- ホーム >
- お茶の種類
これまで数回に分けてジャスミン茶について特集してきましたが、今回はジャスミン茶がジャスミンの花の産地である広西壮族自治区横県の工場でどのように香り付けをされるのか説明したいと思います。
ジャスミン茶用の緑茶は春に仕入れ秋に着香
ジャスミン茶のベースとなるお茶は春に仕入れます。ジャスミン茶加工用にはあまり個性が強すぎない緑茶を使うことが大切です。個性が強すぎる、つまり、香りが強すぎた場合、ジャスミンの花の香りと拮抗してしまうため、ジャスミン茶加工用としては好ましくありません。私が仕入れているジャスミン茶は高級な部類に属するため、緑茶は春に仕入れる物の、夏まで保管され、夏以降の雨が少ない時期に収穫された質の高いジャスミンの花を用いて着香を行います。廉価なタイプのジャスミン茶の場合、春〜夏に収穫されたジャスミンの花を使って作られます。
緑茶に新鮮なジャスミンの花の香りをすわせる工程
ジャスミンの花は当日に収穫された花が用いられます。着香を行う工場では、その日の生産スケジュールに基づいてジャスミンの花を仕入れます。花は着香目的ゆえ、仕入れすぎた場合、無駄になってしまうため、仕入れは仲買人を通じて行われます。花は、開花するまでは緑茶の上に敷かれ、開花が始まると、定期的に攪拌が行われます。攪拌は、花と緑茶を掬い上げ、空気中で拡散します。ジャスミンの花は開花する際に熱を放つため、この方法で攪拌を行わないと、熱によって花と緑茶が劣化します。
一晩を通じて、混合と攪拌が繰り返され、それによって緑茶はジャスミンの花の香りを吸収します。着香が終了後は、篩によって、ジャスミンの花は緑茶と分離されます。翌日回収された既に萎れてしまったジャスミンの花は、廉価なグレードのジャスミン茶の着香用にリサイクルされます。緑茶はこの後、低温にて乾燥が行われ、次回の着香に備え、水分が下げられます。この際の乾燥技術ですが、生産者によってバラツキがあり、それがジャスミン茶の質を左右します。当然高い温度で乾燥してしまうと、水分ばかりかジャスミンの香りまで飛んでしまいます。
最初にジャスミンの花自体の選別をします。当日に咲かないような小さな蕾は除去されます。
花が開き始めるまで、夕方から夜にかけて、茶葉の上にジャスミンの花が敷き詰められます。
緑茶と混ぜられたジャスミンの花
着香終了後ジャスミンの花は緑茶から分離されます。
廉価なジャスミン茶はリサイクルの花で着香を行う場合もあります。
意外に知らないジャスミン茶に使われるモクレンの花
意外に知られていない事実ですが、ジャスミン茶の着香の第1段階はモクレン(マグノリア)の花で着香が行われます。モクレンの花を用いる目的ですが、緑茶特有の香り個性を消すためです。伝統的にジャスミン茶にはモクレンが使われているため、仄かなモクレンの香りがあることで、「ジャスミン茶らしい香り」に仕上がります。ただ、生産者によっては、モクレンを多く用いすぎる場合があり、その様に作られたジャスミン茶は酸っぱいような特有の香りを放ちます。私が仕入れているジャスミン茶は、極少量のモクレンの花を用いて処理をしており、言われなければモクレンの花が使われていることが分からないレベルに留めております。ジャスミン茶も種類によってはモクレンを使わない作り方があります。来年はモクレンを使わないジャスミン茶も作ってみようと思っております。
モクレン(マグノリアの花):この花の香りも素晴らしいです!
着香の回数と堤花と呼ばれる大事な工程が大事
ジャスミン生花による着香はその回数が多いほど香りが強くなります。高級なジャスミン茶になればなるほど、何回も(幾晩も)着香を繰り返して作られます。ただし、前述したように、乾燥を上手に行わない場合、折角回数を増しても良い香りに仕上がりません。通常、ジャスミンの花との混合→乾燥の順番で作業が進められますが、高いグレードになると、最後にジャスミンの花と混ぜた後、全く、乾燥を行わない「堤花」という仕上げ方をします。この方法だと、それ以降乾燥を行わないため、新鮮な花の香りが際立ちます。私はコストをかけても堤花を行うようにしております。
この記事に関連するHOJO Teaの商品
1,Twitterをフォローする。2,FaceBookで「いいね!」を押す。3,メールマガジンに登録する。という3つの方法で、お茶に関する最新情報をキャッチすることができます。今すぐ下のツイッターフォローボタンや「いいね!」をクリック!
- メールマガジン登録で無料サンプルをもらおう!
- メールマガジンにご登録いただくと無料のサンプル茶葉のプレゼントや希少商品の先行購入など様々な特典がございます。ソーシャルメディアの購読だけでなく、メールマガジンへのご登録もお忘れなく!
