茶器の材料は土ですが、土の原料は、岩石です。岩石が風化して、土になり、それを再び焼くことで、土の成分をガラス化し、急須と言う名の岩石へと再加工するわけです。
実は、岩石も火山により形成されます。火山が窯だと思えば、岩石は火山という自然の窯により焼かれた陶器(石器)なわけです。
窯で土を焼くと言うことはどういう事かというと、
焼くことで、
1.成分を溶かし、結合する
2.成分が液化し、密度が収縮する

 

成分が溶けてお互いに結合するために、焼くと硬くなるわけです。
因みに、お茶を美味しくする土としては、鉄分が多く、また、表面積が大きく鉄と水とより触れ合う事が理想です。
この点だけを考えた場合、焼けば焼くほど、成分は溶け、液化します。液化すると言うことは、つまり、粒子が解けて表面がフラットになってしまうわけで、表面積は劇的に減少します。
粒子表面

 

それでは、全く焼かない状態の土が一番味を良くするのでしょうか?

 
佐渡で拾った朱泥混じりの硬い岩石でテストをしました。お茶をさっとかけ、そのお茶を試飲しました。結果は驚くほどに味が変化してました。無名異焼の急須よりも、遙かに超越したまろやかさでした。

焼くことで、焼きしまる為、焼きしまるほどに表面積が増えると主張する人がおりますが、焼しまりでは多少の表面積増加はありますが、それは高温で焼くことにより、失われる粒子の多孔性と比べたらごく僅かなのでしょう。

 
上の実験から分かる点として、焼けば焼くほど表面積は減少します。出来るだけ、焼く温度を低く維持しつつ、天然の岩石の状態を維持し、且つ、壊れにくく、変な香りがしないのが茶器の理想的な焼き方だと思います。ただ、強度を考えると、温度は高い方がよく、焼成の最適温度は非常に難しい問題です。

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