唐家古樹生茶は雲南省臨滄市の西部、標高2000m〜2100mの茶園産の春茶から作りました。唐家の名前の由来は茶園が「唐」という名字の一家によって所有されているためです。唐家所有の茶園は高樹齢の老木が沢山あり、誰もが羨むような茶園にもかかわらず、2018年までの過去約30年にわたり1度もお茶摘みがされず茶園は放置されておりました。

家庭の事情で30年間放置されていた古樹茶園

実は、唐家はその昔は茶農家を生業としていたのですが、現在の当主が家を継いで以来、牛と山羊の放牧を生業とするようになりました。雲南省の中でも臨滄の高山地帯で野の草を食べさせて放牧した牛や山羊は非常に肉質が良く高い値段で売れます。この地域は標高が高いことで牛の肉質が良く、檻の中で飼った牛でも1匹1万元(約15万円)で売れます。自然放牧で野生の草を食べさせた牛ともなると、価格は更に高く、放牧業は村人の憧れの職業でもあります。この為、茶園オーナーの中には、唐氏のように、放牧業へと仕事を変える人は割に多いようです。

当初、唐家では唐氏(写真上)が放牧をするかたわら、奥さんがお茶に関わることを期待していたようなのですが、唐家の奥さんは放牧で十分に収入が得られるため、農業をやりたがらず、茶園はずっと放置されておりました。ただ、農業をしないことで、家族、特に姑との仲がぎくしゃくしており、遂に数年前に離婚してしまいました。

子山羊を触ろうとしている私

既に50歳過ぎの唐氏ですが、前の奥さんが唐家を去った後、新しい奥さんと再婚しました。再婚相手はミャンマーのカチン州出身の難民の女性でした。

カチン州と言えば、数年前まで戦闘機や迫撃砲が飛び交うような激しい内戦地域です。臨滄西部はミャンマーから50km程度しか離れていないため、難民の受け入れをしており、鎮康県や永德県ではミャンマー人と結婚する人も珍しくありません。

ところで、ミャンマーから来た新しい奥さん(写真上)は、猛烈な働き者で、30年間の放置で完全に藪と化した茶園の下草や雑木を次ぎ次に切り倒し、気がつけば、半年足らずで唐家の茶園はお茶が摘める状態に整備されておりました。あまりの凄まじい仕事ぶりに、唐家の新しい奥さんは、村でも有名になり、近所では「ミャンマーの妻の古樹茶園」とまで呼ばれるようになりました。

実は2018も唐家のお茶を仕入れようとしたのですが、多くの人が注目しており、原料茶葉の取り合いとなった結果、私は少量しか仕入れることができませんでした。そこで2019年は、唐家の茶園をレンタル契約することを考えました。たまたま私が共にプーアル茶作りをしている生産者と唐家は親戚関係だったため、今年は生産者を通じて契約料を支払い、唐氏の茶園を1年間更新で契約する事が出来ました。

この地域の慣習では、茶園のレンタル契約した場合、茶園のレンタル料を支払い、更に、お茶摘み料は別途ミャンマーの奥さんに相場相応の値段を支払います。つまり、唐家としてはレンタル料分が追加収入となります。

藪が刈られ整備された唐家の茶園

時間をかけてゆっくりと成長したお茶の木

不思議なもので、数百歳まで元気に生き続けているお茶の木でも、肥料を与えると急に弱くなり、突然病気になったり、枯れてしまうことがあります。このような事実を経験的に知っている農家は、お茶の木が弱るという理由から肥料を全く使用しません。唐家に於いても昔から無肥料による栽培を行っており、現在も一切の肥料を与えておりません。

非常に標高が高い上に、老木で、無肥料栽培ゆえ、お茶の木はとてもゆっくりと生長します。この為、唐家で1番茶のお茶摘みが始まったのは5月に入ってからでした。同じ地域でも標高1400-1500mの茶園は3月の下旬にお茶摘みが行われることを考慮すると、極めて成長が遅いお茶と理解できます。時間をかけて育ったお茶は細胞密度が高く、ミネラルを始め、ポリフェノールが突出して多く含まれており、お茶の味わいをより豊で濃厚にします。

唐家の茶園にあるお茶の老樹

現場で生産管理をすることで理想の品質にお茶を加工

とても良い原料が仕入れられたため、加工に関しても萎凋→釜炒り→揉捻→乾燥の各工程でサンプルを抜き取り評価をすることで、徹底した工程管理しました。お茶は熱を加えれば加えるほど成分は変化します。特に、殺青時にあまり熱をかけ過ぎないように制御することで、生茶ならではの豊で繊細な味に仕上がるように工夫しました。

また、完成した散茶は私達が長年かけて見つけた緊圧の専門業者へと輸送し、蒸気、圧力、型の材質、乾燥方法や乾燥を行う日の気象条件等、細かな仕様を指定し、更に、作業日には立ち会って作業条件を確認することで、私達の経験上理想とするスタイルの餅茶へと加工しました。実は餅茶への加工方法はプーアル茶の品質に大きく影響します。HOJOでは家内制手工業のような小規模な緊圧業者とお付き合いしており、そのおかげで小ロットの加工にもフレキシブル且つ正確に対応して貰っております。

お茶酔いしそうな深くやわらかな後味

唐家古樹生茶はミディアムボディで、非常に深い後味(コク、余韻)が感じられます。香りは新茶の内は比較的穏やかでマリーゴールドや餅米のような甘い香りがします。

唐家古樹生茶は、突出して濃厚なポリフェノールを含有しているため、熟成速度も速く、熟成により強い蜜香やフルーツ香が形成される事が期待できるお茶です。昨年作った唐家古樹生茶のサンプルを少量マレーシアで保管しておりますが、今の時点で強いフルーツ香と蜜の香りがはっきりと感じられ、とても理想的に熟成しております。お茶を経年熟成させたい場合、無酸素での熟成をお勧めします。HOJOでは出荷時に脱酸素処理をしておりますので、未開封のまま保存してください。温度が高いほど熟成は早く進みます。開封して保存した場合、変化は非常に速い反面、熟成香と同時に(ヒネ臭的な)酸化臭が形成されるため、私は個人的にお勧めしません。また、開封直後は数日間空気酸化させることで香りを開かせるようにしてください。
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唐家古樹生茶は原料の品質、加工の品質共にとても満足できるお茶に仕上がったと思ってます。開封後、もし香りがやや弱いと感じられた場合は、数日おいてから再度試してみてください。餅茶表面の水分が多少抜けることで、香りが引き締まり、より香りがシャープ、或いはクリアーに感じられます。

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