- ホーム >
- お茶を楽しむ
長期熟成したお茶の開封時にはワインのデカンティングに相当する処理がおすすめ
- [2017.06.19] Written By 北城 彰(Akira Hojo)
HOJOではお茶の長期熟成をする際には無酸素での保存を推奨しております。ただし、無酸素で長期間熟成したお茶を飲み始める前は、ワインのデカンティングに相当する処理をするとよりフルーティで華やかな香りを楽しむことが出来ます。
熟成による甘い香りを引き出すには無酸素が理想的
お茶を「無酸素保存」すると熟成によりフルーツのような甘い香りが形成されます。一方、酸素に触れた状態で保存した場合、変化の速度は速いものの、無差別に酸化反応が進むため、熟成と劣化が同時に進み、甘い香りだけを優先的に引き出すことが困難です。尚、お茶の熟成(劣化についても)は温度と湿度に比例して早くなります。したがって、同期間の熟成でも、日本と熱帯地方では熟成の速度が全く異なります。私の経験上、東南アジアではお茶は日本の約2.3〜3倍の速度で熟成します。幸いにも私はマレーシアのクアラルンプールでも同じラインアップのお茶を販売しているため、熟成による結果を短期間で理解することが出来ます。過去に各種の保存実験をマレーシアで行った結果から私はお茶には無酸素での熟成が良いと結論づけ、現在HOJOのお茶は全て無酸素包装しております。実は、食品科学的視点からすると、食品の熟成には酸素が無い環境が理想です。例えば、ワイン、チーズ、ハムの熟成においても、基本空気に触れることがありません。例えば、ワインはボトルを寝かしコルクを常に濡れた状態にすることで、外気の侵入を防ぎます。仮にボトルを立てた状態で長期保存し、コルクが乾燥収縮し、外気が侵入します。その結果、ワインは熟成香というよりも滓ずけのような独特の臭いに変化します。ハムは熟成期間中ずっと空気にさらされているように見えますが、実際はハムの表面が硬化し、内部は直接空気には触れません。
お茶についても同様で、昔のプーアル茶は石のようにカチンコチンに圧縮されていたために、餅茶やブロック状に固められた茶葉内部は無酸素状態でした。つまり、昔のプーアル茶については、外気に晒していたとしても、内部は無酸素状態でした。以前から何度も説明しておりますが、お茶の熟成=酸化反応です。あまり知られておりませんが、無酸素でも酸化は進みます。お茶の成分が酸素を受け取る代わりに、「電子」を失うことも化学では酸化と定義されます。
熟成はあらゆる種類のお茶に対して有効
お茶の熟成というとプーアル茶ばかりが注目されますが、実はあらゆる種類のお茶が熟成します。ただし、一般的な日本茶に代表されるような、肥料栽培により旨味成分(アミノ酸)を多く含むお茶は熟成に向きません。アミノ酸がメイラード反応を起こすことで、干しイカのような臭いを形成します。また、発酵度が低めのお茶ほど熟成した場合の変化が大きく、紅茶などでも、ファーストフラッシュのような発酵が低めのお茶の方が熟成に適しております。緑茶、紅茶、白茶、黄茶、烏龍茶、プーアル茶と種類を問わず熟成するため、数年以上保存することで熟成実験をしてみるのも楽しいと思います。
長期熟成したお茶は空気にさらすことが理想
長期間熟成されたワインは開栓後すぐ飲むのではなく、暫く時間が経過した後に飲んだり、デカンタを用いてデカンティングを行うことで香りがより華やかに変化する場合があります。デカンティングをする前と後とでは、銘柄が違うのかと思うほど香りに違いが生じます。デカンティングはワインの成分の酸化を促進し、揮発性の香気を引き出します。実はお茶に関しても同様の現象が観察されます。数年間熟成したお茶は、開封直後は栗やサツマイモのような甘い系の香りが中心となり、フルーティな香りが弱い傾向があります。私の経験上、開封後、数日間〜1週間くらいおくことで、華やかな花やフルーツの香りが形成されます。私の場合、プーアル茶にしても、鳳凰単叢烏龍茶、台湾烏龍茶にしても、長期熟成したお茶は必ず、開封し、数日間は空気に触れさせます。特に烏龍茶は水分が低めに押さえされているため、湿度の高い日に空気にさらすとより香りが強くなり、口当たりもやわらかくなります。
袋の端を軽くカットすると良い。
熟成したお茶を空気にさらす方法
空気にさらすと言っても、お茶を直接外気や光にさらすわけではありません。また、他の容器に移すのはお勧めしません。お茶は光に触れると急速に劣化します。袋を開封したら、末端を軽く折り返し、洗濯ばさみやクリップで止めてたり、或いは、袋の一部に切り込みを入れるだけで十分です。2年以上熟成したお茶は、空気に触れさせると数日で大きく変化します。香りの変化を観察するだけでも面白いと思います。
1,Twitterをフォローする。2,FaceBookで「いいね!」を押す。3,メールマガジンに登録する。という3つの方法で、お茶に関する最新情報をキャッチすることができます。今すぐ下のツイッターフォローボタンや「いいね!」をクリック!
- メールマガジン登録で無料サンプルをもらおう!
- メールマガジンにご登録いただくと無料のサンプル茶葉のプレゼントや希少商品の先行購入など様々な特典がございます。ソーシャルメディアの購読だけでなく、メールマガジンへのご登録もお忘れなく!
