プーアル茶が塊になっている理由

[2010.12.21] Written By

无量山
プーアル茶は「緊圧」と言って、四角や円形のビザのような形に固められます。
何故固めるのでしょう?
と言う問いをすると、必ず返ってくる答えは、「持ち運びがし易いから」というものです。
プーアル茶は大昔から、重要な交易アイテムであり、茶馬古道(雲南省の四双版納からミャンマーのマンダレー方面に延びる第2のシルクロードとも呼ばれる交易ルート)で取引が行われておりました。
散茶は非常に嵩が大きく、空気を運んでいるような物なので、緊圧することで高密度でコンパクトになり確かに運びやすいのは確かです。

圧縮する事で真空にする

実は、緊圧にはもう一つの理由があります。
こちらの理由は、最初から意図されたのか、結果的にそうなったのかは分かりませんが、非常に重要な役割です。
硬く緊圧された茶葉の内部は真空状態になっております。硬く圧縮されるため、茶葉内部に含まれる空気が追い出され、無酸素状態となるのです。
この為、硬く緊圧された茶葉の場合、長期保存を行った場合、無酸素状態にて熟成が行われます。
プーアル茶は熟成時に呼吸させた方が良いという説を唱える人がおりますが、緊圧茶の内部が真空状態になっていることを考慮すると、この「呼吸」は迷信であることが分かります。

お茶の熟成に酸素は不要

硬く固まったプーアル茶を長期間保存した場合、表面は外気に触れるために酸化し劣化します。しかしながら、内部には酸素が無いため、プーアル茶の外側とは異なる変化をします。つまり、保存後のプーアル茶は外側と内側で味が異なります。

お茶は酸素が無くても熟成します。例えば、台湾の烏龍茶の場合、火が入っていない清香タイプのお茶を、空気のある環境下で数年放置した場合、茶葉からはプラスチック臭のような香りがします。このお茶を美味しく頂こうと思ったら再度軽く火を入れる必要があります。
反面、無酸素状態で数年保管された清香タイプの烏龍茶は、完熟の桃や杏のような香りになります。袋を開けた瞬間に、強烈な果実香がし、一度飲んだら一生忘れない素晴らしい香りがします。
プーアル茶も同様に無酸素状態で熟成すると、フルーティで素晴らしい香りに変化するのです。
但し、別のジレンマがあります。
硬く緊圧しようと思ったら、より多くの水分を与え、非常に強い圧力で圧迫する必要があります。
この場合、茶葉は乾きにくくなり、緊圧工程直後の乾燥に支障を来しやすくなります。
かと言って、弱い圧力で緊圧を行った場合、内部が真空状態になりません。
このジレンマを解消するため、私はプーアル茶は脱酸素剤を入れたり、真空包装をすることで無酸素状態にし、熟成するようにしております。
真空包装をされたプーアル茶を見ると、真っ向から否定する人もおりますが、プーアル茶の緊圧方法を深く理解すると、実際は真空包装が適しているように思われます。

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