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知らなきゃ損!プロが教える高温で日本茶を美味しくいれる方法
- [2019.02.28] Written By 北城 彰(Akira Hojo)
日本茶は低い温度でいれるというのが常識と思われてませんか?
実は、日本茶を高温でいれると意外に美味しかったりします。各種情報を鵜呑みにして「日本茶は低温でいれるもの」と決めつけるのではなく是非一度高温でのいれかたをお試しいただきたいと思います。
日本茶を低い温度でいれる理由
日本茶を低い温度でいれるのは以下の2つの理由からです。
1. 低めの温度の方がお茶に含まれるテアニンという旨味をより感じやすい。
2. 苦味成分のカフェインは80℃以下では抽出されにくい。
お茶にはテアニンという旨味成分が含まれております。「旨」という文字が用いられているため、旨みが多いお茶は美味しいと思われがちですが、旨み成分=美味しいと言うわけではありません。旨味とはグルタミン酸ナトリウムに代表されるアミノ酸の味をさします。いわゆる、「味の素」の味が旨みです。化学調味料を大量にかけても美味しさそのものは増さないですよね?お茶に大量のテアニンが含まれていてもそれは1つの味の個性であって、品質や美味しさの要素ではありません。
尚、他国のお茶と比べ日本茶は旨味成分を特に多く含みます。製茶方法ゆえに旨味成分が形成されるわけではなく、旨みの多少は栽培方法に起因します。日本茶の場合、全体に窒素肥料が多く使用されるために、窒素が茶葉内に取り込まれるとテアニンが生合成されます。テアニンは分子内に窒素を複数含む窒素化合物だからです。日本茶以外でも、肥料を沢山使用して作られたお茶は、テアニンを多く含みます。また、玉露や被せ茶のように日光を制限して作られたお茶は、テアニンを特に多く含みます。
※なぜ日本茶(緑茶)にテアニンが多く含まれるかのか?は以下で解説しています。
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旨味をより感じやすい温度帯は50〜70℃位です。この温度帯だと、「とろりとした旨み」が引き立ちます。逆に温度が高いと感覚として旨味を感じにくくなります。これはスープを高温で飲むとサラサラになり旨みが感じにくいのと同じ原理です。
また、お茶の苦味の本体はカフェインです。カフェインは80℃以上の温度でより効率的に抽出されると言われております。一般的な日本茶のいれかたの場合、低めの温度帯で、長めにいれることで、カフェインの苦味を抑えつつ、旨み成分をしっかりと溶出させるのです。
低温で日本茶をいれるデメリット
ただし、低温でいれることによるデメリットもあります。低温でいれたお茶は香りが弱くなります。香の成分は低い温度では抽出されにくく、高い温度でないと抽出されやすいためです。したがって、香りを引き出すためには高い温度でいれる必要があります。低温の場合、例え長く蒸らしても香りは弱めです。また、低い温度でいれたお茶は雑味(舌で感じるザラザラ感、えぐみ)を呈しやすくなります。日本茶に限らず、烏龍茶をいれるときもお湯の温度が低いと雑味を呈します。特に微酸化している茶葉を低い温度でいれた場合、渋味やえぐみが際立ちます。高い温度でいれると、お茶に含まれる熱に不安定な成分が熱で安定化するため、渋味が軽減されるメリットがあります。
高温でお茶をいれるメリット
実際沸騰水でお茶をいれると、お茶の味は苦くなるのでしょうか?論理的にはそうなのですが、不思議なことにそうではありません。沸騰水で日本茶をいれる場合、蒸らし時間は極めて短めの10〜15秒くらいとします。温度が高いため、短い時間でもで十分に味も香りも出ます。いれる時間が短くても、高い温度でいれているため、香り成分や味の主体であるカテキン(ポリフェノール)が効率よく抽出されるため、短くいれているにもかかわらず味と香りがしっかりと感じられます。実際、ポリフェノール豊かなお茶は、低い温度で入れたお茶とは全く異なる香り味に感じられ、目から鱗の新体験ができます。ポリフェノールについては抗酸化・抗腫瘍など健康面への機能が着目されており、多くの研究が行われております。このような理由から、高温(沸騰水)でお茶をいれる方法は健康の面からもとてもお勧めです。
春茶に含まれるカテキンは渋味を呈さない
尚、カテキンは渋味を呈する物質と説明している書籍やその他媒体がありますが、実際にはそうではありません。夏に摘まれたお茶に多く含まれるエピガロカテキンガレートと言う種類のカテキンに関しては特徴的な渋味(酸味)を呈しますが、春のお茶に含まれるカテキン類は渋くありません。事実、中国茶や台湾における、高級なお茶になるほどカテキンが多く含まれます。カテキン量が非常に多い事で知られる自然栽培茶の場合、渋味は殆ど感じられず、むしろ際立って円やかです。HOJOではお茶の渋味の本体は葉緑素が酸化することで溶出したマグネシウムが原因と考えております。
自然栽培茶は熱湯でいれるのが必須
自然栽培茶の場合、旨み成分(テアニン)が非常に少なく、逆にカテキンなどのポリフェノール及び、ミネラルを豊富に含みます。この理由から、自然栽培茶の日本茶は、低温でいれても意味が無く、また、特徴を引き出すことが出来ません。窒素肥料を使わずに栽培された自然栽培茶を飲まれる場合、熱湯でいれる事が非常に重要です。自然栽培茶を低い温度でいれると、雑味が際立ち、香りも少なく、非常に分かり難いお茶に感じられ、自然栽培茶の良さを引き出すことが出来ません。
高い温度で日本茶をいれる方法
日本茶を高い温度でいれる場合、以下の条件をお試しください。
- 急須を沸騰水で10秒間温める
- 茶葉を急須に入れ、沸騰水にて10-15秒むらします。お茶は必ず注ぎきってください。また、お茶をいれた後は蓋を外し、茶殻の温度を下げてください。
- 2煎目以降は数秒内で十分です。
私が自然栽培茶をいれる場合、急須を余熱後、更に、沸騰水を茶葉にさっと通すことで、茶葉の温度を高め、より高い温度でお茶をいれられるように配慮してます。この方法は手際よくやる必要がありますが、上手にやると更にお茶が美味しくはいります。慣れてきたら是非お試しください。
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