雲南省の自然栽培茶から特注で作った白毫銀針を発売

[2017.02.03] Written By

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白毫銀針は福建省を代表する白茶です。福建省の福州や福鼎周辺を中心に1000を超える白毫銀針の生産者が工場を構えております。
HOJOでは10年間にわたり、福州や福鼎に毎年通い続け、現地にて厳選して仕入れた商品を販売してきました。しかしながら、近年、以下の問題から良質の白毫銀針をこれまでの価格で仕入れることが困難になりつつ有ります。
そこで、考えたのが雲南省の自然栽培茶を用い、完全特注にて白毫銀針の生産を行うことです。標高2000mの茶園で収穫された自然栽培茶を用い、余韻が非常に長く、後味がとても強いお茶を開発しました。

福建省産の白茶が抱えている問題

値段の高騰

福建省では2010年頃より白茶は経年保存することで熟成できるという考えが普及しました。その結果、生産者は白茶を売り急ぐ必要が無くなり、売れ残ったお茶はビンテージ茶として更に高値で売られるようになりました。
これにより、白茶が投機の対象となり、お茶の値段が高騰しました。10年前は気軽に飲めた白茶が、近年では高級茶になりつつ有ります。高い値段を出して仕入を行っても良いのですが、値段の割に余韻が浅いため、消費者の視点からすると余り良い話ではありません。

農薬の問題

福建省産の白茶でも、高品質のお茶は国内を主要な市場としていることから、海外向けのお茶と異なり農薬の管理が殆ど管理されておりません。この為、品質的に良い品質のお茶が見つかっても、農薬面で仕入が出来ないという問題と常に向き合ってきました。
中国には有機栽培の白茶もありますが、中国の場合、有機茶園は認証を取得するのに数百万円相当のお金がかかります。当然小さな農家では有機認証は取得できません。この為、有機認証を取得した茶園は大規模生産をしている大手に限られ、彼らは投資を確実に回収するため、有機肥料・有機農薬を豊富に使用し、単位面積あたりの収穫量を増やそうとします。実際、有機・無機に関係無く、成長が早くなればなるほど、お茶の品質は低下します。私も多くの有機茶園をあたりましたが、余韻が浅く、味わいに立体感がないことから、有機茶園産のお茶が私の品質基準に適合することは希です。

雲南省でも昔から作られている白茶

実は白茶が作られているのは福建省だけではありません。白茶の歴史は他のどのお茶よりも長く、紀元前1000年頃には中国各地で現代の白茶の原型となるお茶が作られておりました。
白茶は雲南省においても昔から生産されているお茶です。雲南省というとプーアル茶や紅茶が有名ですが、雲南省では白茶の生産も行われております。ただし、雲南省における白茶は天日乾しで乾燥する伝統製法が用いられており、福建省の白茶とはやや異なる香りがします。

奥地へ行く程原料の質は上がり、加工のレベルが低下する傾向

雲南省で特徴的に見られる傾向は、町から離れた山村など、僻地へ行けば行く程に茶葉の品質がよくなります。特にミャンマーとの国境から50km内くらいの地域には無肥料無農薬の自然栽培茶園が多く存在しており、茶葉品質は極上です。余韻が非常に長く、後味が強く感じられる夢のような茶葉原料が入手できます。
しかしながら、僻地へ行くと言うことは同時に生産者の生産設備が不十分であったり、加工技術に問題があることが多く、折角の良い原料が不適切に加工されることが多く見られます。特に、摘み方の規準が、萎凋時のバラツキを生むため、茶摘みの段階から管理することが求められ、厳密な品質管理が必要です。

雲南方式ではなく福建方式で白毫銀針を生産

私は雲南省における良質な自然栽培茶園とは色々お付き合いがあるため、それら良質の原料をどう上手に加工するかが課題でした。また、従来の雲南省の製法で白茶を作った場合、天日で乾燥が行われます。白毫銀針を生産するためには福建省のように熱風で乾燥を行うことが重要でした。そこで、私のお付き合いのある生産者の中から、白茶生産に適合した設備を持つ工場を選び、白毫銀針の生産をするように交渉しました。彼らは福建方式の生産方法に詳しくないため、私が生産条件を細かく指導し、私が設定した数字条件に基づきお茶の生産をして貰いました。原料は、臨滄のミャンマーよりに位置する標高2000mの茶園産、3月摘みの1番茶、完全無農薬の自然栽培茶を原料とし、福建省と同じく、萎凋後に熱風にて乾燥しました。

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これまでにない深い余韻の白毫銀針が完成

結果、非常に満足の行くお茶が出来ました。自然栽培茶らしい、非常に長い余韻が特徴で、それでいて、香りに雑味が無く透明感のあるあまい香りがします。プーアル茶のような長い余韻にもかかわらず、福建省産の白茶のように上品な仕上がりです。福建省産の白毫銀針の茶葉は近年の傾向として翡翠色をしておりますが、今回仕上げた茶葉は部分的に褐色かかっております。これは、2016年産に関しては萎凋を長めに行ったためです。長時間の萎凋により、お茶は、よりマイルドでクリーミーな口当たりになります。福建省でも一昔前は味重視で萎凋を長く行っていたのですが、近年の傾向として、見た目が重要視されるようになったために、萎凋の時間が短縮されております。私の個人的好みに基づき2016年産は伝統製法で仕上げました。

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茶葉が褐色かかっているのは長期間の萎凋のため。これにより甘い香りとマイルドなな口当たりを最大限に引き上げました。

すぐに飲むのも良いですが、未開封のまま数年間熟成させることで、蜜やマスカット、桃のような甘い香りが形成されます。白茶は水出しにしても美味しく飲め、子供にも人気のお茶です。

今後継続的に生産できるかどうかは微妙

白毫銀針を生産するためには芽の部分だけを摘むわけですが、雲南省の少数民族はこの作業が慣れていないため、説得するのに非常に苦労しました。1日、400-500gの茶葉しか摘み取ることが出来ず、製茶すると、一人あたり100gしか作る事が出来ません。今回、茶摘みに大変な苦労があったため、「来年からは摘みたくない」と言われました。私としては、何としても説得して作ってもらう予定ですが、まだまだ先行きが不透明なお茶です。

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