プーアルチャの加工

日本でも昔からプーアル茶が作られていた事をご存じでしょうか?この質問をすると、多くの人が乳酸発酵茶である「碁石茶」、「阿波番茶」等を連想されると思いますが、これらのお茶はプーアル茶とは性質の異なるお茶です。雲南省には太古の昔より、お茶を漬け物のように乳酸発酵させた食品がありました。上記のお茶は雲南省やミャンマーの少数民族に伝わる漬け物を起源としており、プーアル茶とは全く関連性がありません。では、日本で作られていたプーアル茶とはどのようなお茶なのでしょうか?プーアル茶の生産方法を理解するとその答えが見えてきます。

プーアル茶には生茶と熟茶がある

プーアル茶には「生茶」と「熟茶」と呼ばれるお茶があります。この2つの種類のお茶は何れもプーアル茶と呼ばれこそするものの、全く異なる製法により作られ、性質も全く異なるお茶です。実際、雲南省におけるもっとも伝統的なプーアル茶は生茶をさします。700-800年の歴史を有する生茶に対し、熟茶は1970年代に開発されたお茶で、40年程度の歴史しかありません。プーアル熟茶はプーアル生茶を原料として、微生物発酵によって作られます。よく見かける茶色の水色のお茶はプーアル熟茶と呼ばれるお茶です。

プーアル熟茶

プーアル熟茶

プーアル生茶

プーアル生茶

プーアル生茶

プーアル生茶の製法は基本的に緑茶と同じ

生茶は基本的に緑茶と製法が全く同じです。唯一の違いと言えば、人により殺青をやや軽めに行う点、乾燥を天日で行う点です。以下に緑茶とプーアル生茶の製法の違いを示します。製法を見る限り、基本的にプーアル生茶は緑茶の一種と言えます。プーアル生茶の茶葉は緑色をしており、新茶の水色はクリーム色をしております。緑茶は機械による熱風乾燥であるのに対し、プーアル茶は天日乾燥です。天日乾燥の場合、1日かけてゆっくり乾燥するため、その間、成分のマイルドな酸化や微量に残存している酵素による酸化発酵が行われます。それに対し、緑茶は短時間で乾燥します。作り方を見る限りは、プアール茶は緑茶の一種と言えます。

  1. プーアル生茶:萎凋(ごく短時間) → 殺青(釜炒り)→ 揉捻(お茶を揉むこと)→ 天日乾燥
  2. 緑茶 :萎凋(ごく短時間、日本茶の場合は萎凋無し)→ 殺青(釜炒りまたは、蒸す)→ 揉捻 → 機械乾燥
プーアルチャの加工
プーアルチャの加工

殺青後のプーアル茶

プーアルチャの加工

日本でも無意識に作られていたプーアル生茶

日本のお茶生産ですが、昔は全国各地の各農家にはお茶の木があり、自家用のお茶は各家庭で作られておりました。各家庭単位でお茶を作る場合、

蒸し or 釜炒り → 手揉み → 乾燥

の手順で作られますが、昭和の初期などは各家庭には乾燥機等あるはずもなく、家庭によっては天日による乾燥が行われておりました。天日乾ししたお茶は、製法的にも他でもないプーアル生茶です。

プーアルチャの加工

プーアル生茶の加工
ときどきプーアル生茶生茶を初めて飲まれたお客さんから、「昔実家で飲んだ緑茶にそっくり」という意見を聞くことがあります。ある意味、プーアル生茶は緑茶のもっとも原型となる製法であり、プーアル生茶に準ずる緑茶は雲南省だけでなく日本各地でも作られていたものと思われます。

日本茶(緑茶)、中国紅茶、白茶、プーアル熟茶、プーアル生茶、ジャスミン茶、烏龍茶という厳選された茶葉7種のお試しセット

関連記事 RELATED ARTICLES

お茶に関する最新情報を確実にキャッチするには? SOCIAL NETWORK

1,Twitterをフォローする。2,FaceBookで「いいね!」を押す。3,メールマガジンに登録する。という3つの方法で、お茶に関する最新情報をキャッチすることができます。今すぐ下のツイッターフォローボタンや「いいね!」をクリック!

メールマガジン登録で無料サンプルをもらおう!
メールマガジンにご登録いただくと無料のサンプル茶葉のプレゼントや希少商品の先行購入など様々な特典がございます。ソーシャルメディアの購読だけでなく、メールマガジンへのご登録もお忘れなく!