- 東山生茶 2024の散茶を発売
- 東山生茶 2024の散茶を発売しました。実は、東山の散茶を販売するのは今回が初めてです。 https://hojotea.com/item/d63.htm 雲南省臨滄市鎮康県の高山地帯で収穫された老樹茶 東山生茶2024 …
- 鳳凰単叢老欉蜜蘭香 2023を発売
- 鳳凰単叢老欉蜜蘭香2023を発売しました。 https://hojotea.com/item/houou.htm 鳳凰単叢は広東省潮州市を代表する烏龍茶で、老欉は樹齢の高い茶樹から収穫された茶葉を使ったお茶を指します。 …
最新の記事 NEW ARTICLES
- 東山生茶 2024の散茶を発売
- 東山生茶 2024の散茶を発売しました。実は、東山の散茶を販売するのは今回が初めてです。 https://hojotea.com/item/d63.htm 雲南省臨滄市鎮康県の高山地帯で収穫された老樹茶 東山生茶2024 …
- なぜお茶は渋いのか?渋味の原因と仕組みを紐解く
- お茶には渋味を全く感じないものもあれば、非常に強い渋味を持つものもあります。では、この渋味の原因は何なのでしょうか?ここでは、渋味の原因とそのメカニズムについて解説します。 渋味の原因 渋味は、お茶の成分が口腔内のタンパ …
- 鳳凰単叢老欉蜜蘭香 2023を発売
- 鳳凰単叢老欉蜜蘭香2023を発売しました。 https://hojotea.com/item/houou.htm 鳳凰単叢は広東省潮州市を代表する烏龍茶で、老欉は樹齢の高い茶樹から収穫された茶葉を使ったお茶を指します。 …
- 湯を沸かす熱源によって変わるお茶の味香り
- お茶を淹れる際に使うお湯ですが、やかんの材質によってお湯の味が変わることはよく知られておりますが、実は、やかんの材質以外に、湯を沸かす熱源の種類によっても味が大きく変化することをご存じでしょうか? 同じヤカンでも、熱源に …
- 棠梨山古樹熟茶2023を発売
- 棠梨山古樹熟茶2023年(とくりさん)を発売しました。 https://hojotea.com/item/d155.htm 棠梨山は中国語でTan Li Shanと発音し、永徳県の中心地である徳党鎮の北側斜面に位置する山 …
- 東山生茶・白毫銀針・茉莉銀針の3種類のお茶を発売
- 東山生茶2023、白毫銀針、茉莉銀針の3種類のお茶を発売しました。 東山生茶2023 https://hojotea.com/item/d63.htm 東山生茶2023を発売しました。東山生茶は当店でも非常に人気の高いお …
- 大雪山野生茶(生茶)2023年・2024年産 同時発売
- 大雪山野生生茶の2023年産と2024年産を発売しました。 2023年産については、マレーシアの倉庫で1年間熟成しております。 https://hojotea.com/item/d27.htm 雲南省でも入 …
- 佐渡無名異焼作家の渡辺陶三作:野坂粗土還元急須が入荷
- 野坂粗土還元焼成の茶器を発売しました。 今回入荷したモデルは、茶壺(後手急須)、フリーカップ、マグカップの3点です。 https://hojotea.com/item/tozo_nosaka_reduction.htm …
- 佐渡島の渡辺陶三製作:野坂粗土酸化焼成の茶器が入荷
- 佐渡島の陶芸家、渡辺陶三氏による「野坂粗土酸化焼成」の茶器を発売いたしました。 https://hojotea.com/item/tozo_nosaka.htm 野坂は佐渡島の沢根にある地区名で、相川金山に …
- 2300mの野放茶園産、高山白茶を発売
- 高山白茶を発売しました。 このお茶の茶園には、次の2つの特徴があります。 1. 標高2200-2300mに位置する茶園 2. 完全に野生化したお茶の木で構成される野放茶園 非常に理想的な環境ゆえに、お茶の品質も素晴らしく …
- HOJO通販新着
- 特集
- メールマガジンバックナンバー
- お茶の種類
- お茶の産地
- 茶器・急須
- お茶のコラム-雑学-歴史-文化
- お茶を楽しむ
- お茶の作り方-製法
- お茶の品質を決める各種要素
- お茶の成分と効能
- お茶の安心と安全
- 食品
- お茶ビジネスの運営・記録
- 趣味活動
- お茶のランキング-おすすめ
- お茶に関する動画
- お茶に関するQ&A
- メディア掲載
- an anにてジャスミンパールが紹介されました。
- an an 「マガジンハウス出版」 No.1865、2013年7月24日号「夏のお取り寄せ」特集で弊社のジャスミンパールが紹介されました。
- マレーシアの全国紙 “Star Newspaper”に掲載して貰いました。
- 先日、マレーシアの全国紙「Star Newspaper」でHOJOの特集をしてくれました。 Starはマレーシアで最も購読数の多い新聞で、マレーシアのメディアでは最も影響力の大きな新聞です。 新聞の内容は、茶器によりお茶 …
住所:Lot No. T-215, 3rd Floor, Mid Valley City, Lingkaran Syed Putra 59200 Kuala Lumpur