偶に、お客さんから「以前飲んだ、桃の香りがする台湾茶が忘れられない」という話を聞くことがあります。
しかし、標準的な台湾茶の中には、桃の香りのする台湾茶はありません。
台湾のお茶専門店で、桃の香りがする烏龍茶(桃香烏龍)を探していると言った場合、香料で着香したフレーバー烏龍茶を紹介されると思います。
では、実際にこのようなお茶があるのか、私の経験を踏まえて説明したいと思います。

5種類に分類される代表的な台湾茶。

1.清香型とよばれる、文山包種茶、凍頂烏龍、阿里山茶、梨山茶のような花のような香りがするお茶。

2.1の烏龍茶を焙煎した、香ばしさ、カラメル、ナッツ香や、乾燥フルーツ系の香りがするお茶。

3.蜜香高山茶、東方美人、蜜香紅茶のように、ウンカが噛んだ茶葉で作られる、蜜香(マスカテルフレーバーと呼ばれる、マスカットのような香り)がするお茶。

4.木柵鉄観音や傳統式の重発酵烏龍茶。発酵をしっかりと行うことで、フルーツや乾燥フルーツのような香りを呈するお茶。(更に、このタイプのお茶を焙煎して、2のように仕上げたお茶も有ります。)

5.紅玉紅茶

 

焙煎をしてないお茶は、花やフルーツの香りがしますが、桃の香りがするお茶は一般的では有りません。

実は本当にある桃の香りがする台湾烏龍茶

一般的な台湾茶の中には桃の香りがするお茶は無い分けですが、実は、桃の香りがする台湾烏龍茶は本当に存在します!

種明かしをすると、高山烏龍茶系の清香タイプの台湾烏龍茶を経年熟成すると、驚くほど桃系の香りがするお茶へと変化します。
桃の香りがする台湾茶を飲んだという人の多くは、実は無意識のうちに熟成した台湾烏龍茶を飲んでいるのです。

勿論、元となる烏龍茶の種類によって、多少香りに違いがありますが、通常、桃のような香り、ネクタリンの香り、マンゴのような香り、或いは、桃とマンゴの混ざり合ったような香りへと変化します。
特に、天池梨山茶、梨山茶のような標高が特に高いお茶は、熟成したときの香りが特に感動的で、一度飲んだら忘れられない美味しさです。

HOJOのラインアップですと、凍頂烏龍(中発酵)、阿里山茶、翠峰茶、梨山茶、天地梨山茶などが熟成に最適です。

https://hojotea.com/categ/ool.htm

また、台湾烏龍茶ではありませんが、鉄観音の清香なども熟成をすると面白いお茶です。
結論として、微発酵タイプの烏龍茶は熟成で大きく化けます。その変化の幅の大きさゆえに、感動もひときわ大きいものです。

お茶を熟成する方法

熟成の方法は、お茶を無酸素で数年以上熟成するだけです。

無酸素といっても、真空バキューム包装のお茶は不適切です。バキューム包装をした場合、例えどんなに高価でプロ用の装置を使用しても1%の酸素が残存すると言われております。実は、この1%の酸素が悪さをします。

台湾では、バキューム包装のみで商品を包装している生産者は意外に多く、それらのお茶は桃の香りにはなりません。

無酸素にするための唯一の方法は、脱酸素剤を使用することであり、その様な包装方法のお茶のみ、経年熟成したときに特別な香りへと成長します。

しかし、安心してください。現在HOJOのお茶は全て無酸素包装されております。熟成目的で保管する場合、未開封にて保管してください。

また、重要な点として、保管環境の温度が高ければ高い程、熟成は早く進みます。基本、熟成速度は温度に比例します。

私達はマレーシアのクアラルンプールにも会社がありますが、トロピカルなマレーシアで保管してあるお茶は、日本の数倍の速度で熟成します。

マレーシアだと、2-3年で烏龍茶が桃の香りになりますが、日本だと、温度が低めゆえ、熟成は遅く、桃っぽい香りが出るには5年位必要かもしれません。

尚、熟成した茶葉は、多少黄色味が増すものの、色合い的に大きく変化はしません。

時間がかかる作業ではありますが、ただ保管しておくだけなので、是非、お試しください。
新鮮な香りが売りの台湾茶の場合、多くの人が、飲み頃は早いほど良いと考えがちです。
しかし、無酸素保管が出来る今の時代、烏龍茶は熟成期間が長い方が、香りはより強くなり、また、熟成期間に応じて様々な個性の香りへと変化します。
更に、何年保管しても無酸素である限り、鮮度は落ちません。

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