佐渡島では幻と言われる無名異上赤で急須を制作

[2014.09.29] Written By

無名異上赤

佐渡島の相川金山周辺や大佐渡山脈・小佐渡山脈で出土する無名異と呼ばれる赤土を用いた焼き物は無名異焼と呼ばれ、佐渡島を代表する焼き物です。無名異の中でも上赤と呼ばれる「特別な土」を用い、後手や横手の急須をプロデュースしました。

無名異は相川金山周辺の山から採取

金山の採掘が活発であった時代は、金鉱内からも無名異土が採取されておりましたが、全ての金鉱が廃坑となった現在では佐渡島の作家は、大佐渡山脈の山中など、独自の場所から無名異を採掘し、自ら精製した上で作陶に用いております。私がお付き合いしている、清水謙氏、渡辺陶三氏もそれぞれ独自の採掘場所をもっており、自ら採掘の手配をしておりました。(ただし、2年前から世界遺産申請のために相川周辺での無名異の採掘は禁止となりました。)

相川周辺での無名異の採掘現場

無名異の原土

無名異の原土

無名異

幻の土、無名異上赤

無名異と呼ばれる土の他に、佐渡の作家の間で上赤と呼ばれる土があります。この土は初代の三浦常山などが作陶に用いていたとも言われている土で、作家の間では極上の土と位置づけられています。
上赤とは、金鉱の内部から回収された土の呼称です。土自体は大佐渡山脈などで採掘された赤土(無名異土)と基本性質は同じなのですが、金鉱の壁を染み出す過程で濾過されているために、上赤は普通の無名異と比べると極めて微粒子により構成されております。つまり、無名異上赤は天然の岩によって濾過された土と言えます。
一般に、大佐渡山脈などで採掘された無名異と呼ばれる赤土は、粒子が粗いために粘性が低く、この土単一では轆轤でひくことが出来ません。この為、佐渡の無名異焼は無名異と呼ばれる赤土に、野坂と呼ばれる黄土をある一定割合ブレンドすることで作られます。
それに対し、上赤の場合、洞窟内の岩壁を通じて自然の精製が行われており、粒子系が非常に細かく、この土単一でも急須を制作が可能です。

無名異 上赤

味をふくよかにする無名異上赤

上赤と言っても、この土を定義するのは「金山の坑道内で採掘される土」という点「粒径が細かい」という点です。しかし、粒度が細かいという点は、茶器としては非常に重要な要素となります。粒度が細かいと言うことは、より低い温度で焼きしめることが可能となります。また、土を構成するミネラルの粒径が細かいことは、急須がより多孔質になるため、表面積が大きく、味への影響がより大きくなります。

 

世界遺産登録により入手が不可能となる無名異

現在、国の文化庁が中心となり、相川金山を世界遺産に登録しようという活動が行われております。このため、相川金山周辺での土の採掘は既に禁止されており、今後、相川産の無名異を入手するのは事実上不可能となります。まして、無名異上赤は坑道内部から掘られた土であり、今後、この土が入手出来る可能性は非常に低いと推察されます。

相川金山

相川金山

無名異

無名異

無名異上赤の茶器を発売

非常に稀少な無名異上赤ですが、渡辺陶三氏が限定量を所有しており、この土を使用して茶器を製作する事が可能となりました。過去半年の間、複数の条件のもとで急須を制作 → 味を比較、焼成温度など条件の精査を繰り返した結果、希望する条件が定まったため、上赤の茶器を商品化するに至りました。江戸・明治時代に採掘されていた無名異焼の原料と全く同じ土で茶器の制作が出来ることは非常に興味深く、また、夢のような話です。

無名異上赤

無名異 上赤はボディを高める性質があり、お茶の香りや味わいを華やかにします。お茶の味への影響については、清水謙氏の無名異土と基本的な性質はにており、紅茶、烏龍茶等のような発酵茶に適しております。

日本茶(緑茶)、中国紅茶、白茶、プーアル熟茶、プーアル生茶、ジャスミン茶、烏龍茶という厳選された茶葉7種のお試しセット

この記事に関連するHOJO Teaの商品


関連記事 RELATED ARTICLES

お茶に関する最新情報を確実にキャッチするには? SOCIAL NETWORK

1,Twitterをフォローする。2,FaceBookで「いいね!」を押す。3,メールマガジンに登録する。という3つの方法で、お茶に関する最新情報をキャッチすることができます。今すぐ下のツイッターフォローボタンや「いいね!」をクリック!

