薪火と低温長時間で焙煎した緑色の焙じ茶

[2026.02.10] Written By

焙じ茶にはいろんな種類がありますが、原料、熱源、焙じ方にこだわることで、これまでに無い焙じ茶を作りました。
本商品は、無農薬無肥料栽培の都祁の一番茶を使った薪火焙じ茶です。私自身も生産者と共に、焙じ茶の生産と開発に携わりました。

https://hojotea.com/item/g49.htm

 

都祁の自然栽培煎茶の春1番茶を利用

焙じ茶の美味しさを決める重要な要素の1つが、余韻(コク)です。余韻があると香りに厚みが付与され、焙じ茶が非常に豊かで味わい深く感じられます。薪火焙茶を作るにあたり、長い余韻を求め、都祁の自然栽培による春摘み一番茶から作られた煎茶を原料に選びました。
この煎茶は無肥料で栽培されており、余韻が非常に長いお茶です。

熱源による焙煎の違い

同じようにお茶を焙じる場合でも、薪火、電気、ガスなど、熱源によって、味は大きく変化します。
これは料理とも通じる話で、肉や鰻を焼く際、炭火や薪火で直に焼くのと、ガスや電熱器で焼くのとでは、結果は明確に異なります。
多くの人が、炭火で直に焼けば美味しくなることを感覚的に理解していると思いますが、実は、直火ではなく鉄板を介した場合であっても、熱源が炭や薪か、ガスかによって、味は大きく変わります。
例えば、卵をフライパンで焼く場合、食材に炎が直接当たっていなくても、熱源が炭や薪か、ガスかによって、仕上がりははっきりと異なります。同じフライパン、同じ卵を使っていても、熱源の違いによって、卵焼きの味や香りは別物になります。
同様に、薪火や炭火で焙煎したお茶は、スッキリとした透明感のある味になりやすく、これは茶葉に直接炎が触れていなくても、焙煎に用いる熱源の性質が、味や香りに影響するためです。
私達が薪火にこだわって本商品を作ったのは、炭火や薪火という熱源でしか得られない味や香りを知っているからです。

薪の種類による味への影響

薪ストーブをお持ちの方であれば実感されていると思いますが、使用する薪の木の種類が異なると、暖かさの体感は大きく変わります。中でも、天然の広葉樹は身体を温める点で効果が高いことが知られています。
加えて、薪の違いは単に温まり方の違いにとどまらず、烏龍茶を焙煎した際の味の仕上がりにも影響することが、焙煎の現場ではよく認知されています。そのため、烏龍茶の焙煎に用いられる炭は、特定の広葉樹に限定して選ばれるのが一般的です。

今回、当社で薪火焙茶を製造するにあたり、生産者には天然の楢の木をご用意いただき、その楢の木の炎を用いて薪火焙茶を仕上げました。

焦がすのではなく熟成のための焙煎

薪火による焙煎という特徴に加え、本商品は烏龍茶の焙煎手法を応用した焙じ方を採用しています。一般的な日本の焙じ茶が、意図的に焦がす工程を含むのに対し、本商品では、低めの温度で長い時間をかけ、熱によってお茶をゆっくりと変化させ、熟成させることに重点を置いています。その結果、成分が穏やかに変化し、甘い香りが引き出されます。

例えるなら、烏龍茶の焙煎は、焼き菓子を時間をかけて焼き上げる工程に近い方法であり、日本の焙じ茶の焙煎は、パンをトーストするように短時間で強い加熱を行う工程に近いものです。

そのため、本商品は低めの温度を維持しながら、何時間も焙じ続けるという、非常に手間のかかる工程で仕上げています。烏龍茶の熟成という考え方を焙じ茶に取り入れたもので、一般的な焙じ茶とは設計思想が明確に異なります。

商品の名称は「軽焙」としていますが、これは焙煎が弱い、あるいは短時間で終えているという意味ではありません。焦がすことを目的とせず、低めの温度で長い時間をかけて焙煎することで、茶葉の表面の焦げを抑えつつ、内部をゆっくりと熟成・変化させていく焙煎度合いを指しています。その意味で、本商品では「軽焙」という名称を用いています。

外観と味わいの特徴

焙煎工程において焦がすことを目的としていないため、茶葉は緑色のままで、外観は煎茶そのものです。見た目だけでは焙じ茶とは分からず、低温焙煎された烏龍茶、例えば鉄観音や凍頂烏龍に近い外観をしています。

このお茶は、煎茶の持つ爽やかさと、焙煎したお茶に特有の乾燥フルーツや花を思わせる甘い香りの両方を併せ持っています。飲みやすく、食事にもデザートにも合わせやすいため、日常的に楽しみやすく、繰り返し飲みたくなるお茶です。

尚、今後、更に異なる焙煎方法のお茶も開発予定であり、薪火焙茶をシリーズ化したいと考えています。

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