緑茶の種類を製法と品種により徹底解説

緑茶と一口に言っても、その種類はさまざまです。では、具体的にどのような種類があるのでしょうか?緑茶の製法や品種による種類の違いを紹介します。

※この記事では主に日本の緑茶に関して言及しています。

緑茶とは

緑茶とは、どのような特徴を持ったお茶なのでしょうか?まず緑茶の製法について基本を解説します。

茶葉を発酵させずに作ったお茶 

お茶の葉は、摘んでからどのくらい発酵させるかによって、違うお茶に仕上がります。ただし、発酵とはいっても、微生物によるものではなく、酵素による酸化のことを発酵と呼んでいます。

しっかり発酵させると紅茶に、部分的に発酵させると烏龍茶になるんです。緑茶は基本発酵させずに作ります。

摘んだお茶の葉は、生のまま置いておくと発酵が進むので、程良いタイミングで発酵を止めなければいけません。緑茶の場合、茶畑で摘んだ葉をすぐに加熱することで、緑の水色とキリっとした味が感じられるお茶に仕上がります。

緑茶の製法は「蒸し」と「釜炒り」に大別できる

お茶の葉を加熱して酵素の働きを止めることを殺青と言います。この殺青の仕方によって、緑茶は大きく2種類に分けることができます。

蒸して発酵を止めるのが「蒸し製緑茶」、釜で炒って発酵を止めるのが「釜炒り緑茶」と言います。日本で作られている緑茶の多くは「蒸し製緑茶」です。

日本茶のほとんどは緑茶

日本で作られているお茶を日本茶と呼びますが、現在作られている日本茶の主流は緑茶です。昭和40年代までは各地で紅茶が作られたり、昭和50年代の烏龍茶ブームのときには烏龍茶作りが試されたりしたこともありました。

現在でも、一部では紅茶や烏龍茶が作られています。また、和紅茶ブームで紅茶作りに取り組む生産者も増えています。しかし、そうしたお茶は珍しく、ほとんどが緑茶です。

緑茶の種類

日本茶のほとんどは緑茶ですが、緑茶の中にも種類があります。代表的な7種類について、味わいの特徴やおすすめ商品を紹介します。

澄んだ色とすっきり感のある「煎茶」

煎茶は普通煎茶とも呼ばれています。生産者により蒸らし時間には差がありますが、約20~60秒蒸して殺青を行います。茶葉の持つ爽やかな香りを活かした緑茶です。

茶碗に注いだお茶の色は澄んでいて、味わいがすっきりしているのも特徴といえます。

甘い余韻が特徴的な自然栽培茶「宇治煎茶 鷲峰山」や、花のような香りが特徴の「本山蛇塚煎茶」がおすすめです。

甘味を引き出す「深蒸し煎茶」

煎茶より長い1~2分の蒸し時間で殺青するのが、深蒸し煎茶です。蒸し時間が長い分、普通煎茶と比べて茶葉の細胞がより多く破壊されます。そのため、成分が抽出されやすいのが特徴です。

その結果、旨味を感じさせるテアニンや、甘味のもととなるミネラルが多く抽出されやすくなります。深蒸し煎茶を飲むと濃厚な旨味や甘味を感じるのはこのためです。お茶の色が濃く不透明なのも特徴です。

自然栽培煎茶2種と深蒸し煎茶をブレンドした「宇治煎茶 深蒸し仕立て」なら、煎茶の爽やかさと深蒸し煎茶のとろりとした舌ざわりを両方楽しめます。

日光を遮るのが特徴の「玉露」や「かぶせ茶」

日の光を遮って成長させるのが特徴の玉露やかぶせ茶は、テアニンなど旨味成分が多く、まろやかで濃厚な味わいです。

また、光の量が少ない中で光合成するためには、たくさんの葉緑素が必要になります。そのため、葉がとても濃い緑色をしています。

ほとんどの玉露は寒冷紗と呼ばれるプラスチック製の黒い覆いを利用して作られるのに対し、藁で覆いをすることで、藁に含まれるミネラルをたっぷり吸収して育った本玉露「玉露おくみどり」は、長く続く余韻が特徴的です。

茶道に欠かせない「抹茶」

玉露のように日光を遮る覆いをして育てた茶葉を、蒸してからそのまま乾燥させ、茎や葉脈を取り除いてから石臼でひいて粉末にしたものが抹茶です。

他の緑茶と違うのは、茶葉そのものを飲めるという点です。茶葉の中にはお湯に溶けないビタミンA・Eや、クロロフィル、食物繊維なども含まれています。抹茶なら、こうした成分も丸ごと取り入れられるのです。

