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マグネシウムとお茶の渋味の深い関係
- [2016.05.21] Written By 北城 彰(Akira Hojo)

土には様々なミネラルが含まれており、各種ミネラルがそれぞれに味に対して特有の影響を与えます。茶器を作る上で、或いは、各産地の土壌によるお茶の味への影響を理解する上で、個々のミネラルがどう味に影響をするか理解する事は重要なことです。今回は、高純度のマグネシウムを入手しましたので、味がどう変わるか評価を行いました。
土壌中や食品・水に含まれるマグネシウム
マグネシウムは茶園でも苦土の名称で一般に用いられるミネラルです。また、岩塩などではマグネシウムを多く含む「にがり」をうたっている商品があります。ミネラルフォーターに関してもマグネシウムを微量に含有しております。急須を製作する土でも、マグネシウムを多く含む土、また、その逆もあります。また、植物の葉緑素である、クロロフィルもその分子構造の中心にマグネシウムを有しております。(化学では錯体と言います。)様々な形でマグネシウムはお茶に深く関わっており、ゆえにマグネシウム単体での味を評価することは、マグネシウムがお茶の味にどう影響しているかを評価するうえで、非常に有用な手段と考えました。
純度の高いマグネシウムの味への影響を評価
マグネシウムの味への影響を調べるため、99.9%の純度のマグネシウムリボンを入手しました。
金属のお茶の味への影響を評価するには、金属をお茶に触れれば簡単に評価することが出来ます。したがって、マグネシウムをお茶に触れ味の変化を確認しました。

結果
- 余韻(コク・喉越し)が劇的に失われ、フラットな味わいに変化
- ボディ(ふくよかさ)もカットされ、非常に軽い飲み味に変化
- 苦味は特になし
- 舌に残る渋味(ざらつき)を呈する
結果、お茶は奥行きを失い、また、香りや味の広がりもなくなると同時に、渋味が形成されました。マグネシウムはお茶の味を好ましくない方向に変化することから、今後、土・水などを選択するときはマグネシウムの含有量が1つの選択指標になると思いました。
窒素肥料・苦土・渋味の関係
農業分野ではマグネシウムは「苦土」と呼ばれ、茶園に施されることがあります。農業の参考書によると、窒素肥料を散布するとマグネシウム欠乏になるために苦土を施す必要があると書かれております。窒素肥料を入れることでお茶の成長が促されるために、光合成速度が増し、より多くの葉緑素が合成され、その結果、マグネシウムが不足するという図式です。つまり、窒素肥料とマグネシウムはセットであり、窒素肥料を多く与えたお茶は、より多くの葉緑素(クロロフィル)を含み、クロロフィルの数とマグネシウムの数は相関関係にあります。私の経験上窒素肥料を多く与えたお茶は与えてないお茶に比べて渋味(雑味)を呈します。これにはクロロフィル内のマグネシウムが関係している可能性が推察されます。今後、マグネシウムを添加した茶園、添加してない茶園で、お茶の味をそれぞれ比較してみたいと思いました。
遅摘みのお茶が渋味を呈する理由
私の経験上、遅摘みのお茶(番茶)は渋味を呈します。遅摘みのお茶の場合、季節が進み生育環境がより温かくなるため早摘みのお茶よりも成長速度が速くなります。その結果、光合成がより活発に行なわれ、葉緑素:クロロフィルが多く合成されます。つまり、遅摘みの茶葉にはより多くのマグネシウムが含まれます。茶葉に含まれているマグネシウムは葉緑素(クロロフィル)と結合した状態で存在しておりますが、その一部は加工中の酸化により放出されます。私は遅摘み茶が渋味を呈するのは放出された、遊離のマグネシウムが関係するのではないかと考えております。
お茶が酸化することで形成される渋味の原因(仮説)
お茶の場合、放置して酸化が進むと、舌がざらつくような不快な渋味が増加します。クロロフィルは酸化すると、フェオフェチンと言う物質へと分解しますが、同時に分子内のマグネシウムを放出します。お茶の酸化が進むことで、クロロフィルから放出された遊離のマグネシウムが増加することから、私は酸化による渋未形成は、放出された遊離のマグネシウムが関係するのではないかと考えております。
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