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昔ながらの伝統農法で作られた本玉露!コクの深さはキングオブ玉露
今年購入を決めた本玉露の茶園を視察しました。
玉露の色々な被覆方法
玉露は茶園に被覆をすることで作られますが、被覆の違いにより、出来上がるお茶の種類が異なります。
被覆とは、茶園に黒いシートや藁などを掛けることを言います。茶園を被覆すると、日光が遮られ、また、茶園の環境が劇的に変わるために、お茶が独特の香気と味を作り出します。被覆には幾つかの種類があります。
- 茶の木に直接被覆をしただけのものは「被せ茶」と呼ばれ、玉露の定義からは外れます。一般には寒冷紗が用いられ、出来上がったお茶はアミノ酸の旨味に富んだお茶になります。注:旨味=美味しいではありません。
- 次に、茶園にフレームを張り巡らせ、寒冷紗を掛けたタイプがあります。このタイプは茶の木と寒冷紗の間、つまりヘッドスペースがふんだんに確保されており、シートが黒いことから茶園の温度が高くなりがちです。
- 最後に、茶園を藁(わら)で上下左右共に囲い込んだのが、本玉露の茶園です。本玉露の場合、お茶の木と藁との隙間を極力狭くします。内部の温度は寒冷紗のタイプよりも低く、収穫時期も遅くにずれ込みます。
深いコクと持続性のある余韻が特徴の本玉露
2も3も玉露には代わりがないのですが、決定的に違うのは、本玉露の味と香りの奥深さです。「コク」、或いは、余韻の深さとでも表現するのが適切かもしれません。
何故、このような違いが生じるのでしょうか?農協の方と生産農家に詳細を聞かせて頂きました。本玉露の優れた品質の秘密は、被覆している「藁」にありました。
藁で被覆した場合、雨が降ると、雨は藁をしたたり地面に落ちます。藁には稲に送るためのミネラル分が大量に蓄積されているため、藁から落ちた水分にはミネラル分が多量に含まれます。「作りたての藁をかむと甘い」のは藁に含まれる成分が豊富なためだそうです。この論理からすると、リサイクルしている藁では目的を完全に果たすことが出来ません。1年目の藁が最高で、2年目、3年目になるにつれてその効果は低下していくそうです。
農家では一年目の新しい藁にこだわる必要があります。良い本玉露を生み出す「こも」が黄色い色をしております。本玉露が美味しいのは、地元ではよく知られているのですが、藁で「こも」を編むのは容易な作業ではありません。かと言って、購入した場合非常に高く、収入を圧迫します。農家では、自分で田んぼを作り、その田んぼから採れた藁を奥さんがこもに編み上げるそうです。
本玉露がより多くの時間をかけて成長する理由
藁で作られた被覆は、黒い色の寒冷紗と異なり、被覆室内の温度が上がりません。
このため、茶葉は時間をかけてゆっくりと成長することで、甘みも香りもより濃厚な玉露へと仕上がります。
矛盾した玉露の市場価格
ところで、本玉露の方が圧倒的に美味しいわけですが、値段は意外にも寒冷紗で被覆した方が高く売れることがあります。これが日本の茶業界のおかしなところで、早くに収穫されたお茶ほど良い値がつく場合があるためです。
玉露は「翡翠の滴」を意味する漢字により構成されております。(玉とは翡翠を指します。)これまで、お茶が貴重故に玉露と呼ばれるのかと思っておりましたが、どうやら、この「露」は藁からしたたり落ちる滴を指しているような気がします。
今ではとても貴重になった朝比奈の本玉露は、現在既に販売中です。
本玉露の茶園。上も下も横も藁で作られたこもで被覆されております。
尾村さん夫妻。奥様がこもを手作りされているそうです。尾村さんは手揉み茶の師範だそうです。
本玉露の茶園内部。実際にはもう少し暗めです。
此方は寒冷紗で被覆をした玉露園です。今殆どの茶園が此方のタイプです。
寒冷紗で被覆をした場合、茶園と被覆との間がかなりあいております。
農家の倉庫を見せて頂くと、古い藁と新しい藁がありました。黄色いのが今年の藁です。このような藁を使用することが美味しい玉露を生み出す源となります。
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