臨滄エリアの一般的な風景。観光地ではなくても当たり前に壮大な段々畑があります。

品質と値段のバランスがとれていない雲南省南部のプーアル茶

雲南省における、プーアル茶の有名産地と言えば四双版納をはじめとする南部が有名です。これらの地域産のお茶はマニアの間で人気が高く、荒茶ですら平均的にとても高い値段で売られております。ただし、実際の品質はと言うと、実はあまり良くありません。四双版納のお茶は人気と共に値段が上昇しましたが、「お金儲けの味」を知ってしまった農家は更に生産量を増やすために従来の無肥料栽培を止め、大量の肥料を使用するようになりました。その結果、茶は短期間で大きく成長するようになり、生産量は増えたものの、その反面、味が薄く、コクの少ないお茶へと変化しました。

 

近年、道路も整備され容易に産地へ行けるようになったことで、更に品質は悪化の一途をたどっております。「老班章へ行ったらハイヒールとミニスカートをはいた女性達がBMWに乗ってきていた」というのは良く聞く笑い話です。

 

既に四双版納産のお茶の品質低下に伴い注目が集まる臨滄のお茶

プーアル茶愛好家の中でも、味覚が鋭い人はこのような品質の変化を敏感に感じております。その為、近年では四双版納のお茶を見限り、他の地域のお茶に注目する人、茶商も増えつつあります。私も2010年から臨滄 エリアに実際に行き、産地調査を開始し、2011年より本格的に取り扱いを開始しました。昨年仕入れたお茶はその全てが臨滄産のお茶です。

有名産地になるとお茶の木が異常に大切にされている

臨滄でも、車で4-5時間の距離の産地は既に品質が下降気味

臨滄のお茶というと、臨滄市周辺で収穫されたお茶と勘違いしている人がおりますが、臨滄は24,469平方kmと日本の四国よりも広い面積です。臨滄の市内を訪れると非常に発展しているため、「本当にこの周辺に茶園があるのだろうか?」と思いますが、じっさいは茶園は近くにはありません。市内からある程度名の知れた産地の茶園まで車で平均4-5時間の距離があります。4-5時間というと異常に遠く感じられるかもしれませんが、4-5時間でいける場所はアクセスが容易な地域と考えるべきで、中国国内外からも多くのバイヤーが訪れます。そうなると、茶葉原料相場は上昇し、農家は更に生産量を増やすために、伝統的な農業を止め、肥料をあたえ、枝を切ることでお茶の木の成長速度を早め、品質を落としてしまいます。

現代農業に移行中の茶園

お茶の木を途中から切ると、翌年は勢いよく葉が出てくる。

肥料と共に作られたお茶の葉

肥料を大量に吸う → 成長速度が増す → 光合成をするために葉緑素が増え、表面積が大きくなる →  濃い緑色の巨大な葉になる

木のIDまで付けられている産地。このような産地は農薬も多く使われております。

交通の便が悪く、貧しい地域ほど良いお茶が残っている

毎年雲南省へ行き続けている経験から、どの地域に行けば自然栽培のお茶が残っているかだいぶ推測できるようになりました。要は簡単で、僻地に行く程、自然栽培で作られた質の高いお茶が多く見られます。

通常、臨滄からバスに乗り、5-8時間ほどかけて更に小さな街へと行きます。そしてその街をベースにして、更に5-6時間かけて奥地の山へと行くようにしております。良いプーアル茶を仕入れるには現地の地図を頭に入れる必要があります。道路が整備されているところは、多くのバイヤーが訪れるため、茶園(農家)がスレてしまっていることが多いためです。できるだけ道路状況が悪く、未開発の地域がプーアル茶を仕入れるための理想的な条件です。

通常、写真の様な感じの道路を数時間移動します

道で山羊やロバと頻繁に行き交います。飼い主の服装も気になりますね。

写真真ん中に有る木は、樹齢が古いために大切にされ、肥料が与えられました。その為、茶葉は大きく緑色へ変色しております。皮肉にも、周りにある黄色の茶葉の方が遙かにコクのある味でした。

今年の雲南省出張は今月末より

このような地域は臨滄でも限られおりますが、まだまだ探せば見つけることができます。今年は3月25日より雲南省へ入る予定です。現地での状況はネットが繋がる限りブログやFBで日々お知らせしたいと考えております。

日本茶(緑茶)、中国紅茶、白茶、プーアル熟茶、プーアル生茶、ジャスミン茶、烏龍茶という厳選された茶葉7種のお試しセット

関連記事 RELATED ARTICLES

お茶に関する最新情報を確実にキャッチするには? SOCIAL NETWORK

1,Twitterをフォローする。2,FaceBookで「いいね!」を押す。3,メールマガジンに登録する。という3つの方法で、お茶に関する最新情報をキャッチすることができます。今すぐ下のツイッターフォローボタンや「いいね!」をクリック!

