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雲南省の隣ミャンマー果敢産のプーアル熟茶を発売
- [2017.10.30] Written By 北城 彰(Akira Hojo)
雲南省の南西部鎮康県に隣接するミャンマーの果敢という地域で作られたプーアル熟茶を発売しました。後味が極めて濃く飲みごたえのあり、稀少性、質共に非常にお勧めのお茶です。現時点でもとても美味しいお茶ですが、数年熟成することで更に甘い香りが形成され、またよりフルーティで個性的な香りへと変化します。このお茶に関する詳しい情報は以下のコラムをご覧ください。
https://hojotea.com/jp/posts-1052/
雲南省と国境を接するミャンマー産の茶葉を使ったプーアル熟茶
ミャンマーの果敢自治区は中国との国境を巡り歴史的に紛争が絶えない地域です。この地域には中国系少数民族のミャンマー人が多く住んでおり、町には中国語があふれかえり、人々の多くはミャンマー人でありながらも中国語が話せます。果敢自治区では経済面でも雲南省との貿易に強く依存しており、中でもプーアル茶は主産業の1つです。ここ数年、果敢自治区では激しい内戦が行われており、迫撃砲やロケット弾、戦闘機が飛び交う状態でしたが、2016年より一時的に停戦状態となっております。私は内戦が始まる直前の2013年に果敢に行き、茶園の視察や、生産管理の状態を見て回りました。
現在、果敢自治区はあまりに危険すぎるため、中国人の入国は制限されております。今回仕入れたお茶は、果敢のミャンマー人が陸路で中国との国境を越え、雲南省まで原料となるプーアル生茶を輸送し、それを雲南省の茶師が熟茶へと加工しました。彼らミャンマー人の多くはかつて平和だった時代に、雲南省出身の茶師からプーアル生茶の製茶技術を受け継いだ人々で、現在作られている果敢産のプーアル熟茶は、ミャンマー人の弟子が生茶を加工し、それを受け取った雲南省の茶師が熟茶に加工するという役割分担によって成り立っております。
雲南省の国境から数時間程入ったミャンマーの山村:内戦が始まる前の2013年に産地を訪問しました。
自然栽培のお茶が原料
果敢産のプーアル熟茶は雲南省でも徐々に名声が高まっており、ここ数年需要が増え、それに伴い毛茶の値段が上昇しております。果敢のお茶は、肥料が殆ど入ってないことから、後味が濃く非常に質が高いのですが、それでも村の周辺の茶園には家畜の糞尿が肥料として与えられることが多く、同じ果敢産でも、原料の質の違いには差があります。したがって、果敢産ならどれも良いというわけではなく、原料の産地となる茶園の状態と、実際の茶葉の質を厳しく見極める必要があります。良いお茶は飲んだときにとても軟らかく、香りと味に透明感があり、余韻が長く感じられます。未だお茶が新しいために、非常に上品でソフトな飲み心地がしますが、今後熟成することで香りも甘味も増し、非常に飲みごたえのあるお茶へと変化します。
果敢古樹熟茶は甘い香り
熟茶は「古い家具」、「腐った木」、「カビ」のような臭いがするから嫌いという人がおります。嫌と思う臭いというのは体が拒絶しているわけで一種の防御反応です。熟茶の場合、非常に長期の発酵作業を伴いますが、この間に大事なのは「水分管理」と「攪拌作業」になります。水分を与えすぎたり、攪拌を怠ると堆積した茶葉内の酸素が減り、それに伴い嫌気性菌が増殖します。前述したカビのような臭いは、酸素不足で増殖した嫌気性菌の増殖によって形成されます。適切な水分量と必要に応じた攪拌によって作られたお茶は放線菌(好気性菌)による発酵が進み、乾燥フルーツのような甘い香りが形成されます。私は熟茶を選ぶ際、ベースとなる茶葉の品質は勿論ですが、放線菌による発酵が適切に行われているかどうかを重要な選択基準としております。果敢古樹熟茶も発酵工程が適切に制御されているため、乾燥フルーツ(棗)のような非常に甘い香りと仄かな木質の香りがするお茶です。未開封のまま、数年置くことで熟成が進み、乾燥フルーツのような甘い香りは更に増幅され、味に透明感が増します。
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