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カメラのレンズ選びと茶器選びの共通点
- [2013.09.18] Written By 北城 彰(Akira Hojo)
陶器の急須でお茶をいれるとまろやかになると言われますが、日本語の「まろやか」という言葉には2つの意味が含まれております。一般的に日本語でまろやかと表現される味覚には、コク、ボディの2つの意味を含んでおります。フランス語や中国語と比べると、日本語における味を表現する言葉は非常に曖昧です。
実際、急須にもちいられる土の種類によりコクを強める場合、ボディを強める場合、さらに、コクもボディも強める場合があります。また、急須の中には、コクもボディも無くす土、渋味を高める土も意外に多く存在します。
急須が水に与える影響は、急須を構成する土に含まれるミネラルの種類、さらに、焼成の仕方、例えば、酸化焼成か、還元焼成かによって決まります。
鉄分はコク、カルシウムはボディに影響
茶器に含まれるミネラルですが、鉄分はコクに影響し、カルシウムなどのようなアルカリ性のミネラルはボディに影響します。例えば、私が販売している野坂土は、アルカリミネラルが少なく、コク偏重型の茶器です。それに対し、信楽土や古琵琶湖土の場合は、アルカリミネラルが豊富に含まれていることから、ボディ偏重型の茶器です。尚、古琵琶湖土には鉄分も多く含まれることから、コクとボディの両方が強く感じられます。
還元焼成はコク、酸化焼成はボディ
また、一般的に、同じ土で酸化焼成と還元焼成を比較すると、還元焼成はボディが弱めに、逆に、コクが強く感じられます。酸化焼成は、ボディが強めで、コクが弱めになります。
ボディとコクの強弱による味覚の変化
ボディを高めることなく、コクのみを高めた場合、透明感、スッキリ感、シャープさ、クリアー感が増します。また、ボディが高まると、豊かさ、厚み、ふくよかさ、ボリューム感、まるみが増します。
基本的には、半発酵茶と紅茶の香りを楽しむ為には、ボディは重要な要素です。ボディが不足した場合、香りが強く感じられません。ダージリンティをボディが足らない茶器で飲んだ場合、ふわっと立ち上る香りが感じられず人によっては物たら無さを感じます。ただし、ボディが強い方が良いか、弱い方が良いかという問題には個人の好みも影響します。
茶器選びは、カメラのレンズ選びと同じ
よくお客様から、「一番性能の良い茶器はどれか?」、或いは、「私が一番好きな茶器はどれ?」と質問を受けることがあります。この質問に対しては、正直、答えるのが困難です。茶器の性能という言い方をしますが、実際は優劣をつけることは出来ません。
茶器を選ぶのは、ちょうど一眼レフのレンズ選びと似ております。レンズには広角、標準、望遠、ズームレンズがあります。一番手軽なレンズと言えば、ズームレンズでしょう。ただし、こだわりのある人は、ズームでは物足らないと言われるかも知れません。私もカメラが好きで、単焦点の広角レンズや、単焦点の望遠レンズも所有しております。広角や望遠レンズは、ある意味、特殊なレンズですが、目的によってはその機能を必要とする場合があります。
茶器の場合も同じで、ボーンチャイナや信楽土のようにコクもボディもほどほどの茶器は普段使いには良いと思います。逆に、コクが突出している茶器、或いは、ボディが突出している茶器は、お茶の性格を極端に変えてくれるため、非常に面白く、私はTPOに合わせて使い分けております。例えば、朝起きたばかりに、透明感ある味香りを楽しみたい場合、野坂の還元焼成のように、コク重視の茶器をつかいます。午後以降、香りをしっかりと楽しみたい場合、無名異の酸化焼成や古琵琶湖土の酸化焼成の茶器を使います。
幾つかの異なる性能の茶器を所有することで、同じお茶をいろんな味と香りで楽しみことができます。これは、一台のカメラに対し、複数のレンズを所有することと似ていると思います。自分の好み、その時の状況に合わせて異なる茶器を使うと、お茶の楽しみ方の幅が広がります。
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