IMG_8617

特定の種類の木のみから摘まれた生茶葉を選択的に買取り、生産業者に供給することで委託生産を行う計画を実験的に行いました。これは私が前から興味があり是非実現したかったプロジェクトです。私が選んだのは、自然栽培茶園の中でも特にヒョロヒョロとした白いお茶の木です。
IMG_2610

ヒョロヒョロとした白いお茶の木

お茶の木は、無肥料にて放置した場合、窒素不足から、成長速度が非常に遅くなります。成長速度が遅くなった結果、全体の光合成量が減るため、茶の木は自ら枝を枯らすことで、葉の数を減らそうとします。面白い事に、このようなお茶の木には見てはっきりと分かる特徴が生じます。それはお茶の木がまるで白樺の木のように白くなります。(因みに、白くなったお茶の木も、肥料を与えると、木の色は茶色へと変化します。)白いお茶の木の場合、枝の数も茶葉の数も少なく、知らない人が見たら、「不健康なお茶の木」に見えます。しかし、このようなヒョロヒョロした木は意外にも成分が凝縮されており、生のまま食べてみると、その差はお茶のプロでなくても分かります。渋味・苦味ともに全くなく、ブドウのような爽やかな香りがし、口の中に透き通るような甘みが広がります。人と同じで、非常に苦労したお茶の木は非常に中身の濃いお茶になるようです。

IMG_2000

IMG_2001

IMG_3270

IMG_1865

IMG_8679

IMG_1875

IMG_1849

IMG_1882

HOJOの標準的なプーアル茶は茶園全体で味が均質化されている

このようなお茶だけを選択的に摘み取りお茶を作ったらどんなお茶が出来るのか、私は前から非常に興味がありました。私が現在取り扱っているお茶は全て自然栽培茶園産ですが一般に自然栽培茶園と言っても様々な木によって構成されており、全ての木が同じではありません。日陰の樹木、白い木のお茶、何らかの要因により樹勢が強い木など様々なです。お茶は茶園全体から集められるため、最終的には味が均質化されます。これは本来重要な事で、日陰のお茶と日向のお茶が混ざることで、スッキリ感とクリーミーなまったり感が両立したお茶に仕上げることが出来ます。

下4つの写真は一般的な茶樹:枝の色が茶色をしています。

IMG_2880

IMG_2208

IMG_8397

IMG_2437

優秀な少数民族の女性に依頼することで希望の茶葉のみを回収

しかし、今回私が是非作ってみたかったのは、日当たりが極めて良い茶園の「白い茶樹のみ」から摘まれた「非常に尖った個性のお茶」です。この希望を満たすためには白い茶樹のみを選びお茶を選択的に摘み取ることが必要です。生茶葉は一般的に農家が直接生産者に販売する場合と、生産者からの要望を元に特定の条件を満たした茶葉のみを回収する専門の人に委託回収して貰う場合があります。もちろん、農家から生茶葉を購入した方が仕入れ値は安くなりますが、農家に依頼した場合、求めてない茶葉が大量に混入するのが目に見えております。目的に合う茶葉だけを回収したい場合、一般的には「茶葉回収請負人」を利用するのが一般的な方法です。茶葉回収請負人は少数民族の村の中でも頭の切れる人が農業と兼任していることが多く、生産者が希望する規格を満たすように茶摘みをする人を指導しつつ、規格に沿って茶葉を回収します。私は加工業者に依頼することで、信頼できる茶葉回収請負人の女性を紹介して貰いました。生産会社が信頼しているだけあって非常に優秀な女性だったため、期待通りの働きをしてくれ、最終的に希望するエリアの白いお茶の木のみから茶葉を回収することに成功しました。

IMG_2357

なお、今回選んだ茶園は、雲南省臨滄市永德県の大山にある茶園です。

IMG_2436

一見藪にしか見ませんが自然栽培茶園です。

IMG_0935

IMG_0890

紅茶は雲南蜜香紅茶として販売予定

お茶は「プーアル生茶」と「紅茶」に加工することにしました。有機肥料も含め肥料が全く使用されておらず、また、地面は雑草だらけの茶園ゆえ、茶葉は、当然ウンカの攻撃も受けていることから熟成・発酵により熟したマスカットのような非常に強い蜜香を形成します。紅茶に加工した場合、透き通るような味わいとの相乗効果で素晴らしい紅茶が出来ると予想されたため、紅茶は外すわけにはいきませんでした。今回のプロジェクトを通じて生産した紅茶は、現在販売している雲南蜜香紅茶の後継商品として販売予定です。

IMG_2367

萎凋後の茶葉

IMG_2660

揉捻が完了した茶葉

IMG_2336

予想以上に茶葉が集まらず最終的に出来た量は30kgちょっと

プーアル茶に関してですが、実際に茶摘みを開始したところ、なかなか生茶が思うように集まりませんでした。ただでさえ、茶葉の数が少ない自然栽培茶であることに加え、白い茶樹のみに限定したため、予想以上に時間がかかりました。例えば、10kgのお茶を作りたい場合、その4倍の40kgのお茶が必要になります。私は50kgほど生茶を作りたかったため、200kgの生茶を集める必要がありました。しかし、あまりにお茶が回収できず、1週間茶摘みを行った結果、最終的に作り上げたプーアル生茶は30kgちょっとでした。マレーシア、日本、海外でシェアするとそれぞれ10kgくらいしかありません。あまりに量が少ないため、このお茶については緊圧はせず毛茶にて限定予約販売をすることにしました。予約販売の案内については、数日内にお知らせ予定です。白いお茶の木のみから回収したお茶ゆえ、「白樹生茶」の名称で販売予定です。

