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雲南省のバスドライバーによる悪夢
- [2015.04.22] Written By 北城 彰(Akira Hojo)
プーアル茶をはじめとする各種お茶の仕入で雲南省を旅をする際、長距離移動の殆どはバスを利用します。特に山間部の村々を移動するためには、バス以外に移動手段がないのが現状です。雲南省の村々ではバスの運転手は非常に職業的なステイタスが高いのですが、彼らの暴君ぶりには何度雲南省を旅してもストレスがたまります。
山間部の村ではバスドライバーは超VIP
以前、お茶の仕入のため、最寄りの空港から10時間ほどバスで走った山間部の村を訪れました。外国人が来ることなど殆ど無い村なだけに、お茶会社の社長は色んな人に私を紹介してまわりました。一番最初に紹介されたのは、村の共産党の長でした。次に紹介されたのは、村の行政のトップでした。そして、3番目に紹介されたのは、バスの運転手でした。私は「なんで、バスの運転手?」と思ったのですが、その村ではバスの運転手は飛行機のパイロット以上に重要人物なのでした。
以下、私が経験した雲南バスドライバーの暴君ぶりの一部を紹介します。
12時間のバスの旅でトイレ休憩は1度だけ
本来バス会社では休憩すべきポイントが決められております。しかし、雲南省のバスドライバーにとってそんなことは関係ありません。ドライバーはそれぞれに、自分のお気に入りのドライブインと結託しております。例え、渋滞に巻き込まれ、何時間にも及ぶバス移動となったとしても、基本トイレ休憩はありません。(勿論、どうしようもなくなった人は、その辺で用を足させてくれますが)休憩はドライバーのお気に入りのドライブインと決まっております。ドライブインに着くと、ドライバーは即VIPロームへと通されます。VIPルームでは何皿もの食事が出され、ドライバーは豪華な食事をとります。乗客向けにはセットメニューしかなく、山奥ののドライブインにもかかわらず、日本円で500円もする高額な食事しか選択肢がありません。乗客の多くは高額ゆえに食事を注文しておりませんでした。勿論、トイレも有料です。私達の食事は極めてシンプルなために、5分もすれば食べ終わってしまいました。しかし、ドライバーは接待を受けているためにいっこうに戻ってこず、私達はイライラしながら待つほかありませんでした。40分位してようやく戻って来たドライバーは、「さっさと乗らんと出発するぞ」的な内容の言葉を大声で発しました。私達乗客はまるで囚人のようにドライバーの言うとおりに行動するほかありません。
禁煙のバスは燻製室状態
基本、バスは禁煙というステッカーが貼られておりますが、絶え間なくタバコを吸っているのは他でもなくバスドライバーです。ヘビースモーカーのバスドライバーにあたると、5時間ほどの移動時間中延々とタバコを吸っているため、目的地に着く頃には燻製のように臭くなっております。
信用ならない運転技術
運転についても無理な追い越し、急ブレーキなど、峠の走り屋かと思うような運転ぶりが目に付きます。それでも事故を起こさなければいいのですが、雲南省ではバスが谷底に墜落するのは日常茶飯事の出来事であり、ドライバーの運転技術は全く信用できません。
自分用のマンゴを買うためにバスを30分停車
ドライバーの私用のためにバスが停車することも日常茶飯事です。昨年、7月に雲南省に行った際は、出発して30分くらい走ったところ、突然、バスが停車しました。何かと思えば、そこはマンゴ屋で、バスドライバーは乗客を放置したまま、30分以上マンゴを試食しては、どれを買おうか物色しておりました。私は猛烈にイライラしていたのですが、恐ろしいことに周り乗っていた少数民族の乗客達は、ほのぼのとマンゴの値段や質について話し合っているだけで、誰一人イライラしておりませんでした。彼らにとって、バスドライバーが途中で私用を足すのは当たり前のようです。
この他にも、雲南省のバスドライバーの悪行ぶりをあげればきりがありません。ただ、雲南省ではこれが普通であり、最初の3日くらいは私もストレスがたまりまくりですが、恐ろしいことに1週間もすると慣れてしまいます。
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