鳳凰単叢烏龍茶の仕入れのため、広東省潮州の鳳凰鎮へ行ってきました。鳳凰単叢烏龍茶は私が個人的に大好きなお茶です。それもあり、私は毎年現地に1週間滞在し、生産者から直接仕入れを行っております。

意外に認知度が低い鳳凰単叢烏龍茶

鳳凰単叢烏龍茶は武夷烏龍茶、安渓烏龍茶とならび、中国の3大烏龍茶の1つです。ただ、世界での認知度という点では、他の2つの産地と比べるとあまり高くありません。
この理由ですが、東南アジアは福建省出身の華人が非常に多く、彼らの出身省である福建省のお茶が圧倒的に認知されております。唯一、タイのバンコクは潮州出身者が相対的に多く、それゆえに、バンコクの中華街などへ行くと意外にも鳳凰単叢烏龍茶風の烏龍茶が多く売られております。

中国3大烏龍茶の中でも突出して高い品質

認知度という点ではあまり高くない鳳凰単叢烏龍茶ですが、お茶のマニアには熱く支持されるお茶です。HOJOではマレーシアのクアラルンプールでも直営店を経営しており、また、海外のお客さんにもお茶を販売しておりますが、海外のお茶マニアの中には、雲南省のお茶と鳳凰単叢烏龍茶しか飲まないという人もいるほどです。

なぜ、鳳凰単叢烏龍茶はマニア受けするのでしょうか?理由はシンプルで、お茶の品質と加工技術の両方が突出して高い点が理由だと思います。鳳凰単叢烏龍茶は、良い物になると標高が1000m以上の茶園で作られます。高山で収穫されたお茶は、液体密度が増し、香りも高くなります。高所では、昼間太陽光を強く受ける反面、夜の温度が非常に低くい為、お茶がゆっくりと成長し、その結果お茶が高い品質になります。また、鳳凰単叢の名産地である烏崠山には、樹齢が数百歳のお茶の木が非常に豊富にあり、高樹齢の木から作られたお茶は、非常に濃厚な後味と、体に染み入るような香りを呈します。

焼き菓子のように甘い香りを高める炭焙技術

鳳凰単叢烏龍茶の発酵は勿論非常に手がかかっておりますが、もう一つ、この茶を特徴付けているのは、炭火による焙煎です。炭火での焙煎と聞くと、香ばしい香りを連想しますが、そうではありません。腕のよい職人は鳳凰単叢烏龍茶を100℃以下の温度で焙ることで、焦げ臭さや煙臭さを一切付与せず、味香りの透明感を高め、フルーツの香りを高めます。例えるなら、オーブンで焼き上げたチーズケーキのようにじっくりと低温で焼き上げることで甘い香りを高めております。鳳凰単叢烏龍はまさにデザート言っても過言ではないくらい甘い香りがするお茶です。

単叢の意味

鳳凰単叢烏龍茶の「単叢」ですが、香りの種類や質ごとに分類した小ロット単位のお茶を指す言葉です。単叢は一本の木から作られたお茶と解説している書籍やネット情報もありますが、それは誇大表現です。現在、単叢その様な使い方はされておりません。一本の木から作られたお茶は「単株茶」という名称が用いられます。
例えば、同じ人が所有する茶園でも、日当たり、標高、木の樹齢、品種、土質など、各お茶の木の生育条件は多岐にわたります。同じ品種のお茶でも生育条件の違いにより、木ごとに微妙に異なる香りを生み出します。鳳凰鎮の茶園の場合、一本一本の木がリンゴの木のように非常に大きく、個性がはっきりしています。折角の個性ゆえ全部混ぜてしまったら勿体ないですよね?単叢として小ロットに分類して販売することでそれぞれの個性を活かし、値段にメリハリ(プレミア)をつけているのが鳳凰鎮における単叢文化です。

写真の中の木は全てお茶の木です。鳳凰鎮には樹齢数百年のお茶の木が沢山残っております。

悪いばかりではない雨の影響

今年の潮州は春に雨の多い年でした。雨が多いと、お茶は早く成長するため、全体に品質が落ちます。その為、今年は例年と比べると鳳凰鎮全体に生産量が例年の1/3と少なく、私の生産者についても非常に限られたお茶のみが仕入の対象でした。
但し、生産者のやり方次第では雨は悪いばかりではありません。私の生産者は自家茶園を沢山保有しているため、雨の多い年は、老ソウと呼ばれる老木をダウングレードして普通の単叢として販売します。驚いたのは、昨年、単株茶として販売していたお茶の木が、単叢にダウングレードされておりました。雨が多い年でも、老木は非常に濃い後味を呈し、高い品質のお茶を生み出します。この為、今年仕入れたお茶は昨年と同じ値段のお茶でも、味の点では例年になくまろやかで、後味の濃い品質でした。最終的に数種類の単叢を仕入れましたが、全体にとても満足の行く内容でした。因みに、今年は老ソウ水仙、蜜蘭香清香型、竹葉、兄弟仔、宋種、黄枝香他を仕入れました。竹葉というお茶は、名前は全然魅力的ではありませんが、非常に魅力的な香りがするお茶でした。葉が長い品種ゆえにこのような名称がついたそうです。

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