- 東山生茶・白毫銀針・茉莉銀針の3種類のお茶を発売
- 東山生茶2023、白毫銀針、茉莉銀針の3種類のお茶を発売しました。 東山生茶2023 https://hojotea.com/item/d63.htm 東山生茶2023を発売しました。東山生茶は当店でも非常に人気の高いお …
- 大雪山野生茶(生茶)2023年・2024年産 同時発売
- 大雪山野生生茶の2023年産と2024年産を発売しました。 2023年産については、マレーシアの倉庫で1年間熟成しております。 https://hojotea.com/item/d27.htm 雲南省でも入 …
最新の記事 NEW ARTICLES
- 東山生茶・白毫銀針・茉莉銀針の3種類のお茶を発売
- 東山生茶2023、白毫銀針、茉莉銀針の3種類のお茶を発売しました。 東山生茶2023 https://hojotea.com/item/d63.htm 東山生茶2023を発売しました。東山生茶は当店でも非常に人気の高いお …
- 大雪山野生茶(生茶)2023年・2024年産 同時発売
- 大雪山野生生茶の2023年産と2024年産を発売しました。 2023年産については、マレーシアの倉庫で1年間熟成しております。 https://hojotea.com/item/d27.htm 雲南省でも入 …
- 佐渡無名異焼作家の渡辺陶三作:野坂粗土還元急須が入荷
- 野坂粗土還元焼成の茶器を発売しました。 今回入荷したモデルは、茶壺(後手急須)、フリーカップ、マグカップの3点です。 https://hojotea.com/item/tozo_nosaka_reduction.htm …
- 佐渡島の渡辺陶三製作:野坂粗土酸化焼成の茶器が入荷
- 佐渡島の陶芸家、渡辺陶三氏による「野坂粗土酸化焼成」の茶器を発売いたしました。 https://hojotea.com/item/tozo_nosaka.htm 野坂は佐渡島の沢根にある地区名で、相川金山に …
- 2300mの野放茶園産、高山白茶を発売
- 高山白茶を発売しました。 このお茶の茶園には、次の2つの特徴があります。 1. 標高2200-2300mに位置する茶園 2. 完全に野生化したお茶の木で構成される野放茶園 非常に理想的な環境ゆえに、お茶の品質も素晴らしく …
- 標高2100mの無農薬・無肥料茶園産の高山紫茶2024
- 2024年産の高山紫茶を2種類発売しました。 https://hojotea.com/item/d53.htm 2種類とも、同じ生産者が同じ地域内に保有する茶園の茶葉ですが、茶園の位置が異なり、また、生産日も異なります。 …
- 大雪山野生茶(普洱生茶)2024の散茶を限定発売
- 大雪山野生茶は、雲南省臨滄市永徳県の大雪山に自生する野生のカメリアタリエンシスから作られたプーアル生茶です。 野生茶とは 野生茶とは、樹齢が高いお茶や野生化したお茶ではなく、山に自生している天然のお茶を指します。 過去に …
- 鳳凰単叢烏龍茶の産地、潮州市鳳凰鎮を訪問(2024)
- 先月、鳳凰単叢烏龍茶の産地である潮州市鳳凰鎮へ、仕入れと生産者との打ち合わせを兼ねて出張しました。ちょうど台風の時期と重なり、山から潮州に戻れなくなるなどのハプニングもありましたが、無事に仕入れを終えました。鳳凰鎮にはこ …
- 前川淳蔵作の伊賀天然朱泥急須、宝瓶各種入荷
- 前川淳蔵作の伊賀天然朱泥の茶器が入荷しました。 今回入荷したのは、丸型宝瓶、急須、絞り出し、茶海です。 https://hojotea.com/item/maekawa_iga.htm 数百年前に古琵琶湖の湖底に沈殿した …
- 佐渡島:渡辺陶三作、無名異上赤茶壺と宝瓶が入荷
- 渡辺陶三氏作の無名異常赤急須および宝瓶が入荷しました。今回の入荷品は、後手タイプが中心です。 https://hojotea.com/item/tozo_joaka.htm 非常に稀少な上赤 「上赤」は、佐渡島の相川金山 …
- HOJO通販新着
- 特集
- メールマガジンバックナンバー
- お茶の種類
- お茶の産地
- 茶器・急須
- お茶のコラム-雑学-歴史-文化
- お茶を楽しむ
- お茶の作り方-製法
- お茶の品質を決める各種要素
- お茶の成分と効能
- お茶の安心と安全
- 食品
- お茶ビジネスの運営・記録
- 趣味活動
- お茶のランキング-おすすめ
- お茶に関する動画
- お茶に関するQ&A
- メディア掲載
- an anにてジャスミンパールが紹介されました。
- an an 「マガジンハウス出版」 No.1865、2013年7月24日号「夏のお取り寄せ」特集で弊社のジャスミンパールが紹介されました。
- マレーシアの全国紙 “Star Newspaper”に掲載して貰いました。
- 先日、マレーシアの全国紙「Star Newspaper」でHOJOの特集をしてくれました。 Starはマレーシアで最も購読数の多い新聞で、マレーシアのメディアでは最も影響力の大きな新聞です。 新聞の内容は、茶器によりお茶 …
住所:Lot No. T-215, 3rd Floor, Mid Valley City, Lingkaran Syed Putra 59200 Kuala Lumpur