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プーアル茶は大葉種から作られるというのは必ずしも正しくない
- [2014.10.23] Written By 北城 彰(Akira Hojo)
雲南省の茶葉=大葉種、そして雲南大葉種はポリフェノールを多く含むため紅茶や発酵茶に向くという記述を良く目にしますが、雲南省のお茶=大葉種という点について私は少し違った視点を持っておりますので紹介します。
雲南省のお茶は大葉種だけではない
プーアル茶の仕入で実際に雲南省の茶園を歩き回ると分かることですが、雲南省にあるお茶は大葉種だけでは無いように感じられます。茶園を歩き回ると、驚くほどに様々なサイズ、様々な形状の茶葉を目にします。産地を歩くと、中国種と呼ばれるCamellia sinensis var. cinensisのような小さくて丸っこい茶葉から、烏龍種のような尖った茶葉、アッサム種のような大きく尖った茶葉まで様々です。
実際には、雲南省には樹齢が500年以上の小葉のお茶の木が豊富に存在しています。このことから、小葉のお茶は中国の北部から持ち込まれたものではなく、雲南省内で古くから野生茶として存在していたか、交配や変異を経て発展した可能性が高いと考えられます。雲南省では伝統的にお茶の種をまいて栽培されてきました。これを「実生」と呼びますが、実生には雄しべと雌しべの交配が必要です。つまり、雲南省のお茶は数千年以上にわたり、複雑な交配が繰り返されてきた結果、現在に至っており、雲南省のお茶を単純に「大葉種」と呼ぶのは微妙です。
肥料の有無によってサイズが激変するお茶の葉
因みに、お茶に限らず植物の葉のサイズは肥料の量に比例して大きくなります。肥料を与えると言うことは、お茶はより成長しようとするため、光合成をより多く行うために、より緑色になり、より多くの光を吸収するために葉はより大きな面積へと変化します。自然栽培茶等は、肥料を殆ど与えられてないため、お茶の葉のサイズは非常に小さく、そして色合いも黄色に近い色をしております。
ポリフェノール量は栽培方法によって劇的に変化する
アッサム種はポリフェノールの含有量が多いとされ、それゆえに発酵茶に適していると言われています。ただし、同じ条件でお茶を栽培した場合、アッサム種を含む大葉種系のお茶は、小葉種よりもポリフェノールを多く含むことがあるかもしれません。しかし、ポリフェノールの含有量は肥料の使用や施肥量に大きく影響されます。日本のお茶作りにおいて、肥料を使用してアミノ酸量を増やす方法と、自然栽培方式の日本茶とを比較し、合計タンニン量換算でポリフェノールを比較するデータを見ると、自然栽培茶にはポリフェノールが約3倍多く含まれていることが示されています。要するに、ポリフェノール含有量を高めたい場合、茶の品種選択よりも肥料の使用方法や栽培方式の選択がはるかに重要であると言えます。
残念ながら、私が参照したデータは有る地域の各農家のお茶を分析したもので、非公式のものであるため掲載できません。近将来改めて自分で分析をして紹介したいと思います。
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