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シルクロードを最初!?に渡ったお茶:「茯茶」
- [2006.08.17] Written By 北城 彰(Akira Hojo)
プーアル茶は微生物による2次発酵茶で、カテゴリーとしては「黒茶」という種類に属します。金花金(黄色)の写真。工場長の配慮により特別に見せて貰いました。実際に金花菌がこれだけ増殖している状態は、お茶に従事していても中々見られないそうです。私が工場を訪れた際、偶々工場長がこのサンプルを保持しており、写真を撮らせて貰うことが出来ました。
この黒茶の中に、「茯茶」(フーチャ)と呼ばれるお茶があります。
プーアル茶よりも古い歴史を持っており、一番最初に「シルクロード」を渡ったのは茯茶だと言う説もあります。
このお茶は現在ではモンゴルやチベット等の少数民族の間で好んで飲まれております。彼らの生活している地域は非常に過酷な環境であり、野菜や果物を入手することが出来ません。
彼らの食事は肉とミルクが主食なのです!!
通常ビタミンが不足すると、壞血症、脚気、皮膚病等の疾患が発生します。そんな彼らのビタミンを補っているのが、毎日欠かさず飲んでいる「茯茶」だと言われております。
茯茶は湖南省で生産されており、偶々、私の取引先の会社は中国最大手の「茯茶」加工会社でした。
茯茶はプーアル茶とどう違うのでしょうか?
決定的な違いは、2次発酵に用いられる「カビの種類」です。茯茶とプーアル茶とでは発酵条件が湿度と温度の点で大きく異なります。
この事から茯茶には特殊なカビが生育し、それが「発酵に大きく寄与」します。
発酵に寄与するとはどういう事かというと、カビにより茶葉に含まれる種々の成分が異なる成分へと「生合成」されるのです。つまり、カビ(工場)により、ポリフェノールやタンニン等のお茶の成分(原料)が別の物質(製品)へと作り替えられるのです。
茯茶の発酵には、「金花菌」と呼ばれるカビが関わっていると言われております。このカビは、「金花」と呼ばれる、金色の粉を作る事で知られており、金花の発生により、茶葉からは快い香りが漂い始めます。金花量はお茶の質を左右するそうです。
だからと言って、金花その物が味香りに影響を与えているわけではありません。この金花、実はカビの「胞子」なのです。カビは成長が完了した時点で、胞子を作り始めます。この時、カビの中では「2次代謝」が行われており、様々な物質の生産(生合成)が行われるのです。金花の発生を観察することで2次代謝が行われていることを推察できるのです。
次回は茯茶に関する更に詳しい情報を説明いたします。
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