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  • お茶の品質を決める各種要素

お茶には、「挿し木で増やされる品種物」と「種から蒔かれる実生のお茶」の2種類があることをご存じでしょうか?
品種物と実生のお茶には実は大きな違いがあります。違いを理解すると、益々マニアックなお茶選びができると思います。

品種物のお茶とは?

品種物とは、日本茶ならヤブキタ、ベニフウキ、オクミドリ、中国茶だと鉄観音、肉桂や青心烏龍のように品種名のあるお茶の事です。
品種物のお茶は挿し木により増やすため、全てのお茶の木が同じ香りを有します。
なぜ、挿し木で増やす必要があるのでしょうか?

それは、種から蒔いた場合、元の品種とは異なるお茶が生えてくるためです。
例えば、リンゴの品種である、フジリンゴの種を蒔いても、フジリンゴは生えてこないことをご存じでしょうか?
人と同じでリンゴもお茶も有性生殖だからです。有性生殖の場合、子供の染色体の半分は母(メス)、残りの半分は父(オス)から受け継いでいます。
当然、子は親と全く同じにはなりません。フジリンゴの種を蒔いても生えてくるリンゴはいわゆる「雑種」のリンゴとなります。
従って、蘭の香り、桃の香り、紅茶に向いた香りなど、固有の特徴を保存したい場合、挿し木という、いわゆる、クローンの技術が用いられます。
なお、ごく一部ですが、中国では接ぎ木によって品種を増やすこともあります。

実生(在来種)のお茶

一方、種から蒔かれたお茶のことを「実生」と呼びます。
日本茶の場合、実生と呼ぶ代わりに、「在来種」と言う呼び方が一般的です。ヤブキタ在来等、妙な名称のお茶がありますが、これは、ヤブキタ品種の種を蒔いて生えてきたお茶という意味です。
前述したとおり、種から蒔かれたお茶は、一本一本の木が全て異なります。私たちが兄弟姉妹、似た特徴を有しつつも異なるのと同じです。日本の在来種(実生のお茶)の茶園を訪問すると、以下の2枚の写真のように一つの茶園内に多種多様な形状をした茶葉を見ることができます。

実生のお茶と品種物のお茶の驚くべき違い

実生と品種物のお茶には驚くべき違いがあります。
その違いは土の中にあります。
以下の写真を見ていただければ百聞は一見にしかずではないでしょうか?
左側は挿し木による品種物、右側は実生のお茶です。

実生のお茶の根はゴボウのように太く長く、地中深くまで伸びているのに対し、品種物のお茶の根は細く短く、毛のように地表付近で形成されております。
品種物のお茶の木は、地表に近いところで根を張っているため、肥料を吸いやすい反面、根が浅いために、倒れやすく、地中深くのミネラルを吸収する能力に欠けます。

実生のお茶は、根が地中深くに伸びているため、暴風雨にも強く、ミネラルが豊富であることから、同じ条件であれば、味の濃いお茶が出来ます。
私の経験上、世界的も突出して実生のお茶が多いのは、中国の雲南省だと思います。雲南省には、多くの老木が残っておりますが、その殆どが実生のお茶です。

接ぎ木をした場合のお茶の品質

尚、接ぎ木で品種を保存するやり方もあります。鳳凰単叢烏龍茶などでは割と一般的な技術です。
樹齢数百歳の実生の老木に香りが良い品種物を接ぎ木した場合、味を始め、お茶の品質はどうなるでしょう?
接ぎ木をした直後は、枝が一気に成長しようとするため、味は余り良くありません。
しかし、8年ほど経過すると、実生の母樹と同じレベルの品質になることが知られております。
実生の老木に、品種物のお茶を接ぎ木するという方法は、質が高いお茶ができる点が興味深いですね。

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