メールマガジン登録で無料サンプルをもらおう!
メールマガジンにご登録いただくと無料のサンプル茶葉のプレゼントや希少商品の先行購入など様々な特典がございます。ソーシャルメディアの購読だけでなく、メールマガジンへのご登録もお忘れなく!

HOJO TEAオンラインショップNEWS一覧を見る

2300mの野放茶園産、高山白茶を発売
高山白茶を発売しました。 このお茶の茶園には、次の2つの特徴があります。 1. 標高2200-2300mに位置する茶園 2. 完全に野生化したお茶の木で構成される野放茶園 非常に理想的な環境ゆえに、お茶の品質も素晴らしく …
標高2100mの無農薬・無肥料茶園産の高山紫茶2024
2024年産の高山紫茶を2種類発売しました。 https://hojotea.com/item/d53.htm 2種類とも、同じ生産者が同じ地域内に保有する茶園の茶葉ですが、茶園の位置が異なり、また、生産日も異なります。 …

最新の記事 NEW ARTICLES

2300mの野放茶園産、高山白茶を発売
高山白茶を発売しました。 このお茶の茶園には、次の2つの特徴があります。 1. 標高2200-2300mに位置する茶園 2. 完全に野生化したお茶の木で構成される野放茶園 非常に理想的な環境ゆえに、お茶の品質も素晴らしく …
標高2100mの無農薬・無肥料茶園産の高山紫茶2024
2024年産の高山紫茶を2種類発売しました。 https://hojotea.com/item/d53.htm 2種類とも、同じ生産者が同じ地域内に保有する茶園の茶葉ですが、茶園の位置が異なり、また、生産日も異なります。 …
大雪山野生茶(普洱生茶)2024の散茶を限定発売
大雪山野生茶は、雲南省臨滄市永徳県の大雪山に自生する野生のカメリアタリエンシスから作られたプーアル生茶です。 野生茶とは 野生茶とは、樹齢が高いお茶や野生化したお茶ではなく、山に自生している天然のお茶を指します。 過去に …
鳳凰単叢烏龍茶の産地、潮州市鳳凰鎮を訪問(2024)
先月、鳳凰単叢烏龍茶の産地である潮州市鳳凰鎮へ、仕入れと生産者との打ち合わせを兼ねて出張しました。ちょうど台風の時期と重なり、山から潮州に戻れなくなるなどのハプニングもありましたが、無事に仕入れを終えました。鳳凰鎮にはこ …
前川淳蔵作の伊賀天然朱泥急須、宝瓶各種入荷
前川淳蔵作の伊賀天然朱泥の茶器が入荷しました。 今回入荷したのは、丸型宝瓶、急須、絞り出し、茶海です。 https://hojotea.com/item/maekawa_iga.htm 数百年前に古琵琶湖の湖底に沈殿した …
佐渡島:渡辺陶三作、無名異上赤茶壺と宝瓶が入荷
渡辺陶三氏作の無名異常赤急須および宝瓶が入荷しました。今回の入荷品は、後手タイプが中心です。 https://hojotea.com/item/tozo_joaka.htm 非常に稀少な上赤 「上赤」は、佐渡島の相川金山 …
非常に稀少な野生茶、永徳野生白茶2024を発売
永徳野生白茶を発売しました。このお茶は2021年に一度発売されましたが、瞬く間に売り切れ、その後の入荷はありませんでした。質が高く、個性的な香りで当店でも非常に人気の高いお茶です。 永徳野生茶は、雲南省臨滄市永徳県で、牛 …
2024年産の古樹白茶を発売: 雲南省にて生産監修することで品質向上
2024年産の古樹白茶を発売しました。 今年は、私たちが自ら現地に滞在し、茶葉の選定から生産に至るまで現場で監修したことで、自信のある仕上がりになっております。 https://hojotea.com/item/w25. …
単株茶を含む2022年産の鳳凰単叢老欉を3種類発売
単株を含む、鳳凰単叢の老欉を3種発売しました。今回発売したお茶は以下の三種類です。何れも標高1200mの茶園産の茶葉原料から作られており、濃厚な香りと深い後味がする素晴らしいお茶です。 鳳凰単叢老欉夜来香 2022 鳳凰 …
東洞庭山産、無農薬無肥料の碧螺春を発売
碧螺春(Biluochun)は中国を代表する緑茶の一つで、その優れた品質と独特の風味で有名です。HOJOでは、無肥料無農薬栽培による、余韻の長い碧螺春をお届けします。 https://hojotea.com/item/g …

PAGETOP