HOJO TEAオンラインショップNEWS一覧を見る

2022年産の鳳凰単叢老欉柿花香単株と桂花香単株を発売
2022年産の鳳凰単叢老欉単株茶を2種類発売しました。 何れも極めて樹齢の高い木ゆえに、非常に奥行きのある、長い余韻のお茶です。濃い後味に加え、1年以上の熟成による、濃厚な香りをお楽しみ戴けます。 鳳凰単叢老欉柿花香 単 …
ダージリンファーストフラッシュとオータムナル紅茶を発売
ダージリンを2種類発売しました。今回の新商品は、Arya茶園の春摘みファーストフラッシュのルビーと秋摘みオータムナルのルビーです。春摘みのルビーは4月に仕入れ、その後無酸素状態で熟成させることで、香りをさらに高めました。 …

最新の記事 NEW ARTICLES

野生茶を求め雲南省臨滄市南西部の山村へ
現在、雲南省臨滄市の南西部にてお茶の仕入を行っております。 当店にとって重要な商品の1つに野生茶があります。野生茶は製茶はもちろんですが、原料確保が一番大きな課題です。 今回、新たに野生茶が有る場所があるらしいと言う情報 …
雲南省のお茶産地にてプーアル茶、白茶、紅茶の生産
3月24日から中国の雲南省臨滄市の南西部、永德、鎮康県にてお茶の仕入れ、生産を行っております。 雲南省は世界一と言っても過言で無い極上の原料がある反面、生産に対する管理が甘いため、出来合のお茶を仕入れたのでは、理想とする …
2022年産の鳳凰単叢老欉柿花香単株と桂花香単株を発売
2022年産の鳳凰単叢老欉単株茶を2種類発売しました。 何れも極めて樹齢の高い木ゆえに、非常に奥行きのある、長い余韻のお茶です。濃い後味に加え、1年以上の熟成による、濃厚な香りをお楽しみ戴けます。 鳳凰単叢老欉柿花香 単 …
ダージリンファーストフラッシュとオータムナル紅茶を発売
ダージリンを2種類発売しました。今回の新商品は、Arya茶園の春摘みファーストフラッシュのルビーと秋摘みオータムナルのルビーです。春摘みのルビーは4月に仕入れ、その後無酸素状態で熟成させることで、香りをさらに高めました。 …
標高2100mのシングルガーデン産プーアル生茶、 火地古樹生茶2021を発売
火地古樹生茶2021を発売しました。 このお茶は、小さな単一茶園(シングルガーデン)のお茶のみから加工されたプーアル生茶です。 https://hojotea.com/item/d147.htm シングルガーデン産のお茶 …
ペットボトル入りのお茶の味に大きく影響するビタミンCの存在
近年、多くの人々にとって、お茶を飲むということはペットボトル入りのお茶を飲むことが普通な今日この頃ですが、本コラムでは、ペットボトル入りお茶の特徴的な味に焦点を当ててみたいと思います。 酸化防止目的のビタミンCの添加 コ …
鳳凰単叢蜜蘭香2023と老欉姜花香2022を発売
鳳凰単叢烏龍茶を2種類発売しました。今回販売したのは、蜜蘭香濃香2023 No.1と老欉姜花香2022です。 https://hojotea.com/item/houou.htm 質の良い鳳凰単叢の特徴 良質な鳳凰単叢は …
ちょっと変わった白茶の楽しみ方!驚きの応用アイデアをご紹介
水出しで抽出した白茶と、お湯で淹れた白茶はまったく異なる香りになることをご存じでしょうか?本コラムでは、水出しを更に応用した白茶の楽しみ方を紹介したいと思います。 殺青工程の無い白茶には酵素が残存 白茶の特徴は、製茶工程 …
大雪山野生茶ベースの特注ジャスミン茶:野生普洱茉莉龍珠
半ば好奇心から、大雪山野生生茶をベースとしたジャスミン茶を作ってみました。 日本はもちろん、中国でも極めて珍しいお茶ができました。 https://hojotea.com/item/s08.htm ジャスミン茶を特注生産 …
ミルクの香りがする烏龍茶とは?
お客様から偶に「ミルクの香りがする烏龍茶」を紹介してほしいとお電話頂く事があります。また、台湾を訪れた際に飲んだミルク烏龍茶が忘れられないというエピソードも耳にします。このコラムでは、そんなミルクの香りがする烏龍茶に焦点 …

PAGETOP