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放置したいれかけの茶葉は翌日も飲める?
- [2016.08.26] Written By 北城 彰(Akira Hojo)

お茶を1-2煎だけいれた後、急須に茶葉を残したまま半日、或いは1日放置してしまうことはありませんか?1-2煎しかいれてないだけに捨てるのも勿体なく悩まれるかと思います。実は、いれかけで暫く放置しても再び継続的にいれられるお茶と品質劣化しやすいお茶があります。
栽培方法により劣化に差
お茶の場合、例えば、現代農業で作られた一般的な日本茶は24時間程度放置した場合、生ゴミ(痛んだ野菜)のような臭いが生じます。ところが、無肥料(窒素肥料を与えない)で作られた自然栽培茶の場合、同様の時間放置して比較的新鮮な香りが保持されており、いれかけの茶葉からは不快な臭いが感じられません。自然栽培茶であれば、前日の夜にいれたお茶を常温で放置しても、普通に翌朝もいれることが出来ます。この劣化臭は、微生物による腐敗というよりも、茶葉に含まれるアミノ酸が酸化することで生じる異臭ではないかと考えております。
窒素肥料とアミノ酸の関係
お茶は栽培方法によって、アミノ酸の含有量が変化します。お茶を分析したデータを見ると、窒素肥料の施肥量が多くなるほど、単位重量あたりのアミノ酸含有量が増え、逆にポリフェノール(カテキン)が減ります。逆に、窒素肥料を減らしたり、与えずに作られたお茶の場合、ポリフェノールが増え、アミノ酸が減少します。
いれかけの自然栽培茶と肥料栽培茶の保存経過
お茶の劣化の様子を理解するために、2つの異なる栽培方法で作られた日本茶を一回いれ、その後の品質変化を観察しました。
左は無肥料で作られた自然栽培煎茶、そして、右は肥料を沢山与えて作られた煎茶です。最初にお茶をいれたとき、肥料栽培の煎茶は非常に鮮やかな緑色をしておりました。①肥料を与える→②植物体に窒素が取り込まれる→③植物はより成長をしようとする→④より光合成を行うために葉緑素を多く生合成するというメカニズムにより、肥料を与えたお茶はより緑色になります。
いれかけのお茶の品質変化の経過観察
左が自然栽培茶、右は現代農業で作られた一般的なやや蒸しの強めの煎茶です。条件を揃えるために、どちらも茎をぬいてないお茶を使用しております。自然栽培茶は新鮮な状態でもやや黄色味を帯びているのがその特徴です。
肥料栽培したお茶は初日の段階ではとても鮮やかな緑色ですが、12時間後には鮮やかさが消え、24時間後には褐色化しました。それに対し、自然栽培茶は色が最初から最後まで比較的安定した色をしており、殆ど褐変が起こりませんでした。茶葉の香りについては、12時間後の段階では自然栽培茶は未だ新鮮でフローラルな香りでしたが、右側のお茶は既に鮮度が感じられませんでした。24時間経過の時点では、自然栽培茶は鮮度は多少落ちたもののまだフローラルな香りがしていたのに対し、右側のお茶は傷んだ野菜のような臭いが生じておりました。
お茶に含まれる旨味が香りの劣化に関係
茶葉に含まれるアミノ酸量が少ない自然栽培茶は湿った茶葉を長時間放置してもフローラルな香りが安定して維持されます。お茶に含まれるアミノ酸(旨味成分)がメイラード反応などにより経時的な品質劣化するものと推察されます。日本語ではアミノ酸の味を「旨味」という言葉で呼ぶために、旨味成分が多い=美味しいと勘違いされがちですが、旨味はグルタミン酸ナトリウムのようなアミノ酸特有の味を差す言葉であり、お茶の美味しさとは関係ありません。中国、台湾、インドなどでは、お茶の質を決める上でも重要な指標は、余韻の深さであり、自然栽培茶のようなポリフェノールを多く含むお茶は、非常に深い余韻が感じられます。余韻の深いお茶は、何回もいれられ、また、暫く放置しても劣化しにくい性質を有します。
私自身、15-16時間内であれば継続していれることがあります。長時間放置してもそれなりに鮮度の良い香りが楽しめるのはお茶の種類に関係無く自然栽培茶に限定されます。また、お茶がある程度大きく成長してから摘まれる烏龍茶は、茶摘みのタイミング上アミノ酸量が少ない為か、自然栽培茶でなくとも鮮度が比較的長く維持されます。
暫く席を離れる場合は、いれかけの茶葉を冷蔵庫にいれておくと、より長い時間鮮度が維持されます。同様に冬場はより長時間新鮮な香りが保持されます。
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