プーアルジャスミン茶

HOJOではプーアル生茶を使ってジャスミン茶を作る試みをしております。お客さんからのリクエストがきっかけなのですが、私もコンセプトがとても気に入り、昨年から生産に取り組んできました。

昨年は生産段階で失敗

実は昨年は生産に失敗しました。その理由ですが、昨年はプーアル生茶の毛茶をそのままの形状のまま着香しました。

プーアル生茶の毛茶

プーアル生茶の毛茶(荒茶)

着香工程とは、プーアル生茶にジャスミンの花を混ぜ、茶葉にしっかりと香りを吸わせ、翌日の朝に篩にかけることでジャスミンの花と茶葉を分離します。茶葉への着香は一回だけではなく、ジャスミンの花と混ぜる工程は5-6回繰り返されます。毎回、新鮮な花をもちいて何度も着香を行うことで、茶葉にしっかりと花の香りを浸透させます。昨年は毛茶の状態のプーアル茶をもちい、そこにジャスミンの花を混ぜ込むことでで着香を行ったのですが、翌日にジャスミンの花と分離ができないという問題が発生しました。通常、ジャスミン茶の生産では、緑茶をパール状に丸めます。緑茶は真珠大の球形をしているのに対し、着香後の花は花びらが開き、パール状の茶葉よりもサイズが大きいために、篩にかけることで容易に分離することができます。昨年の生産実験では、プーアル茶の茶葉を丸めなかったために、ジャスミンの花と分離ができないことが発覚しました。その時点で急遽パール状に丸めることも検討したのですが、ジャスミンの花のシーズンが終わりに近づいていたこともあり、計画は頓挫しました。

ジャスミン茶

緑茶の着香工程

ジャスミン茶の選別風景

ジャスミン茶の選別風景

マニア好みのコクの強い原料を入手

そんなわけで、今年はプーアル茶をパール状に丸めることを前提として計画を立てました。まず、使用した原料ですが、臨滄の山岳地帯の少数民族による自然栽培茶を選びました。そもそも、プーアル茶をもちいてジャスミン茶を作る目的ですが、他の茶葉原料にはないレベルの深いコクとボディがあるジャスミン茶を作るためです。プーアル茶と言っても、プーアル生茶は茶色の色をしたお茶とは異なります。茶色の色をしたプーアル茶は、プーアル熟茶と呼ばれ、それに対し、私が今回もちいた原料はプーアル生茶です。生茶の茶葉は緑色をしており、お茶の性質的には白茶にとても近いお茶です。

プーアル生茶

プーアル生茶の茶殻は緑色

その中でも、香りの自己主張があまり強くなく、深いコクのお茶を選びました。このお茶の産地では、お茶の木は雑草の中に紛れるように自生しております。今回の原料を選んだ土地の少数民族は、お茶の木を自然の植物と同じように扱っております。お茶の葉はバナナの皮のように黄色に変色し、まるで野生の木のように力強く自生しておりました。このような環境下では木の生長が非常に遅いため、お茶の木一本当たりの芽の数は自然と少なくなり、茶葉一枚一枚のミネラルが濃厚になる事から、極めて味が濃く、コクの強いお茶になります。
自然栽培のお茶

雲南省の自然栽培茶

自然栽培茶

製造にさいしての不安点

プーアル茶としては非常に良い原料を選んだわけですが、私には不安もありました。プーアル茶の場合、茶葉自身の持つ香りがあるため、それがどの程度ジャスミンの香りと調和するか非常に不安を感じておりました。また、ジャスミンの花で着香をする際には、着香→乾燥→着香→乾燥と進めます。乾燥工程を間に何度もいれることで、茶葉の香りが変質し、ジャスミンの香りと合わなくなることも懸念されました。

今年は大成功

先日生産サンプルを受け取ったのですが、それを開封したとき、これまでの不安は完全に払拭されました。ジャスミンの香りが完全に勝っており、プーアル茶は担体としての機能を予想以上に良く果たしてくれました。茶葉の強いコクのお陰で、ジャスミンの香りには重量感があり、胸に吸い込まれるような濃厚な香りがしました。それにしても、このジャスミン茶のコクの深さは普通ではありません。「これほどまでにコクを深くする必要があったかな?」と思い返してしまうほど、コクの強いお茶になりました。味の濃い、深い喉越しのお茶が好きな人、舌の肥えた人に喜んでいただけるお茶ができたと思います。

ブラックパールな外観

パール状になったプーアル生茶は見た目は妙に黒く、お世辞にも美しいといえる外観ではありませんでした。見た目が黒いので、ジャスミンブラックパールとでも名前をつけようかとも思っているほどです。ただ、いったん湯を注ぐと、黄緑色の茶葉が現れ、プーアル生茶らしい外観となります。このお茶のもう一つの特徴は、何煎もいれ続けられることです。現在出荷の手続きを進めておりますので、今月中には紹介できそうです。

プーアル茶でジャスミン茶

日本茶(緑茶)、中国紅茶、白茶、プーアル熟茶、プーアル生茶、ジャスミン茶、烏龍茶という厳選された茶葉7種のお試しセット

関連記事 RELATED ARTICLES

お茶に関する最新情報を確実にキャッチするには? SOCIAL NETWORK

1,Twitterをフォローする。2,FaceBookで「いいね!」を押す。3,メールマガジンに登録する。という3つの方法で、お茶に関する最新情報をキャッチすることができます。今すぐ下のツイッターフォローボタンや「いいね!」をクリック!

