
- ホーム >
- お茶の種類
ダージリンティは烏龍茶?
- [2006.12.08] Written By 北城 彰(Akira Hojo)
ダージリンティのあまり知られていない話しを徐々に公開していきたいと思います。これら情報が得られたのも、優秀なエステートマネージャーの邸宅に泊めて頂き、彼に手取り足取り教えてもらった御陰です。マネージャーには本当に感謝しております。
ダージリンティーには春摘みのファーストフラッシュ、夏摘みのセカンドフラッシュ、秋摘みのオータムナルの3種類があります。フラッシュとは英語でFlush=芽の意味です。
ダージリンの春摘み茶はとても緑色をしております。それに対し、夏摘み茶になると、黄色っぽい褐色になり、秋摘み茶の場合茶色というのが一般的なイメージです。
何故同じ産地で採れたお茶なのに、こうも色が違うのでしょう?私がこれまで読んだ本、聞いていた話は、「春の芽は新鮮だから緑色」と言った非常に意味のない内容でした。
今回良く理解したのですが、これらの差は工場により意図的に作られております。つまり、夏摘み茶も、春摘み茶のように緑色にすることが出来るし、逆に春摘み茶をオータムナルのように茶色に加工することも可能です。
これらの3シーズンの品質の差は何により作られているかというと、萎凋と呼ばれるプロセスです。萎凋とはこれまでも何度も説明してきましたが、収穫後のお茶を萎れされる工程です。
この萎凋工程ですが、ダージリンのティー工場で最も大切な工程と言われており、萎凋が上手くいけば70%の品質は決まったも同然と言われるほどです。工場の中でも萎凋工程を管理する人は最も重要な技術者で、将来の工場長候補です。
紅茶の萎凋は、萎凋漕と呼ばれる金属製のボックスの底面に茶葉が薄く並べられます。底面には多孔板で出来ており、沢山の穴が開いております。
萎凋漕へは強力な送風機で空気が吹き込まれるようになっており、底面に並べられた茶葉は下から空気を吹き付けられます。
萎凋とは空気を連続的に吹き付けることで、人工的に茶葉を萎れさせる工程です。この工程は烏龍茶・紅茶、一部の緑茶に共通しておりますが、花のような香りのするお茶はみな萎凋が行われていると考えて良いでしょう。
萎凋を行うことで、成分が分解し、うっとりするような香りが作られます。また、ポリフェノールに含まれる糖が加水分解され遊離することから甘みが飛躍的に増加します。
普通の紅茶の場合、萎凋後の水分は50%前後となります。その後、揉捻により細胞が破壊されることで発酵が開始され、紅茶特有の茶色に褐変するのです。
ところか・・・・・ダージリンティーの場合、萎凋の程度が他の紅茶とはかなり異なります。萎凋はとても長く24時間以上行われ、また、ダージリンティは高山で収穫されるために元々も茶葉の水分も比較的少なく、萎凋後の水分はたったの30%になってしまいます。
30%しか水分を含まない茶葉は、その後の揉捻工程で細胞を破壊しても、あまり酸化が進まないのです。言い換えると、酸化発酵には水分が必要です。リンゴを切ったときに直ぐ茶色くなる現象もお茶と全く同じ酸化発酵です。萎びたリンゴの場合、新鮮なリンゴほど茶色くなりません。このことからも言えるように、酸化酵素が活性化するためには十分な水分が必要なのです。
十分な水分がないままに次工程に送られた茶葉は不十分な発酵をします。言い換えると、半発酵なわけです。つまり、ダージリンティは紅茶ではなく烏龍茶なのです。
私は以前からダージリンティーは烏龍茶だと思っておりました。茶殻を見れば一目瞭然ですが、緑と赤色が斑点になっており、どう見ても烏龍茶なのです。
私がダージリンは烏龍茶という意見に対し、インドカルカッタのお茶商人は猛反対し「ふざけるな」と言わんばかりの態度でした。インドのお茶商人の殆どは実際にお茶の知識はありません。インドのお茶しか見たことがなく、また、彼らのテースティング能力及びお茶の加工に関する知識にはかなり疑問を感じます。
ところが、同じ意見を、茶園を統括するエステートマネージャーにいたところ、「勿論、ダージリンティイーは烏龍茶ですよ」と言われました。あまりにあっけなく、ダージリンティー烏龍茶説が認められてしまいました。その後数人のマネージャーと会ったのですが、皆同じ事を言います。ダージリンティは紅茶として知られておりますが、お茶の加工の視点から分類からすると、烏龍茶と同じ、半発酵茶なのです。
春摘み、夏摘み、オータムナルに顕著な色やや味の違いがある理由は、萎凋の程度及び発酵時間を意図的に変えているからだそうです。何故、春摘み茶は緑色かというと、マーケットがそれを求めているからだそうです。逆にマーケットのトレンドが変わった場合、異なる加工法をすると言っておりました。
茶葉は同じ茶園でも木により、時期により、また、生育場所により水分が全く異なります。これらの特性を正確に見極め、茶葉に適した萎凋を行うことが良いダージリンティーを作り出すポイントなのです。
1,Twitterをフォローする。2,FaceBookで「いいね!」を押す。3,メールマガジンに登録する。という3つの方法で、お茶に関する最新情報をキャッチすることができます。今すぐ下のツイッターフォローボタンや「いいね!」をクリック!
メールマガジン登録で無料サンプルをもらおう!
- メールマガジンにご登録いただくと無料のサンプル茶葉のプレゼントや希少商品の先行購入など様々な特典がございます。ソーシャルメディアの購読だけでなく、メールマガジンへのご登録もお忘れなく!
