• ホーム >
  • お茶の品質を決める各種要素

IMG_2489
近年プーアル茶愛好家の間で老木から作られたプーアル茶がブームになっております。実際に中国で販売されているプーアル茶で「老木」という文字がないお茶は殆ど見あたらない程、殆どのお茶が老木から作られたという謳い文句と共に販売されております。実際に雲南省へ行けば分かる事ですが、「老木」はそう沢山ありません。市場で老木を謳っているいるお茶の殆どは、老木から作られてないというのは雲南省のお茶関係者の間では常識です。本当に老木から摘まれたお茶を入手するには、農家及び一次加工業者と取引し、原料の茶葉から管理する他ありません。

単株プーアル茶

私は仕事柄、単株プーアル茶と言って、特定の木のみから作られたお茶を飲む機会が頻繁にあります。単株プーアル茶はちょうど、鳳凰単叢烏龍茶と同じで、1本の木から作られたお茶を意味する言葉です。「単叢」という言葉が潮州で使われるのに対し、雲南省では「単株」という言葉が一般的に用いられます。多くの場合、単株プーアル茶が作られるのは、①家族及び親族が飲むためか、②老木の品質・個性を勉強するために実験的に作られる事が一般的です。私は仕事柄、単株プーアル茶は割と頻繁に飲む機会があります。そこで私が単株プーアルを飲んだ経験から理解した老木の特徴を紹介したいともいます。

果たして、老木の木から作られたお茶は美味しいのでしょうか?

老木になる事で強くなるのは後味(余韻・コク)の強さです。老木から作られたお茶の場合、老木だからと言って、香りが強くなるわけではなく、味が非常にやわらかくなり、余韻が長く続きます。余韻が長くなると言うことは、香りに関しても奥行きが生じることから、鼻や口元で感じることが出来る香りはむしろ弱まります。中国では「茶気」という言葉がありますが、これこそまさに「韻」の深さ、つまり「余韻」を指す言葉です。ただ、多くの人が、ボディ(ふくよかさ)を茶気と勘違いしている傾向があります。ボディに関しては、木の樹齢とは関係無く、土壌とお茶の木の種類(品種)で決まります。一般に、老木の横に若い木があった場合、両方の木から採れたお茶は同じようなボディを示します。

余韻の強弱は誰にも理解できるわけではない

実際、数割の人は後味(余韻)という感覚が全く分かりません。また、残り数割の人は、比較すると分かるものの、いきなり飲んだ場合、余韻の強弱が判断できません。音楽の絶対音感と同じで、飲んだ瞬間に余韻の強さが分かる人はごく少数です。折角の老木の特徴も高価な楽器と同じで、誰にもその凄さが理解できるわけではありません。ただし、余韻の深さを理解する能力はトレーニングによって多少改善されます。残念ながら、遺伝がゆえか、幾らトレーニングをしても全く余韻が分からない人もおります。

IMG_2435

余韻が非常に深い完全自然栽培のお茶の木

老木は品質要素の1つに過ぎない

ただし、老木の余韻(茶気)が強いというのは、その他の栽培条件が全て同じであることが前提となります。最近では老木のお茶が高く売れることから、肥料を与えたり、地面の草を全て除いてしまったり、剪定をすることで成長速度を速めたりと、農家が過度に世話をする傾向があります。このような老木は、自然栽培の若い木よりもはるかに弱い余韻となります。有名地域にある老木の殆どがこのような状況です。逆に、老木でなくとも、無肥料・無剪定のまま、周りの生態系と調和しているようなお茶は、驚くほど深い余韻のお茶になります。老木かどうかと言うのは、多くの品質要素の1つに過ぎず、それに振り回されるべきではありません。むしろ、余韻が正確に感じられるように自分の感覚を磨き、良いお茶を飲んだときにその良さを理解できるようになることが重要だと思います。

日本茶(緑茶)、中国紅茶、白茶、プーアル熟茶、プーアル生茶、ジャスミン茶、烏龍茶という厳選された茶葉7種のお試しセット

関連記事 RELATED ARTICLES

お茶に関する最新情報を確実にキャッチするには? SOCIAL NETWORK

1,Twitterをフォローする。2,FaceBookで「いいね!」を押す。3,メールマガジンに登録する。という3つの方法で、お茶に関する最新情報をキャッチすることができます。今すぐ下のツイッターフォローボタンや「いいね!」をクリック!

