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寒い時期にお茶を美味しくいれる方法
- [2012.12.27] Written By 北城 彰(Akira Hojo)
第53号 2012年12月27日発行
発酵茶を美味しくいれるには高い温度を維持すること
低めの温度で焼かれた焼き物の方が保温効果が高い
寒い季節になると、自然と緑茶よりも発酵茶が美味しく感じられます。発酵茶を淹れる上で重要なのは、熱い温度で淹れることです。周りの温度が低く、お茶の温度が下がりやすい今の季節、土製の陶器の方が高い温度を保持出来ます。
温度の冷え方は、表面積の大きさに比例します。多孔質であるほどに断熱効果が高く、温度が下がりにくく、逆に、ガラスのような表面がツルツルの素材は温度が下がりやすくなります。素材というのは、土の状態が最も表面積が大きく、焼く温度が高くなるにつれて粒子が溶け、表面積が小さくなります。
実は急須のサイズが保温効果に関係する
温度に関し、素材以上に重要なポイントは使用する茶器のサイズです。通常、サイズがが大きいほど冷めにくく、小さいほど短時間で温度が下がります。急須のサイズが大きいほど水と壁面との接地面積が小さく保温性能が高いため、冬場は少し大きめの急須を用いた方が理想的です。
私の場合、冬場は200cc位の急須を使用することにしております。
茶器をしっかりと予熱する
更に、お茶を淹れるときに大切なのが、茶器をしっかりと温めることです。沸騰水を縁一杯まで入れ、10秒間静置してください。完璧を求めた場合、2回湯通ししても良いくらいですが、湯が勿体ない気もします。
洗茶の本当の目的
烏龍茶、プーアル茶の場合、一般的に洗茶をします。洗茶とは茶葉に沸騰水を注ぎ、数秒後には湯を捨てます。これは汚いから洗浄しているのではなく、冷えてしまった茶葉の温度を高めるためです。非常に寒い日などは、2回洗茶をしても良いと思います。但しその場合、数秒以内に湯を捨ててください。ここまで徹底すれば、どんなに寒い地域でも熱々の香り高いお茶を淹れることが出来ます。
紅茶や緑茶も工夫茶の原理に基づいていれると美味しくはいる
但し、問題となるのは、紅茶と緑茶です。お客様から、今の時期紅茶が飲みたいが、温度が下がってしまうために美味しく淹れられないと言う話を良く聞きます。特に私が販売している商品の中でも、自然栽培系の緑茶の場合、高い温度で淹れないと香りが物足らなくなります。
紅茶や緑茶を淹れる際に重要なのは、一度、洗茶をすることです。紅茶や緑茶で洗茶というのはあまり馴染みがないと思います。しかし、これが思いの外上手くいきます。沸騰している湯を急須の半分くらいまで注ぎ入れ、間髪いれずに注ぎ出してください。この注ぎだしたお茶は捨てます。洗茶する際の湯の温度ですが緑茶も今の時期は沸騰水でも良いくらいです。洗茶により既に茶葉はしっとりとしているため、淹れる時間は従来よりも短くしてください。10秒くらいでも十分です。注ぎ入れる湯の量を調節し、出来るだけ短い時間で淹れてください。長くなると折角の湯が冷めてしまうため、茶葉の量をやや多めにすることで工夫式風に淹れると良いでしょう。
以下のビデオは宝瓶を使った工夫式の紅茶の淹れ方を紹介しております。
以上のポイントを頭に入れつつ、美味しいお茶をお楽しみください。
非常に冷え込みが厳しい今の季節、発酵度の高いお茶、火が強めに入っているお茶が特にお薦めです。
寒い時期に勧めのお茶
以下に寒い季節に私が好んで飲むお茶の一部を紹介いたします。
白鶯山古樹生茶 2008年
このお茶はこれまで何度も紹介しておりますが、リピート率が高くとても人気のあるお茶です。4年間の熟成により、密のような、乾燥フルーツのような甘い香りがします。何よりもお薦めなのは、コクの深さです。鉄分が多く、体を内部から温めてくれます。
宇治焙茶 鷲峰山
こちらもHOJOの定番になりつつあるお茶です。自然栽培のお茶から作られており、透き通るようなコクのある香りが特徴です。
創造力豊かなお客様は、このお茶でお茶漬けを作られているそうです。Facebookにて写真を見せて頂きましたが、見るからに美味しそうでした。
私も新年会のシメはこの焙じ茶と残り物の刺身などを合わせてお茶漬けにしたいと考えております。
鳳凰単叢烏龍茶
鳳凰単叢烏龍を試されたことがないお客様は意外に大勢いらっしゃいます。武夷岩茶と並び、烏龍茶のルーツとも言えるお茶で、私が知る限り、作るのに最も手間がかかっているお茶です。鳳凰単叢烏龍は「渋い」「苦い」という意見を大変多く聞きます。渋い苦いということは、そのお茶は夏に摘まれたお茶から作られていることを意味します。
夏摘みの鳳凰単叢烏龍の原料価格は非常に安いですが、その代わり苦いです。春摘みの鳳凰単叢烏龍茶は全く苦みがありません。
鳳凰単叢烏龍は非常に発酵度の高いお茶ゆえに、寒い季節に飲むとフルーツのような香りと深いコクにより、心まで温まります。未だ試されたことがない方は、まず最初に以下のお茶をお勧めします。
- 鳳凰烏崠蜜蘭香単叢
- 鳳凰烏崠蜜蘭香単叢 濃香
- 鳳凰烏崠蜜花香 濃香
また、少し変わったお茶としては、5年ビンテージの蜜蘭香があります。こちらは少し大人向けの香りです。
凍頂陳年老茶30年
秋よりこのお茶の品質を劇的に変えました。原料茶葉の質が良いため火を殆ど入れずに仕上げてあります。濃厚な乾燥フルーツのような香りは今の季節にピッタリです。
雲南古樹紅茶
この商品は一年中人気の紅茶です。ミネラルが豊富で体を内面から温めてくれます。コクが強く、香りに奥行きがあるため飲み始めると病み付きになります。
金螺
香りがローズのような個性派の紅茶です。渋味も苦みもなく、ミディアムボディのお茶です。私はこのお茶の香りがとても好きで、必ず常備しております。
清水謙氏作の野坂宝瓶を現在販売中です。
■発行責任者:北城 彰(株式会社HOJO代表者)
■発行元:お茶の専門店HOJO https://hojotea.com/
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