日本茶(緑茶)、中国紅茶、白茶、プーアル熟茶、プーアル生茶、ジャスミン茶、烏龍茶という厳選された茶葉7種のお試しセット

関連記事 RELATED ARTICLES

お茶に関する最新情報を確実にキャッチするには? SOCIAL NETWORK

1,Twitterをフォローする。2,FaceBookで「いいね!」を押す。3,メールマガジンに登録する。という3つの方法で、お茶に関する最新情報をキャッチすることができます。今すぐ下のツイッターフォローボタンや「いいね!」をクリック!

メールマガジン登録で無料サンプルをもらおう!
メールマガジンにご登録いただくと無料のサンプル茶葉のプレゼントや希少商品の先行購入など様々な特典がございます。ソーシャルメディアの購読だけでなく、メールマガジンへのご登録もお忘れなく!

HOJO TEAオンラインショップNEWS一覧を見る

2300mの野放茶園産、高山白茶を発売
高山白茶を発売しました。 このお茶の茶園には、次の2つの特徴があります。 1. 標高2200-2300mに位置する茶園 2. 完全に野生化したお茶の木で構成される野放茶園 非常に理想的な環境ゆえに、お茶の品質も素晴らしく …
標高2100mの無農薬・無肥料茶園産の高山紫茶2024
2024年産の高山紫茶を2種類発売しました。 https://hojotea.com/item/d53.htm 2種類とも、同じ生産者が同じ地域内に保有する茶園の茶葉ですが、茶園の位置が異なり、また、生産日も異なります。 …

最新の記事 NEW ARTICLES

2300mの野放茶園産、高山白茶を発売
高山白茶を発売しました。 このお茶の茶園には、次の2つの特徴があります。 1. 標高2200-2300mに位置する茶園 2. 完全に野生化したお茶の木で構成される野放茶園 非常に理想的な環境ゆえに、お茶の品質も素晴らしく …
標高2100mの無農薬・無肥料茶園産の高山紫茶2024
2024年産の高山紫茶を2種類発売しました。 https://hojotea.com/item/d53.htm 2種類とも、同じ生産者が同じ地域内に保有する茶園の茶葉ですが、茶園の位置が異なり、また、生産日も異なります。 …
大雪山野生茶(普洱生茶)2024の散茶を限定発売
大雪山野生茶は、雲南省臨滄市永徳県の大雪山に自生する野生のカメリアタリエンシスから作られたプーアル生茶です。 野生茶とは 野生茶とは、樹齢が高いお茶や野生化したお茶ではなく、山に自生している天然のお茶を指します。 過去に …
鳳凰単叢烏龍茶の産地、潮州市鳳凰鎮を訪問(2024)
先月、鳳凰単叢烏龍茶の産地である潮州市鳳凰鎮へ、仕入れと生産者との打ち合わせを兼ねて出張しました。ちょうど台風の時期と重なり、山から潮州に戻れなくなるなどのハプニングもありましたが、無事に仕入れを終えました。鳳凰鎮にはこ …
前川淳蔵作の伊賀天然朱泥急須、宝瓶各種入荷
前川淳蔵作の伊賀天然朱泥の茶器が入荷しました。 今回入荷したのは、丸型宝瓶、急須、絞り出し、茶海です。 https://hojotea.com/item/maekawa_iga.htm 数百年前に古琵琶湖の湖底に沈殿した …
佐渡島:渡辺陶三作、無名異上赤茶壺と宝瓶が入荷
渡辺陶三氏作の無名異常赤急須および宝瓶が入荷しました。今回の入荷品は、後手タイプが中心です。 https://hojotea.com/item/tozo_joaka.htm 非常に稀少な上赤 「上赤」は、佐渡島の相川金山 …
非常に稀少な野生茶、永徳野生白茶2024を発売
永徳野生白茶を発売しました。このお茶は2021年に一度発売されましたが、瞬く間に売り切れ、その後の入荷はありませんでした。質が高く、個性的な香りで当店でも非常に人気の高いお茶です。 永徳野生茶は、雲南省臨滄市永徳県で、牛 …
2024年産の古樹白茶を発売: 雲南省にて生産監修することで品質向上
2024年産の古樹白茶を発売しました。 今年は、私たちが自ら現地に滞在し、茶葉の選定から生産に至るまで現場で監修したことで、自信のある仕上がりになっております。 https://hojotea.com/item/w25. …
単株茶を含む2022年産の鳳凰単叢老欉を3種類発売
単株を含む、鳳凰単叢の老欉を3種発売しました。今回発売したお茶は以下の三種類です。何れも標高1200mの茶園産の茶葉原料から作られており、濃厚な香りと深い後味がする素晴らしいお茶です。 鳳凰単叢老欉夜来香 2022 鳳凰 …
東洞庭山産、無農薬無肥料の碧螺春を発売
碧螺春(Biluochun)は中国を代表する緑茶の一つで、その優れた品質と独特の風味で有名です。HOJOでは、無肥料無農薬栽培による、余韻の長い碧螺春をお届けします。 https://hojotea.com/item/g …

PAGETOP