雲南省南西部のプーアル茶有名産地、昔帰

[2016.05.06] Written By

IMG_5871

雲南省におけるプーアル茶の産地で一番有名なのは雲南省南部に位置する老班章ではないかと思います。実は南西部の臨滄にも「昔帰」という極めて有名な産地があります。昔帰のお茶は海外では意外と知られておりませんが、老班章に近い高額の値段で売られており、両産地は有名プーアル茶のキングとクイーンとも言うべき位置づけにあります。

有名プーアル茶産地に共通するふくよかな味わい

有名プーアル茶に共通するのは、非常に強いボディです。お茶を口にいれると、香り・味が口いっぱいに広がり、お茶が非常にふくよかで豊かに感じられます。ただし、私にとって、お茶の原料品質を評価する重要な指標は余韻の深さです。中国では老木から作られたプーアル茶がブームですが、お茶の木の樹齢が増すことで強くなるのも余韻です。ただし、世の中全ての人が余韻の深さを感じられるわけではなく、意外に多くの人が余韻の強弱を感じる事が出来ません。反面、ボディは余韻よりも分かりやすく、比較的多くの人が感じる事が出来ます。例えば、貝の味噌汁を飲んだときのふわっとした味わいがボディに相当します。この事から、ボディの強いお茶は、より多くの人に好まれる傾向があり、それが人気度に相関します。有名なお茶の多くが強いボディを有しているのはこのような理由からです。私はお茶を仕入れる際、一般に「余韻=質」、「ボディ=人気度」と定義しております。

メコン川流域位置する昔帰

昔帰は雲南省臨滄市臨翔区にあり、メコン川(中国では瀾滄江)流域に発達しているお茶の産地です。産地の真下をメコン川が流れており、メコン川の土手が茶園になっていると言っても過言ではありません。メコン川からもたらされる土壌はカルシウムをはじめとするアルカリ性のミネラルが豊富に含まれており、それがお茶のふくよかな味わいを生み出しております。

IMG_5917

軽く殺青を行うことで生じる烏龍茶風の香り

近年、道が整備され、昔帰へは観光客でも比較的容易に行けるようになりました。天気にもよりますが臨滄の市内から車で4-5時間で着くことが出来ます。この為、近年では観光客・ハイアマチュアによる訪問が増えました。観光客は味の評価法については詳しくないため、一般的に「良い香り」に良く反応します。この結果、昔帰のお茶は、殺青を非常に軽く行うことで、天日乾燥中に意図的に酵素発酵を促し、烏龍茶のような花の香りを高めたお茶が主流となりつつ有ります。ただし、この方法で作られたお茶は、経年熟成した際に香りの透明感に欠けます。

IMG_5854

下に見える川がメコン川

農業形態の変化

昔帰では過去10年にお茶の値段が急激に上昇したことから、農業形態に変化が起きつつあります。農家の収入は、生茶葉の販売に頼っており、キロ単価 x 収穫量が各農家の収入になります。近年では、より生産量を高めようとする農業努力が随所に見られ、茶園によっては肥料なども普及しつつあります。生産量は必ず品質と反比例することから、今後の品質動向が心配です。なお、HOJOでは昔帰のお茶は仕入れておりません。値段が異常に高いことが最大の理由ですが、加え、ボディの点では馬鞍山のお茶は同レベルのボディを有しており、余韻も非常に深い割に遙かに安価に仕入れられるため、敢えて、昔帰は仕入れておりません。

IMG_5906

 

 

日本茶(緑茶)、中国紅茶、白茶、プーアル熟茶、プーアル生茶、ジャスミン茶、烏龍茶という厳選された茶葉7種のお試しセット

関連記事 RELATED ARTICLES

お茶に関する最新情報を確実にキャッチするには? SOCIAL NETWORK

1,Twitterをフォローする。2,FaceBookで「いいね!」を押す。3,メールマガジンに登録する。という3つの方法で、お茶に関する最新情報をキャッチすることができます。今すぐ下のツイッターフォローボタンや「いいね!」をクリック!

メールマガジン登録で無料サンプルをもらおう!
メールマガジンにご登録いただくと無料のサンプル茶葉のプレゼントや希少商品の先行購入など様々な特典がございます。ソーシャルメディアの購読だけでなく、メールマガジンへのご登録もお忘れなく!