茶道では、一般的によく知られている「お薄」と、格式が高いとされている「お濃茶」の2種類のお点前があります。

出物と呼ばれる「茎茶」「粉茶」「芽茶」

緑茶は、蒸して揉んで乾燥させると、そのまま煎茶になるわけではありません。製品になる前の「荒茶」と呼ばれる状態になります。

荒茶の状態では、茶葉の中に茎や粉末の部分が含まれており、一般的にはそれらを取り除くことで製品として販売される状態になるのです。そのとき取り除いた茎を集めたものが茎茶、粉を集めたものが粉茶、芽を集めたものが芽茶と呼ばれます。

見た目重視の製品作りでは取り除かれることが多いこれら出物ですが、hojoではあえてミネラル豊富な茎を残してふくよかな味わいを感じさせるお茶を提供しています。

地中のミネラルをたっぷり吸収した自然栽培の緑茶に、あえて茎を残した「月ヶ瀬在来煎茶」は、のびやかな味と香りが特徴です。

香ばしさが魅力の「ほうじ茶」

ほうじ茶は茶色い見た目をしているので、一見、緑茶には見えません。しかし、ほうじ茶は緑茶を炒って仕上げて作るお茶なので、分類は緑茶として考えられています。

香ばしい香りとさっぱりした味わいが特徴のほうじ茶は、苦味や渋みが少ないので小さなお子様でも飲みやすく、幅広い年代に好まれているお茶です。

日常使いの手頃なお茶というイメージが強いほうじ茶ですが、hojoでは極上の緑茶を使って仕上げたほうじ茶があります。「宇治焙茶 鷲峰山」は、まろやかさと深い喉越しが高級烏龍茶のようなほうじ茶です。

独特の香りと曲がった茶葉が特徴の「釜炒り茶」

一般的な緑茶は発酵を止める殺青を蒸して行いますが、釜炒り茶では釜で炒ることで行います。そのため、普通の煎茶とは違い、ほんのり香ばしい香りが特徴です。

また、煎茶のように茶葉をピンとさせる精揉工程がないため、茶葉はくるりと丸まった形状をしています。葉の緑色がくすんで黒っぽく見えるのも、釜炒り茶ならではです。お茶をいれると、透明で黄金色をしています。

作られている地域は、九州と四国の一部です。佐賀と長崎で作られている嬉野製と、熊本と宮崎で作られている青柳製は、釜の傾きの違いによって分類されています。

緑茶の品種

緑茶の種類は品種によっても分けられます。お茶の木には品種があり、それぞれに名前があります。お米で言うところの、コシヒカリやササニシキのようなものです。

「やぶきた」はお茶の品種

緑茶が入っている袋に「やぶきた」と書かれているのを見たことがある人は多いでしょう。「やぶきた」を商品名と思っている人もいるかもしれませんが、これはお茶の木の品種です。

そのため、お茶の袋に「やぶきた」と書いてある場合、やぶきた品種で作られたお茶だということが分かります。

味や香りのバランスはもちろん、育てやすさといった面でも、均質の緑茶を大量生産するのに向いている「やぶきた」は、全国の多くの茶園で育てられています。

代表的な品種

お茶は品種によって特徴があります。多くの茶園で作られている「やぶきた」はもちろんですが、生産量は少なくても魅力的な品種がたくさんあるんです。

例えば、鹿児島県での栽培が多い早生品種の「ゆたかみどり」や、華やかな香りが特徴的な「さやまかおり」、ミルクのようなコクを感じさせる「かなやみどり」、花粉症対策に注目されている「べにふうき」などがあります。

こうした品種以外にも、日本には在来種と呼ばれる雑種のお茶の木があります。種から育った実生の在来種は、長い年月をかけて地中に根をしっかり張って成長します。そのため、ミネラル分たっぷりの緑茶ができるんです。

Hojoでは、宇治茶では珍しい標高500m以上にある自然栽培茶園産の「宇治煎茶鷲峰山」や、すっきりした爽やかな香りが特徴の「月ヶ瀬在来煎茶」などを取り扱っています。従来の煎茶と比較して、余韻の長さや飲んだときの満足感が高いのが特徴です。

まとめ:緑茶の種類は製法や品種で分けられる

緑茶にはさまざまな種類があります。種類分けするときには、まず、製法で分けられます。例えば、煎茶・深蒸し煎茶・玉露・抹茶・ほうじ茶などです。

品種で分けることもできます。広く知られている「やぶきた」はもちろんですが、「ゆたかみどり」や「べにふうき」などもお茶の木の品種です。日本に古くから根付いている在来種も見逃せません。

同じ緑茶でも、どの品種の茶葉を使ってどんな製法で作られているかによって、味わいは全く違います。自分好みの緑茶を見つけるためにも、種類をよく知って選ぶのがおすすめです。

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