4月9日より中国雲南省にお茶の仕入に来ております。例年ですと、3月の終わりから雲南省入りしていたのですが、今年はシーズンの最後まで現地に滞在したいと思ったため、雲南省入りする時期を10日ほど後にずらしました。ここ一週間で様々な茶園をまわり、また複数の生産者を訪れることで、今年の雲南省のお茶の状況について把握しましたので簡単に説明したいと思います。

2019年の雲南省のお茶の生育状況

今年は3月に程良い雨が降り土壌が湿った後、4月になってからは晴天の日々がずっと続いております。また、中国の農歴(農業カレンダー)によると今年の春の訪れが例年よりも早いとされており、事実、例年の同時期と比べると今年は温かく感じられます。
このような状況により、お茶の成長は例年よりも1週間〜10日ほど早く推移しており、既に標高2000-2100mクラスの茶園でもお茶摘みが始まっております。
通常だと、標高に100mの差があると、収穫時期は1週間くらいズレが生じるのですが、今年は異なる標高間でもズレが数日に留まっており、この先10日間に多くのお茶の収穫がピークを迎えそうです。
今年のお茶の収穫状況を考慮すると、今後短期間に大量のお茶が出てくる為、時期後半になると、お茶の値段が崩れることも予想され、仕入れる側としては非常に興味深い状況です。

2019年の雲南省のお茶の品質

品質は一般的に成長速度と比例関係にあり、時間をかけて成長するほど、品質が高くなる傾向があります。その点では、今年のお茶は例年よりも早い時期に収穫されているために、品質が心配でした。しかし、意外にも今年のお茶の品質は非常に良く、私も生産者も驚いております。4月に入って晴天がずっと続いたことがお茶の品質に好影響を与えたようです。
但し、より標高が高く、樹齢の高いお茶の木の収穫が始まるのは今週以降ですので、今後の天気の推移は非常に重要な品質決定要素になります。雨が降ると、成長が早まることから品質は一気に下降します。通常、雨が降った日から2日間はお茶摘みを中止し、3日目から品質が正常に戻ります。

2019年の雲南省のお茶の価格状況

各地からの情報によると、緑茶市場を中心に、今年の中国茶市場は例年よりも冷え込んでいるとのことです。中国政府による汚職防止政策が非常に功を奏しており、政府間での贈り物が激減したために、それがお茶市場にも影を落としているようです。また、中国における開発事業が一段落したことから、建設業界に牽引されていた経済成長が鈍化したこともお茶市場冷え込みの一原因のように思います。雲南省南西部のお茶産地である臨滄地域の場合、僻地と言うこともあり、中国茶市場の冷え込みはあまり影響して無いように感じられます。ただ、今年はお茶の収穫量が短期に集中し、例年よりも収穫量が多いことから忙肺のような有名産地では値崩れが起きているようです。

写真は単株茶として販売予定のお茶の老木

一方、単株茶のような特殊な高級茶に関しては以前に増して需要が高まっております。ただ、単株茶については、玉石混淆でただ老木なら良いというわけではなく、高いお金を出すだけの価値のあるお茶を入手するためには、茶園の標高、茶園の環境、肥料の有無、除草剤の有無など、現地にてお茶の木の状態を見極める事が重要と考えております。

今後、5月の中旬過ぎくらいまで雲南省に滞在し各種お茶の生産を行う予定です。

先月発売した限定販売の単株茶2018についてですが未だ在庫が僅かに残っております。興味のある人は以下のサイトからご購入ください。
https://hojotea.com/jp/posts-1152/

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