中国湖南省の君山島にある君山銀針の茶園

黄茶の秘密は「悶黄」にあり!と言っても過言ではありません。悶黄は黄茶を理解する上で非常に大切なプロセスです。

黄茶の加工の秘密は悶黄

悶黄と言う文字を分解すると「悶」=もだえる、「黄」=黄色です。
「悶えて黄色になる?!」と言うのが漢字から読みとれる悶黄の意味です。実はこの悶黄ですが、正に文字通りの工程なのです!

殺青までは中国緑茶の生産と同じ

中国茶の殺青(加熱により酵素を失活する工程)は日本の緑茶の様に蒸気で蒸すことをせず、釜炒りと言われる方法にて行われます。釜炒りとは文字通り、フライパンのような金属釜で炒ることです。
この釜炒りの温度ですが、一般的な中国緑茶の場合、釜の温度が200℃に達した時点で茶葉を炒り始めます。釜の温度が非常に高いことから、比較的瞬時に茶葉に熱が回り、酸化酵素が失活します。
黄茶の製造に於いても、まず原料である茶葉を釜炒りにより殺青します。但し、重要な点として、釜の温度は95-105℃という非常に低い温度に保たれます。そして、120-130℃まで徐々に温度を上昇し、その後、今度は徐々に温度を下降させます。茶葉の温度は非常に緩やかに上昇するのですが、その間、お茶に含まれる酸化酵素(PPO)は急激にカテキンを始めとするポリフェノールを酸化します。
但し、最終的に茶葉の温度が>60℃に達した時点で殆どの酵素は失活するため、ポリフェノールが酸化しすぎて紅茶化してしまうことはありません。
つまり、言い方は変ですが、釜炒りが終了した時点で、茶葉の成分は「わずかに酸化したポリフェノール」が主体となります。(より専門的に言うと、-OHが酸化して=Oになるわけです。)

牛皮紙に包み熟成

この状態の茶葉を牛皮紙に1kgずつ包み陶器に入れ、そして、湿度の高い室内に1~2日おきます。すると、高温多湿の中、茶葉に含まれる酸化ポリフェノールは熟成され、その結果、更に酸化し次なる物質へと変化していくのです。これが、黄茶の特徴である黄色なのです。これを「初包」と呼びます。更に、乾燥と「包」を数回繰り返すことで、黄茶独特のマイルドな香りが形成されそうです。合計4日間が悶黄に費やされます。黄茶の特徴である悶黄は「酵素的酸化反応」と酵素を伴わない「非酵素的酸化反応」の集大成なのです。
なんだか、妙に難しい内容になってしまいました。

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