メールマガジン登録で無料サンプルをもらおう!
メールマガジンにご登録いただくと無料のサンプル茶葉のプレゼントや希少商品の先行購入など様々な特典がございます。ソーシャルメディアの購読だけでなく、メールマガジンへのご登録もお忘れなく!

HOJO TEAオンラインショップNEWS一覧を見る

東洞庭山産、無農薬無肥料の碧螺春を発売
碧螺春(Biluochun)は中国を代表する緑茶の一つで、その優れた品質と独特の風味で有名です。HOJOでは、無肥料無農薬栽培による、余韻の長い碧螺春をお届けします。 https://hojotea.com/item/g …
マレーシアで8年熟成の白鶯山古樹白茶2017を発売:トロピカルフルーツの香り
白鶯山古樹白茶2017を再度発売しました。同じ名称の商品をこれまでも販売しておりましたが、以前販売していたロットの商品は日本で熟成したお茶でした。今回発売する商品は8年間マレーシアで熟成をしたお茶になります。マレーシアの …

最新の記事 NEW ARTICLES

単株茶を含む2022年産の鳳凰単叢老欉を3種類発売
単株を含む、鳳凰単叢の老欉を3種発売しました。今回発売したお茶は以下の三種類です。何れも標高1200mの茶園産の茶葉原料から作られており、濃厚な香りと深い後味がする素晴らしいお茶です。 鳳凰単叢老欉夜来香 2022 鳳凰 …
東洞庭山産、無農薬無肥料の碧螺春を発売
碧螺春(Biluochun)は中国を代表する緑茶の一つで、その優れた品質と独特の風味で有名です。HOJOでは、無肥料無農薬栽培による、余韻の長い碧螺春をお届けします。 https://hojotea.com/item/g …
マレーシアで8年熟成の白鶯山古樹白茶2017を発売:トロピカルフルーツの香り
白鶯山古樹白茶2017を再度発売しました。同じ名称の商品をこれまでも販売しておりましたが、以前販売していたロットの商品は日本で熟成したお茶でした。今回発売する商品は8年間マレーシアで熟成をしたお茶になります。マレーシアの …
雲南省の稀少茶、大雪山野生白茶2024を発売
大雪山野生白茶2024の散茶を発売しました。 このお茶は、私達が実際に現地雲南省の産地に滞在し、現地で生産管理しながら作り上げたお茶です。 雲南省における野生茶の定義 これまで何度も説明しておりますが、雲南省 の人々は例 …
HOJO独自の新製法で実現した香り高い紅茶:雲南での挑戦
雲南省に1.5ヶ月滞在した期間中、良質な白茶やプーアル茶の生産はもちろん重要な課題でしたが、今回の大きな目標は、小ロット生産にも対応した新しい紅茶の生産方法を開発することでした。 一般的に雲南紅茶といえば、当店のラインア …
2024年の雲南省お茶シーズン:予想外の気温と収穫の混乱
長い雲南省の仕入れを終え、現在マレーシアのクアラルンプールに滞在しております。輸入したお茶の評価や海外用のお茶の発送など細かな手配が必要なため、クアラルンプールの会社に来月まで滞在予定です。 今年はシーズンの最初である3 …
2024年の白茶:理想的な天気と現地滞在で品質は上々
私たちが雲南省で力を入れているお茶の一つは白茶です。白茶は昔から、福建省と雲南省で作られてきました。 福建省の白茶は製茶はよく管理されている反面、慣行農園方式で肥料を用いた農業をしているため、原料の質に関して、私は満足で …
雲南のおもてなし文化:食事に込められた思い
中国では、挨拶代わりに「你吃饭了吗?」、つまり、「ご飯食べた?」と言うのが一般的ですが、雲南省にいると、色んな局面で、「吃饭」「吃饭」、ご飯食べていきなさいと言われます。ただ、長く雲南省に携わると、これらのご飯への誘いは …
野生茶を求め雲南省臨滄市南西部の山村へ
現在、雲南省臨滄市の南西部にてお茶の仕入を行っております。 当店にとって重要な商品の1つに野生茶があります。野生茶は製茶はもちろんですが、原料確保が一番大きな課題です。 今回、新たに野生茶が有る場所があるらしいと言う情報 …
雲南省のお茶産地にてプーアル茶、白茶、紅茶の生産
3月24日から中国の雲南省臨滄市の南西部、永德、鎮康県にてお茶の仕入れ、生産を行っております。 雲南省は世界一と言っても過言で無い極上の原料がある反面、生産に対する管理が甘いため、出来合のお茶を仕入れたのでは、理想とする …

PAGETOP