水の味の比較

 

お茶をいれる時のお湯ですが、一般的には沸騰するまで沸かしてから使用するようにと言われております。しかし、実際に生水と、湯冷ましの味の違いを正確に把握している人は少ないのではないでしょうか?そこで、沸かすことにより、水の味がどのように変化するのか、実験をまじえて紹介したいと思います。

 

新品のガラスで沸かし、水の味の変化をテイスティング

実験をするにあたり、ヤカンや既存の湯沸かしで沸かした場合、すでに内部に付着しているカルシウムの影響を受けます。
したがって、新しく購入したばかりのガラスのコップをもちい、電子レンジで沸騰させました。その後、自然冷却して常温に戻してから、常温の生水と飲み比べをしました。

水を電子レンジで沸騰

 

結果

 

水のコク

生水 > 湯冷まし

 

水のボディ(ふくよかさ)

湯冷まし > 生水

 

この結果から以下の点を考察することができます。

生水はコクを強く引き出す点から、緑茶には比較的向いております。事実、緑茶を水出しにした場合、生水で水出し茶を作っても楽しむことができます。
緑茶を湯でいれる場合、従来法のように沸騰してから冷やすのが全てではなく、加熱途中に理想的な温度になった時点で火を止めて、沸騰せずにいれるというのも理論的には問題ないと思います。

ただし、火が強めに入っている緑茶、焙じ茶、萎凋が強めに行われているような緑茶の場合、香りを引き出したい為、一旦沸騰した湯を使うことが重要です。一旦沸騰した水の場合、ボディがあり、香りが立ちやすい特徴があります。だからこそ、発酵茶をいれる際にはしっかりと沸騰することが重要なのです。

 

ヤカンで沸かすと更にボディが増す

今回の実験は新品のガラスで行いましたが、ヤカンで湯を沸かした場合、ヤカン内部に付着した炭酸カルシウムが味に影響をします。実際、ガラス+電子レンジの湯と、使い古したヤカンで沸かした水を比較した場合、やかんの湯の方がボディが強く感じられます。ボディが強くなると、反面コクは弱くなる傾向がありますが、それは朱泥急須や南部鉄器のような鉄分が豊富な茶器を組み合わせることで、ボディを維持しつつ、コクを更に増すことができます。

次回は、沸騰時間と味の関係を実験してみたいと思います。

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