- 火地古樹生茶 散茶 2025 発売のお知らせ
- 火地古樹生茶 散茶 2025を発売しました。 本品は、中国雲南省臨滄市南西部、標高約2100mに位置する自然栽培の老樹から作られたプーアル生茶です。 高山に育つ樹齢数百年の茶樹は成長が遅く、そのため茶葉は濃厚で透明感のあ …
- 華やかに立ち上がる花の香り:鳳凰単叢老欉姜花香2023を発売
- 鳳凰単叢 老欉姜花香2023を発売しました。鳳凰単叢の多彩な香型の中で独自の存在感を放つ「姜花香」。華やかな名前の陰に隠れがちですが、現地ではその力強い香りで特に注目されるお茶です。本品は2023年に仕入れ、日本にて無酸 …
最新の記事 NEW ARTICLES
火地古樹生茶 散茶 2025 発売のお知らせ
- 火地古樹生茶 散茶 2025を発売しました。 本品は、中国雲南省臨滄市南西部、標高約2100mに位置する自然栽培の老樹から作られたプーアル生茶です。 高山に育つ樹齢数百年の茶樹は成長が遅く、そのため茶葉は濃厚で透明感のあ …
華やかに立ち上がる花の香り:鳳凰単叢老欉姜花香2023を発売
- 鳳凰単叢 老欉姜花香2023を発売しました。鳳凰単叢の多彩な香型の中で独自の存在感を放つ「姜花香」。華やかな名前の陰に隠れがちですが、現地ではその力強い香りで特に注目されるお茶です。本品は2023年に仕入れ、日本にて無酸 …
永徳野生白茶2025 散茶 数量限定リリース
- 永徳野生白茶2025 散茶の発売 永徳野生白茶の散茶を発売しました。 https://hojotea.com/item/w31.htm 2025年は永徳野生茶は、白茶散茶のみ生産しました。 極めて限定量しか入手できないお …
唐家古樹生茶 2025 散茶発売:作りたて新茶の魅力
- 唐家古樹生茶 2025の散茶を発売しました。 https://hojotea.com/item/d102.htm HOJOのプーアル生茶ラインアップの中でも定番となる唐家古樹生茶には強い思い入れがあり、特に多くの手間と時 …
大雪山野生生茶2025年版 散茶少量入荷のお知ら
- 大雪山野生生茶2025年の散茶を発売しました。 https://hojotea.com/item/d27.htm 今年は生産できた量が非常に少なく、雲南省の標高2000mを超える山林に自生する茶樹から、毎年春にごく限られ …
白岩山古樹生茶2025 散茶|標高2300m・限定量入荷
- 白岩山高山茶2025の散茶を発売しました。 白岩山は、私たちがプーアル茶を製造している産地の中でも最も標高が高く、標高2300mの茶園から茶葉を収穫しています。 非常に限られた数量のみの入荷となっておりますので、ぜひお早 …
雲南省の自然栽培茶で作った釜炒り緑茶
- 雲南春尖緑茶を発売しました。 標高2100mにある自然栽培のお茶を原料とした、プーアル茶クラスの長い余韻が特徴のお茶です。 雲南省という比類なき茶葉原料の産地 私はお茶の会社を創業して20年間の間、あらゆるお茶産地を訪問 …
産地の潮州・汕頭で人気の鳳凰単叢八仙2022を発売
- 2021年以来となる鳳凰単叢八仙の新ロットを発売いたします。 今回発売するお茶は、2022年産のお茶です。数年の熟成期間を経て非常に良い状態に仕上がりましたので、販売することにいたしました。 https://hojote …
大雪山野生白茶 散茶 2025年産の新茶を発売
- 大雪山野生白茶2025を発売しました。 https://hojotea.com/item/w11.htm 雲南省の山に自生するカメリアタリエンシスを原料に、今年も現地で原料選別から製茶まで関わって生産しました。 野生茶な …
2025年産の古樹白茶と古樹白牡丹を発売
- 2025年産の古樹白牡丹と古樹白茶、2種類を発売しました。 いずれも無農薬・無肥料で作られたお茶です。 実は少し前から販売していましたが、公式にはお知らせしていなかったため、本記事を書きました。 生産者と共に作り上げるお …
- HOJO通販新着
- 特集
- メールマガジンバックナンバー
- お茶の種類
- お茶の産地
- 茶器・急須
- お茶のコラム-雑学-歴史-文化
- お茶を楽しむ
- お茶の作り方-製法
- お茶の品質を決める各種要素
- お茶の成分と効能
- お茶の安心と安全
- 食品
- お茶ビジネスの運営・記録
- 趣味活動
- お茶のランキング-おすすめ
- お茶に関する動画
- お茶に関するQ&A
- メディア掲載

- an anにてジャスミンパールが紹介されました。
- an an 「マガジンハウス出版」 No.1865、2013年7月24日号「夏のお取り寄せ」特集で弊社のジャスミンパールが紹介されました。
- マレーシアの全国紙 “Star Newspaper”に掲載して貰いました。
- 先日、マレーシアの全国紙「Star Newspaper」でHOJOの特集をしてくれました。 Starはマレーシアで最も購読数の多い新聞で、マレーシアのメディアでは最も影響力の大きな新聞です。 新聞の内容は、茶器によりお茶 …

住所:Lot No. T-215, 3rd Floor, Mid Valley City, Lingkaran Syed Putra 59200 Kuala Lumpur