メールマガジン登録で無料サンプルをもらおう!
メールマガジンにご登録いただくと無料のサンプル茶葉のプレゼントや希少商品の先行購入など様々な特典がございます。ソーシャルメディアの購読だけでなく、メールマガジンへのご登録もお忘れなく!

HOJO TEAオンラインショップNEWS一覧を見る

東山生茶・白毫銀針・茉莉銀針の3種類のお茶を発売
東山生茶2023、白毫銀針、茉莉銀針の3種類のお茶を発売しました。 東山生茶2023 https://hojotea.com/item/d63.htm 東山生茶2023を発売しました。東山生茶は当店でも非常に人気の高いお …
大雪山野生茶(生茶)2023年・2024年産 同時発売
大雪山野生生茶の2023年産と2024年産を発売しました。 2023年産については、マレーシアの倉庫で1年間熟成しております。 https://hojotea.com/item/d27.htm   雲南省でも入 …

最新の記事 NEW ARTICLES

東山生茶・白毫銀針・茉莉銀針の3種類のお茶を発売
東山生茶2023、白毫銀針、茉莉銀針の3種類のお茶を発売しました。 東山生茶2023 https://hojotea.com/item/d63.htm 東山生茶2023を発売しました。東山生茶は当店でも非常に人気の高いお …
大雪山野生茶(生茶)2023年・2024年産 同時発売
大雪山野生生茶の2023年産と2024年産を発売しました。 2023年産については、マレーシアの倉庫で1年間熟成しております。 https://hojotea.com/item/d27.htm   雲南省でも入 …
佐渡無名異焼作家の渡辺陶三作:野坂粗土還元急須が入荷
野坂粗土還元焼成の茶器を発売しました。 今回入荷したモデルは、茶壺(後手急須)、フリーカップ、マグカップの3点です。 https://hojotea.com/item/tozo_nosaka_reduction.htm …
佐渡島の渡辺陶三製作:野坂粗土酸化焼成の茶器が入荷
佐渡島の陶芸家、渡辺陶三氏による「野坂粗土酸化焼成」の茶器を発売いたしました。 https://hojotea.com/item/tozo_nosaka.htm   野坂は佐渡島の沢根にある地区名で、相川金山に …
2300mの野放茶園産、高山白茶を発売
高山白茶を発売しました。 このお茶の茶園には、次の2つの特徴があります。 1. 標高2200-2300mに位置する茶園 2. 完全に野生化したお茶の木で構成される野放茶園 非常に理想的な環境ゆえに、お茶の品質も素晴らしく …
標高2100mの無農薬・無肥料茶園産の高山紫茶2024
2024年産の高山紫茶を2種類発売しました。 https://hojotea.com/item/d53.htm 2種類とも、同じ生産者が同じ地域内に保有する茶園の茶葉ですが、茶園の位置が異なり、また、生産日も異なります。 …
大雪山野生茶(普洱生茶)2024の散茶を限定発売
大雪山野生茶は、雲南省臨滄市永徳県の大雪山に自生する野生のカメリアタリエンシスから作られたプーアル生茶です。 野生茶とは 野生茶とは、樹齢が高いお茶や野生化したお茶ではなく、山に自生している天然のお茶を指します。 過去に …
鳳凰単叢烏龍茶の産地、潮州市鳳凰鎮を訪問(2024)
先月、鳳凰単叢烏龍茶の産地である潮州市鳳凰鎮へ、仕入れと生産者との打ち合わせを兼ねて出張しました。ちょうど台風の時期と重なり、山から潮州に戻れなくなるなどのハプニングもありましたが、無事に仕入れを終えました。鳳凰鎮にはこ …
前川淳蔵作の伊賀天然朱泥急須、宝瓶各種入荷
前川淳蔵作の伊賀天然朱泥の茶器が入荷しました。 今回入荷したのは、丸型宝瓶、急須、絞り出し、茶海です。 https://hojotea.com/item/maekawa_iga.htm 数百年前に古琵琶湖の湖底に沈殿した …
佐渡島:渡辺陶三作、無名異上赤茶壺と宝瓶が入荷
渡辺陶三氏作の無名異常赤急須および宝瓶が入荷しました。今回の入荷品は、後手タイプが中心です。 https://hojotea.com/item/tozo_joaka.htm 非常に稀少な上赤 「上赤」は、佐渡島の相川金山 …

PAGETOP