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ここ10年くらい、中国のお茶業界においては、鳳凰単叢烏龍茶、武夷岩茶、プーアル茶を含む雲南省のお茶を中心に、老木から摘まれたお茶が大きなブームとなっています。しかしながら、老木が希少性を持つようになり、雲南省や鳳凰鎮での収穫される高齢茶木から採れるお茶の値段は高騰しています。この結果、老木を保有する農家の中には、老木を過剰に保護しすぎる傾向があり、それが予期せぬ弊害をもたらすこともあります。

老木に憧れるアマチュア愛好家

お茶の品質を高めるためには、標高、無肥料、樹齢、粘土質の土壌などの条件が重要になりますが、その中でも樹齢が大きく取り沙汰されることがあります。ただ、実際には各種要素ともに品質への影響は大きく、樹齢だけが重要視されるのは偏りがあると言わざるを得ません。


巨大なお茶の木が並ぶ茶園:困鹿山にて

とはいえ、老木は目に見えて迫力があり、アマチュアのお茶愛好家にとっては魅力的な存在です。樹齢が高いお茶は、後味が濃く、香りの余韻が強く、深みが増して、回甘と呼ばれる味わいの奥行きが増します。そのため、老木から摘まれたお茶は品質が高く、珍重されています。

僻地でお茶の老木の値段高騰が起こる仕組み

雲南省の山奥にある村では、普遍的に高樹齢の老木のお茶の木が見られます。しかし、このような村では高額で売買されることは希であることが多いです。ところが、高速道路や空港などのインフラ整備が村の近くに進むと、お茶の購入を目的とした観光客が訪れるようになります。観光客は相場を知らないことが多く、現地卸業者の言い値に対して高額な支払いをすることがあります。たまたま高値で売れた場合、噂が広がり、相場は急激に上昇します。このような事象により、数年で値段高騰が起こることが一般的です。近年では、老木というだけで他のお茶の数倍の値段が付くことも珍しくありません。

お茶農家は、保有するお茶の木の数が限られているため、1本の老木からの収穫量が増えれば収入が増えます。更に、高額で販売が可能な老木の場合、農家としては収穫量を増やしたいと考えるでしょう。そのため、値段高騰が起きている村では、肥料の使用量が増加する傾向があります。肥料をやることで成長が早まり、収量が増えるため、より多い収入が期待できるからです。

肥料を与えることで生じるお茶の木の突然死

雲南省の山奥の僻地では、お茶は先祖が植えたものであり、お茶摘みシーズンの時のみ、下草を刈ってお茶摘みをします。つまり、お茶の木は自然の植物のように放置された状態にあり、究極の自然栽培の状態となっています。HOJOの白茶、プーアル茶、雲南紅茶は、基本的にこのような状態の茶園で栽培されています。多くのお茶の木は、樹齢が100歳を超えており、これまで野放状態にあったにもかかわらず、山の木と同じように健康的に育っています。

しかし、肥料を与えると、茶樹の窒素量が急激に上昇します。窒素量が上昇すると、微生物、ダニや昆虫などの生物が増加し、お茶の木に害を与える可能性があります。実際、微生物や昆虫は窒素が大好きであり、窒素が豊富な環境で活発に増殖するため、肥料を与えるとお茶の木が突然死することがあります。

お茶の老木の突然死は雲南省だけでは無く、鳳凰単叢の産地である烏崠山などでも近年よく見られます。

伝統的な雲南省の農法の本質

雲南省の茶農家が伝統的な栽培方法を守っていた理由は、実は、お茶を健康的な状態に維持するためでもあります。自然な状態でお茶を育てることで、お茶の木が必要な栄養分を自然に摂取し、健康的な状態を保ちます。また、肥料を使わないことで、お茶の味わいにも影響があります。茶葉に含まれる成分が変化するため、自然栽培のお茶は、化学的な味わいや匂いを持たず、より豊かで深い味わいが得られるのです。

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