわりを持たねばなりません。お茶の場合も同じで、ただ香りを求めるだけであればどのようなお茶でも目的を満たしてくれますが、三次元的(立体的)な味と、奥行きのある香りを求めた場合、こだわりをもって選ぶことが大切です。
このような喉韻に代表される品質の違いはミネラルの含有量により変わります。特に鉄イオンが重要な役割を果たしており、お茶に含まれる鉄イオンが多いほど品質が良いと定義することが出来ます。
この証拠に良いお茶は例え劣化しても、酸化しても、喉韻(喉越し)の強度は変わりません。酸化することにより有機化合物は劣化しますが、無機化合物であるミネラル分は変化しません。
実はある実験を試してみました。ミネラルサプリメントを超微量に希釈し、お茶に添加し、味の変化を試飲により観察したのです。結果、味の奥行きは劇的に変化します。加えるサプリメントの種類により変化はありますが、味の深みは劇的に変化します。
分野こそ違いますが、この原理を応用したのがワインの熟成です。
ワインはボトルのまま貯蔵しておいても不良在庫になるだけで、品質は改善されません。
ワインの熟成は必ずオークの樽の中で行われますが、これには理由があります。実はオークの樽には多くのミネラル分が含まれており、貯蔵中にミネラルが溶出します。貯蔵期間を経たワインは、ミネラル濃度が高まり、ゆえに奥行きのある豊かな味となります。
お茶の場合も同様にミネラルの多少がお茶の味と香りに、深みと豊かさを付与します。私は、お茶は肉料理でいえばスパイスのような役割だと思います。肉料理でもっとも肝心なことは、良い品質の肉を調達することです。良い肉に新鮮なスパイスをふりかけることで、肉の味はさらに一段と良いものとなります。逆に素材が悪い場合、いくら良いスパイスを使っても美味しく料理をいただくことはできません。
お茶についても同様の事が言えます。私たちはお茶を飲むといいますが、実際には水を飲んでいるわけです。茶葉は、水に香りと味、更にミネラルにより、深みと豊かさを与え、素材である水をより美味しく飲むためのハーブのような役割を担っております。
更に、水を美味しく飲む上で、切っても切れない関係にあるのが茶器です。茶器には、お茶の成分を抽出するという役割の他に、もう一つ極めて重要な働きがあります。素焼きの茶器からは多量のミネラル分がイオンとして溶出します。鉄分を多く含み、表面積が大きい程、味はよりよくなります。つまり、茶器を選ぶ最も重要な基準とは、デザインもさることながら、素材と焼き方であり、それが本来の茶器の品質です。良い素材の茶器を使うことで、水の鉄をはじめとする微量ミネラルの含有量が高められ、お茶の味が飛躍的においしくなります。スーパーに行けば、様々な種類の水を買うことができますが、やはり一番身近なのは地元の水だと思います。身近に手に入れられる水の味を、お茶と茶器のコラボレーションでより美味しくすることこそがお茶の本質ではないかと思います。
お茶の香りと味を作り出すのは、他でもない有機成分です。しかし、その質を高めてくれるのはミネラルの存在です。有機化合物はお茶の性格を形作り、逆にミネラルはお茶の品質の優劣を形成します。ところが、お茶業界をはじめ、食品科学者の多くが、お茶の品質評価をする際、カテキン、アミノ酸やポリフェノールのような有機化合物ばかりを注目されております。私も学生の頃はそのように信じておりました。しかし、お茶の世界に深く身を置くことで学んだことは、本来の品質の決めてとなるのはミネラルという事実でした。
このため、私の会社では、良いお茶は=ミネラル量が多いお茶と定義し、その概念に基づきお茶の買い付けを行っております。ミネラル分の多い少ないは、茶園の環境で決まります。つまり、茶園の立地が悪い場合、どの様な名人がお茶作りをしても決して良いお茶は出来ません。このような意見を言うと、反対意見もあるかもしれませんが、果物にしても、野菜にしても高原で採れた作物は美味しく、低地で採れた作物は味が薄いのと同じ原理であり、ある意味致し方有りません。ミネラルが豊かなお茶を作り出す最適な立地条件を選ぶことは良いお茶を探す上で最も重要な要素です。
私はお茶の品質を形成する最も重要な要素は土だと考えております。 お茶に限らず、高品質のぶどう、オリーブ、リンゴを作る上で重要なのが赤土です。 赤土と言っても、赤い土を指しているのではなく、どちらかというとオレンジ〜黄色の土が良いようです。 これらの土は、縄文人が縄文土器を作っていた原土でもあります。植物を挿し木をする際には赤土が用いられます。 赤土でないと根がつきません。同じ標高でも、赤土で栽培されたお茶は飛び抜けて高い品質となることが分かっており、中国の有る地域では赤土が不足している茶園には他から取ってきた赤土を散布するほどに赤土は重要視されております。
標高が高いほど、昼夜の温度差が激しく、夜の温度が低い高地では茶木はあまり成長できません。このため、ミネラルを始め、有機化合物が消費されることなく、茶葉に蓄積されます。理想は亜熱帯であれば2000m以上、日本であれば600m以上の標高です。
茶摘みは何時するかという点はあまり重要ではありません。むしろ、一年に何回茶摘みをするかという点が重要です。根が吸収できるミネラルの量は限られております。茶摘みをすればするほど、ミネラルは分散・希釈されます。理想は一年に一回の茶摘みです。
樹齢が増すほど、根は長く伸び、張ります。若い木は根が短いために、ミネラル分の吸収力が弱く、良いお茶は出来ません。理想は樹齢100年以上ですが、樹齢が絶対条件ではありません。
老樹から作られたお茶
お茶は学名カメリア シナンシスという椿科の植物です。但し、お茶には膨大な数の品種が存在します。品種の違いにより香りにも差が出ますが、もう一つ重要な点として、品種により根の全長が異なり、また、ミネラルの吸収能力も大きく異なります。
上記条件を日本茶に照らしてみると、お茶業界の常識とはかけ離れております。
まず、時期が早いほど人気がある日本茶市場では、標高が低いほど茶摘み時期も早く、良い値段で取引されます。
茶摘み回数は特に問題有りませんが、樹齢は日本のお茶業界では、30年経ったら植え替えるのが常識です。根の長さでは在来種が優れているのですが、業界ではどちらかと言うとやや爪弾きにされております。
このような矛盾は日本だけでなく、他の国でも時々見られます。ただ、海外の場合、概して日本よりも品質と値段のバランスがとれております。実は日本でも私の理想とするお茶を作っている農家もあり、それらのお茶を紹介していくことは、お茶の本質的なすばらしさを紹介する活動でもあり、やりがいを感じます。
私は良い商品とは、優れた素材と優れた加工技術が不可欠だと思います。良い素材とは何か、自分の経験に基づきじっくりと考察することで、HOJO独自ラインアップへ反映させております。