昨年、限定予約販売しました白樹プーアル生茶の紅茶バージョンを発売しました。
直射日光が当たる斜面に生える幹の色が白いお茶の木のみから茶葉を回収し、特注にて紅茶に加工しました。2016年の春に「白樹プーアル茶」を予約販売しましたが、白樹紅茶は全く同じ原料から作られたお茶です。当初、「蜜香紅茶」の名称で発売を計画していたのですが、既存の蜜香紅茶と香りの点で性格が異なることから、原料の特徴を名称化することで「白樹紅茶」としました。

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2016年春に入荷した物の熟成を加えたために発売が今に

2016年の春に発売した白樹プーアル茶同様に、白樹紅茶は臨滄地区の西部の高地(標高2000m)で収穫された春の1番茶から作られております。このお茶は生産者との打ち合わせで「乾燥後のベイキング」をしない状態で仕上げて貰いました。と言うのも、生産者のところには紅茶を正確な温度で、正確な時間ベイキングする設備がなかったため、ベイキングはHOJOの自社設備を用いてすることにしました。

紅茶(発酵茶全般)は発酵が100点満点なくらい上手に行われたとしても、ベイキングを行わなかった場合、香りがやや青っぽく、また、透明感が無く、ノイズに相当するような雑味が感じられます。低い温度で数時間ベイキングを行うことで、香りや味がより洗練されます。ただし、ベイキング直後は一時的に香りが弱くなるため、その後、暫く暖かい場所で寝かせることで、香りを高める事が求められます。これら一連の作業を行っていたことから、発売が遅くなりました。

ヒョロヒョロとした白いお茶の木

お茶の木は、無肥料にて放置した場合、窒素不足から、成長速度が非常に遅くなります。成長速度が遅くなった結果、全体の光合成量が減るため、茶の木は自ら枝を枯らすことで、葉の数を減らそうとします。日当たりが非常に良い茶園の場合、このようなお茶の木には見てはっきりと分かる特徴が生じます。それはお茶の木がまるで白樺の木のように白くなります。(因みに、白くなったお茶の木も、肥料を与えると、木の色は茶色へと変化します。)白いお茶の木の場合、枝の数も茶葉の数も少なく、知らない人が見たら、「不健康なお茶の木」に見えます。しかし、このようなヒョロヒョロした木は成長が遅く時間をかけてゆっくりと成長する為、意外にも成分が凝縮されており、生のまま食べてみると、その差はお茶のプロでなくても分かります。渋味・苦味ともに全くなく、ブドウのような爽やかな香りがし、口の中に透き通るような甘みが広がります。まるで春の山菜を食べているような感覚です。人と同じで、非常に苦労したお茶の木は非常に中身の濃いお茶になるようです。

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一般的なお茶は全ての個性が均質化される

このようなお茶だけを選択的に摘み取りお茶を作ったらどんなお茶が出来るのか、私は前から非常に興味がありました。私が現在取り扱っている雲南省産のお茶は全て自然栽培茶園産ですが一般に自然栽培茶園と言っても様々な木によって構成されており、全ての木が同じ条件で生育しているわけではありません。木の樹齢の違い、日陰の樹木、白い木のお茶、何らかの要因により樹勢が強い木など様々です。仮に100kgのお茶を買う場合、生の茶葉は400kg必要になります。これだけの量を集めるには、原料の生茶葉は特定の木だけではなく、茶園全体から集められるため、最終的には味が均質化されます。これは本来重要な事で、日陰のお茶と日向のお茶が混ざることで、スッキリ感とクリーミーなまったり感が両立したお茶に仕上がります。

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優秀な少数民族の女性に依頼することで希望の茶葉のみを回収

しかし、今回私が是非作ってみたかったのは、日当たりが極めて良い茶園の「白い茶樹のみ」から摘まれた「非常に尖った個性のお茶」です。この希望を満たすためには白い茶樹のみからお茶を選択的に摘み取ることが必要です。生茶葉は一般的に農家が直接生産者に販売する場合と、生産者からの要望を元に特定の条件を満たした茶葉のみを回収する専門の人に委託回収して貰う場合があります。もちろん、農家から生茶葉を購入した方が仕入れ値は安くなりますが、農家に依頼した場合、管理が甘くなるために求めてない茶葉が大量に混入するのが目に見えております。目的に合う茶葉だけを回収したい場合、一般的には「茶葉回収請負人」を利用するのが効果的な方法です。茶葉回収請負人は少数民族の村の中でも頭の切れる人が農業と兼任していることが多く、生産者が希望する規格を満たすように茶摘みをする人を指導しつつ、規格に沿って茶葉を回収します。私は加工業者に依頼することで、信頼できる茶葉回収請負人の女性を紹介して貰いました。生産会社が信頼しているだけあって非常に優秀な女性だったため、期待通りの働きをしてくれ、最終的に希望するエリアの白いお茶の木のみから茶葉を回収することに成功しました。

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一見藪にしか見ませんが自然栽培茶園です。

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下4つの写真は一般的な茶樹:枝の色が茶色をしています。

例え老木でも肥料が使われている茶園の茶樹は木の成長が早く、幹は茶色をしております。因みに、幹が白い白樹であっても、肥料を与えると、その翌年には幹の色は茶色に変わります。
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これまでの紅茶の常識を覆すようなスッキリとしたキレのある味

始めてこのお茶を飲んだ時、余りの紅茶らしくない味わいに、良い意味で驚きました。
お茶の味には透明感があり、味わいが非常スッキリとしており、私達が紅茶の味に対して抱いている先入観を覆すような味です。

このお茶は沸騰水で短めにいれるのがお勧めです。

このスッキリ感、日本語では「キレ」という表現で表されます。ビールの宣伝を中心にキレという言葉が乱用されており、キレの意味が非常に不明瞭になっております。キレとはコクの反意語で、余韻(コク)の無さを軟らかく表現する言葉として用いられがちですが、本当の意味でのキレとは、天然のブリ(養殖のブリと比べると分かりやすい)、天然のキノコや山菜のような、「自然なスッキリ感」を指す言葉です。注目すべきは、これらの食材の場合、余韻(コク)がしっかりあるにもかかわらず、スッキリとしている点です。白樹紅茶の場合、最初飲んだときは軽いと感じられるかもしれませんが、それはキレがゆえにそう感じるだけです。養殖のブリに慣れている人が、始めて天然のブリを食べるとやはり軽く感じられるのと同じです。ただ、飲んでいると非常に病み付きになるお茶です。
加工ですが、発酵は極めて上手に行われており、蒸れ臭や、焦げ臭などの不快臭は一切しません。現時点でも甘い蜜の香りがするお茶ですが、香りは今後熟成することで更に高まります。事実、マレーシアで販売中の同製品は、蜜香を伴う甘い香りが強く感じられます。尚、この商品は非常に低い水分に調整してあります。水分が低い為に、僅かな渋味が感じられますが、開封後数日で茶葉が徐々に外気の水分を吸収し、渋味が減少し、より、滑らかな口当たりに変化します。

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