HOJO TEAオンラインショップNEWS一覧を見る

大雪山野生茶(生茶)2023年・2024年産 同時発売
大雪山野生生茶の2023年産と2024年産を発売しました。 2023年産については、マレーシアの倉庫で1年間熟成しております。 https://hojotea.com/item/d27.htm   雲南省でも入 …
佐渡無名異焼作家の渡辺陶三作:野坂粗土還元急須が入荷
野坂粗土還元焼成の茶器を発売しました。 今回入荷したモデルは、茶壺(後手急須)、フリーカップ、マグカップの3点です。 https://hojotea.com/item/tozo_nosaka_reduction.htm …

最新の記事 NEW ARTICLES

大雪山野生茶(生茶)2023年・2024年産 同時発売
大雪山野生生茶の2023年産と2024年産を発売しました。 2023年産については、マレーシアの倉庫で1年間熟成しております。 https://hojotea.com/item/d27.htm   雲南省でも入 …
佐渡無名異焼作家の渡辺陶三作:野坂粗土還元急須が入荷
野坂粗土還元焼成の茶器を発売しました。 今回入荷したモデルは、茶壺(後手急須)、フリーカップ、マグカップの3点です。 https://hojotea.com/item/tozo_nosaka_reduction.htm …
佐渡島の渡辺陶三製作:野坂粗土酸化焼成の茶器が入荷
佐渡島の陶芸家、渡辺陶三氏による「野坂粗土酸化焼成」の茶器を発売いたしました。 https://hojotea.com/item/tozo_nosaka.htm   野坂は佐渡島の沢根にある地区名で、相川金山に …
2300mの野放茶園産、高山白茶を発売
高山白茶を発売しました。 このお茶の茶園には、次の2つの特徴があります。 1. 標高2200-2300mに位置する茶園 2. 完全に野生化したお茶の木で構成される野放茶園 非常に理想的な環境ゆえに、お茶の品質も素晴らしく …
標高2100mの無農薬・無肥料茶園産の高山紫茶2024
2024年産の高山紫茶を2種類発売しました。 https://hojotea.com/item/d53.htm 2種類とも、同じ生産者が同じ地域内に保有する茶園の茶葉ですが、茶園の位置が異なり、また、生産日も異なります。 …
大雪山野生茶(普洱生茶)2024の散茶を限定発売
大雪山野生茶は、雲南省臨滄市永徳県の大雪山に自生する野生のカメリアタリエンシスから作られたプーアル生茶です。 野生茶とは 野生茶とは、樹齢が高いお茶や野生化したお茶ではなく、山に自生している天然のお茶を指します。 過去に …
鳳凰単叢烏龍茶の産地、潮州市鳳凰鎮を訪問(2024)
先月、鳳凰単叢烏龍茶の産地である潮州市鳳凰鎮へ、仕入れと生産者との打ち合わせを兼ねて出張しました。ちょうど台風の時期と重なり、山から潮州に戻れなくなるなどのハプニングもありましたが、無事に仕入れを終えました。鳳凰鎮にはこ …
前川淳蔵作の伊賀天然朱泥急須、宝瓶各種入荷
前川淳蔵作の伊賀天然朱泥の茶器が入荷しました。 今回入荷したのは、丸型宝瓶、急須、絞り出し、茶海です。 https://hojotea.com/item/maekawa_iga.htm 数百年前に古琵琶湖の湖底に沈殿した …
佐渡島:渡辺陶三作、無名異上赤茶壺と宝瓶が入荷
渡辺陶三氏作の無名異常赤急須および宝瓶が入荷しました。今回の入荷品は、後手タイプが中心です。 https://hojotea.com/item/tozo_joaka.htm 非常に稀少な上赤 「上赤」は、佐渡島の相川金山 …
非常に稀少な野生茶、永徳野生白茶2024を発売
永徳野生白茶を発売しました。このお茶は2021年に一度発売されましたが、瞬く間に売り切れ、その後の入荷はありませんでした。質が高く、個性的な香りで当店でも非常に人気の高いお茶です。 永徳野生茶は、雲南省臨滄市永徳県で、牛 …

PAGETOP