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茶頭プーアル熟茶 2015年産を発売
- [2017.02.18] Written By 北城 彰(Akira Hojo)
2015年に生産された茶頭熟茶を2016年に雲南省を訪問した際に仕入れました。本商品は臨滄の西部、ミャンマーの国境から50km程離れた地域でにある少数民族の村で作られた自然栽培茶を原料に作られました。
茶頭は微生物によって自然に作られたかたまり
茶頭とは、発酵の過程で、お茶の葉が互いにかたまり、「ダマ」になった状態のお茶の呼称です。
発酵の過程で、放線菌を中心とする微生物が生産する多糖類(ポリサッカライド)などにより、茶葉がかたまりを形成します。その後、ダマ内部の酸素が消費されるため、内部は無酸素状態となり、発酵に要する2ヶ月の間、50℃以上の温度に維持され、お茶の「熟成」をするために非常に理想的な環境となります。
熟成で更に化ける茶頭
茶頭が特にその特徴を発揮するのは数年の熟成期間を経た後です。茶頭は数年以上熟成することで、独特の乾燥フルーツのような甘い香りを形成します。一般的なプーアル熟茶も熟成により乾燥棗を連想するような香りを形成しますが、茶頭の場合、香りに透明感があり、レイズンのような独特の香りを伴います。
小茶頭を仕入
茶頭は芽の部分のみから構成される宮廷グレードほどではありませんが、プーアル熟茶の中では非常に高価な原料であり、入手しにくいお茶です。
茶頭には大茶頭と小茶頭の2種類があります。どちらも茶頭なのですが、形状で大と小に分類されます。2012年産として現在販売している商品は大茶頭を用いておりますが、2016年に仕入れた2015年産については出来(香り)がよかったという理由から小茶頭を選びました。小茶頭はそれぞれのかたまりのサイズが1cm前後くらいの大きさになります。
春茶が非常に希なプーアル熟茶の実情
プーアル熟茶は1970年代に開発されたお茶であり、700-800年の歴史を持つ生茶と比べると歴史が浅いお茶です。ただし、ダイエットブームなどの煽りから、日本をはじめとする、海外では生茶よりも熟茶の方が多く普及しております。熟茶は微生物発酵をしっかり行うことで、渋味の原因となるエピガロカテキンガレートなどが分解され、渋味を呈しにくいことから、春茶が単独で売られることは希で、市場に流通しているお茶の多くは、春茶、夏茶、秋茶を全部ブレンドすることで品質と値段のバランスがとられております。ただ、春茶から作られたプーアル熟茶を飲んでしまうと、突出した軟らかさ、滑らかな口当たり、余韻の深さから、夏茶や秋茶には戻ることが出来ません。私は直接生産者を訪問することで、春茶のみを仕入れるようにしております。
土やカビの臭いは発酵に失敗した腐敗臭
プーアル熟茶というと、カビ臭いとか、古い家具の臭い、土のような臭いというイメージを持たれている人がおります。これらの臭いは、カンファー臭(香?)と呼ばれ、発酵に失敗したプーアル熟茶に特徴的に見られる臭い、つまり、腐敗臭です。プーアル熟茶の発酵には放線菌を初めとする好気性菌、酸素を必要としない嫌気性菌が交互にたずさわり、最終的にはカビと酵母などの真菌類が関与します。ところが、原料を堆積する際に、水を与えすぎてしまうと、堆積した茶葉の内部が無酸素状態となるため、好気性菌が増殖できず、嫌気性菌のみが増殖します。嫌気性菌が増殖すると様々な不快臭を発生します。前述した、土のようなカンファー臭は嫌気性菌が原因です。私はこの臭いがするプーアル熟茶は、決して仕入れることはありません。ただ、世の中に流通しているプーアル茶の多くがカンファー臭のするため、プーアル熟茶に誤ったイメージを持たれる人が多いと思われます。適切な発酵で作られたプーアル熟茶は乾燥棗のような甘い乾燥フルーツの香りがします。今回発売の茶頭2015についても甘い乾燥フルーツ香を楽しんで頂けます。
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