お茶の味を大きく左右する湯沸かしの選び方

[2018.02.06] Posted By

お茶をいれる際、急須の材質にはこだわりがちですが、意外に見過ごされているのがやかんの材質です。やかんの材質が不適切な場合、どんなに良い急須を使っても、お茶の本来の味香りを楽しむことができません。また、不適切な材質の湯沸かしを使用しつづけると、急須にも悪影響を与えます。

お湯を沸かすのにお勧めはステンレスの湯沸かし

私も様々な種類の湯沸かしを使用した経験がありますが、結論としては、ステンレスのヤカンをお勧めしております。中国でのお茶の専門家の多くはステンレスの湯沸かしを使用し、2割くらいの人はガラスの湯沸かしを使用しております。ガラスも無難な選択です。


ステンレスと言っても、使用されている材料によって金属の含有割合は様々ですが、私の経験上、鉄が何パーセント、ニッケルが何パーセント等、そこまで細かくこだわる必要は無いように思います。ただ、注意すべき点としては、ステンレスのやかんを使用しているつもりでも内部にアルミや銅など、異なる材質の金属が使用されていることがあります。その様な場合、やかん本体の材質がステンレスでも味に悪影響を与えます。

山奥のお茶生産者でも中国ではステンレスの湯沸かしが一般的

アルミ、銅、真鍮、銀はお茶に不向き

質の高いお茶飲む際に、お勧めしない材質はアルミ、銅、真鍮、銀です。これらの材料は余韻をカットし、渋味を呈します。お茶は質が高くなればなるほど余韻が長く、後味が濃く感じられます。お茶が好きな人は、この感覚が好きで良いお茶を求めるわけですが、前述した材料のやかんを使用した場合、折角の良いお茶も余韻が消えてしまうため、これらの材質を選択することは高品質なお茶を楽しむ上で致命的です。銅は時として味にプラスの影響があると思われがちですが、銅の場合、ふくよかさを高める反面、余韻をカットし、渋味を呈する性質があります。質の低いお茶やコーヒーを淹れた場合、もとのお茶自体にふくよかさと余韻がないため、特に影響はありません。

雰囲気があってオシャレでも真鍮はお茶に不向き

土瓶を初めとする陶製の湯沸かしをお勧めしない理由

また、あまりお薦めしないのは陶製の湯沸かし(土瓶)です。台湾製を中心に陶器の湯沸かしが多く流通しております。また、台湾の茶館などへ行くと、陶器の湯沸かしはごく普通に使用されております。外観的にはとても美しい陶製の湯沸かしですが、多くの陶器は、お茶の味への素材の影響を意識して材料が選ばれておりません。その多くが、ふくよかさは増すものの、渋味を呈し、水の余韻をフラットにする傾向があります。勿論、例外もあるとは思いますが、非常に希です。また、弊害として、陶製の湯沸かし(土瓶)などでお茶を淹れ続けると、その材料由来のミネラルが急須の内面に吸着することで、急須自体のの性能も劣化します。私の経験上、約1週間ほどで急須を通したお茶の味が劣化します。その後、湯沸かしをステンレスに戻しても、数ヶ月間使い続けないと急須の性能は元に戻りません。

鉄瓶選びと急須との組み合わせには注意が必要

鉄瓶は水の味を美味しくすると一般に思われておりますが、必ずしもそうでは無い場合もあります。鉄瓶の材料は、鉄100%なではなく、メーカー毎に材料は異なります。また、鉄瓶内面の補修に使用される材料もメーカー毎に異なり、それも味に影響します。私の経験上、中には余韻を消去してしまう鉄瓶もあり、全てのメーカーの鉄瓶が水の味を円やかにするわけではありません。鉄瓶選びをする際には、メーカー毎に良くも悪くも味が異なる点を意識することが大切です。
鉄瓶には、また、必ず急須との相性があり、合う急須と合わない急須があります。相性が合わない場合、鉄瓶単体のほうが、鉄瓶+急須よりも水の味が良いという場合もあり、注意が必要です。このようなややこしい事情から、鉄瓶を使用する際には、陶器の急須ではなく、磁器やガラスの急須を使用し、逆に、陶器の急須を使用する際には、ステンレスのヤカンで沸かした水を使用するのが無難です。

意外に実用的で味が良い市販品の電気ポット

最後に、意外にお勧めなのは象印やタイガーなどの大手メーカで販売している電気ポットです。内面がガラス製であることを確認する必要があります。一般に98℃の保温設定ができるようになっております。実際にやかんで沸騰させても、湯を注ぎだしたときには96℃くらいまで下がっていることを考慮すると98℃設定は非常に実用的です。長期間使用していると内面にミネラル(カルキ)が付着し、更に味が美味しくなります。このような理由から、機能的に問題がない限り、カルキは除去すべきではありません。

私は美味しいお茶を入手する為に、現地まで赴き、お茶の仕入や加工に尽力しておりますが、折角の良いお茶を入手しても、不適切な材質の道具を用いた場合、お茶の品質が飲む人に伝わりません。結果、美味しくないのはお茶が原因と思われることも多くあり、非常に心苦しく思います。お茶にこだわる人は茶器にもこだわりがちですが、湯沸かしを選択する際には是非上記の情報を参考にして頂けると幸いです。

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