メールマガジン登録で無料サンプルをもらおう!
メールマガジンにご登録いただくと無料のサンプル茶葉のプレゼントや希少商品の先行購入など様々な特典がございます。ソーシャルメディアの購読だけでなく、メールマガジンへのご登録もお忘れなく!

HOJO TEAオンラインショップNEWS一覧を見る

大雪山野生茶(生茶)2023年・2024年産 同時発売
大雪山野生生茶の2023年産と2024年産を発売しました。 2023年産については、マレーシアの倉庫で1年間熟成しております。 https://hojotea.com/item/d27.htm   雲南省でも入 …
佐渡無名異焼作家の渡辺陶三作:野坂粗土還元急須が入荷
野坂粗土還元焼成の茶器を発売しました。 今回入荷したモデルは、茶壺(後手急須)、フリーカップ、マグカップの3点です。 https://hojotea.com/item/tozo_nosaka_reduction.htm …

最新の記事 NEW ARTICLES

大雪山野生茶(生茶)2023年・2024年産 同時発売
大雪山野生生茶の2023年産と2024年産を発売しました。 2023年産については、マレーシアの倉庫で1年間熟成しております。 https://hojotea.com/item/d27.htm   雲南省でも入 …
佐渡無名異焼作家の渡辺陶三作:野坂粗土還元急須が入荷
野坂粗土還元焼成の茶器を発売しました。 今回入荷したモデルは、茶壺(後手急須)、フリーカップ、マグカップの3点です。 https://hojotea.com/item/tozo_nosaka_reduction.htm …
佐渡島の渡辺陶三製作:野坂粗土酸化焼成の茶器が入荷
佐渡島の陶芸家、渡辺陶三氏による「野坂粗土酸化焼成」の茶器を発売いたしました。 https://hojotea.com/item/tozo_nosaka.htm   野坂は佐渡島の沢根にある地区名で、相川金山に …
2300mの野放茶園産、高山白茶を発売
高山白茶を発売しました。 このお茶の茶園には、次の2つの特徴があります。 1. 標高2200-2300mに位置する茶園 2. 完全に野生化したお茶の木で構成される野放茶園 非常に理想的な環境ゆえに、お茶の品質も素晴らしく …
標高2100mの無農薬・無肥料茶園産の高山紫茶2024
2024年産の高山紫茶を2種類発売しました。 https://hojotea.com/item/d53.htm 2種類とも、同じ生産者が同じ地域内に保有する茶園の茶葉ですが、茶園の位置が異なり、また、生産日も異なります。 …
大雪山野生茶(普洱生茶)2024の散茶を限定発売
大雪山野生茶は、雲南省臨滄市永徳県の大雪山に自生する野生のカメリアタリエンシスから作られたプーアル生茶です。 野生茶とは 野生茶とは、樹齢が高いお茶や野生化したお茶ではなく、山に自生している天然のお茶を指します。 過去に …
鳳凰単叢烏龍茶の産地、潮州市鳳凰鎮を訪問(2024)
先月、鳳凰単叢烏龍茶の産地である潮州市鳳凰鎮へ、仕入れと生産者との打ち合わせを兼ねて出張しました。ちょうど台風の時期と重なり、山から潮州に戻れなくなるなどのハプニングもありましたが、無事に仕入れを終えました。鳳凰鎮にはこ …
前川淳蔵作の伊賀天然朱泥急須、宝瓶各種入荷
前川淳蔵作の伊賀天然朱泥の茶器が入荷しました。 今回入荷したのは、丸型宝瓶、急須、絞り出し、茶海です。 https://hojotea.com/item/maekawa_iga.htm 数百年前に古琵琶湖の湖底に沈殿した …
佐渡島:渡辺陶三作、無名異上赤茶壺と宝瓶が入荷
渡辺陶三氏作の無名異常赤急須および宝瓶が入荷しました。今回の入荷品は、後手タイプが中心です。 https://hojotea.com/item/tozo_joaka.htm 非常に稀少な上赤 「上赤」は、佐渡島の相川金山 …
非常に稀少な野生茶、永徳野生白茶2024を発売
永徳野生白茶を発売しました。このお茶は2021年に一度発売されましたが、瞬く間に売り切れ、その後の入荷はありませんでした。質が高く、個性的な香りで当店でも非常に人気の高いお茶です。 永徳野生茶は、雲南省臨滄市永徳県で、牛 …

PAGETOP