白茶なのにプーアル生茶と烏龍茶の個性!无量山古樹白茶 を販売開始

[2019.01.18] Written By

雲南省南西部に位置する无量山産(むりょうさん)の自然栽培茶を使った白茶を発売しました。加工法を工夫することで、今までの白茶とは一線を画する面白いお茶が出来ました。味香りが非常に個性的で、白茶ファンだけでなく、プーアル生茶ファンにも強くお勧めしたいお茶です。

標高2100m以上の茶園にある老木から収穫

本商品は私が約2ヶ月雲南省に滞在した間、生産現場にて自ら生産工程を監督して作りあげました。お茶の産地は雲南省の南西部に位置する无量山の北部です。お茶は標高が高いほど品質が良くなることから、標高2100-2200mの茶園を選びました。また、お茶の樹齢も品質に強く影響します。同じ条件のお茶の木であれば、樹齢が高くなるほどに成長速度が遅くなり質が良くなります。无量山古樹白茶用の原料には100〜200歳を超える老木を選びました。それゆえに茶葉は細胞密度が高く、触るとゴムのように弾力がありました。私は経験的に、お茶の品質の優劣を評価するには生の茶葉の香りを嗅ぐのが一番分かりやすいと思っております。良い品質の茶葉は花やフルーツを連想する、甘く濃い香りが感じられます。逆に質の低い茶葉は青い植物系の香りがします。无量山産の原料茶葉は非常に甘い香りを放っており、まるでフルーツのようでした。

強い蜜香がする茶葉を使用

无量山のお茶が生育していた環境は半ば野生化しており、一言で表すなら「藪」のようでした。お茶の木は他の草木に取り囲まれる状態で自生しており、無農薬であることから各種昆虫類も多く観察されました。このような環境に生育したお茶の特徴として、茶葉からはマスカットのような香りが感じられます。(中国では蜜香と表現します。)ウンカをはじめとする昆虫に汁を吸われたお茶の葉は、昆虫が嫌がる物質(テルペン類)を生合成するのですが、不思議にもこの物質はフルーツの香り成分と同じで人間にとってはむしろ良い香りとして感じられます。无量山の茶葉も、収穫直後の生の茶葉からは強いマスカットの香りがしておりました。また、白茶に加工したあとも、茶葉からはマスカットの香り(マスカテルフレーバー)が感じられました。

餅茶に加工するために、水蒸気をあて、乾燥したことで現時点では蜜の香りは一時的に鳴りを潜めてしまい、あまり感じられなくなりました。しかし、暫く保存することで再び蜜香が戻ってくると思われます。直ぐに飲んでも美味しいお茶ですが、数年寝かすことで熟成したワインのような甘い香りが高まり、華やかな香りが形成されると思います。

白茶は熟成により香りが豊に

近年では白茶をプーアル茶のように熟成して楽しむのがブームになりつつ有ります。熟成方法には、様々なやり方がありますが、私が各種実験をした結果、最も理想的に白茶を熟成するには、出荷時の袋のまま最初の数年間は無酸素で熟成したのち、

A: その後は熟成を早めるために開封して酸素の存在化で熟成する方法

B: クリーンな香りを楽しみたい場合、継続的に無酸素で熟成する方法

がお勧めです。因みに、ワインの熟成はBに相当します。

大事なのは最初の数年は無酸素の状態で保存することです。ただし、長期間無酸素で熟成した場合、香りがこもってしまうため、開封後、1-2週間は茶葉を空気に触れさせることで空気酸化を促進させ、香りを高める必要があります。

白茶には珍しい自然乾燥法で餅茶を作る事で滑らかな味に!

无量山古樹白茶は円形の餅茶に加工しました。あまり知られておりませんが、圧縮作業の各種条件はプーアル茶や白茶をはじめとする餅茶の香りや味などの基本品質に多大な影響を与えます。したがって、圧縮業者の選定は勿論、加湿方法や乾燥方法などについては深くこだわる必要があります。

作業の流れとしては、散茶の状態の白茶に蒸気をあて、茶葉を軟らかくした後、加圧します。成形された餅茶は水分を多く含むため、元の茶葉と同じ水分に戻るまで数日かけて乾燥する必要があります。乾燥方法には、熱風、低温の熱風、天日、日陰干しなど様々な方法があります。白茶の乾燥については、低めの温度での熱風乾燥が一般的でした。酵素が生きている白茶の場合、熱風で乾燥した方が花のような華やかな香りを維持できるためです。しかし、今回、无量山古樹白茶を餅茶に加工した際には、敢えて日陰干しを選びました。この方法を採ることで、乾燥期間中に僅かな酵素発酵が起こります。この発酵により、お茶が味がより滑らかに変化します。当初から自然乾燥を予定していたため、无量山古樹白茶は微発酵で仕上げ、乾燥時の酵素発酵が加わることで、丁度良い発酵度に仕上がるように調整しました。この方法を導入したことで、これまでの白茶とはかなり雰囲気の異なる味香りの白茶が出来ました。

フルーツの香りで始まり花の香りで終わるお茶

飲んだときの滑らかさや、優しい味わいはプーアル生茶に非常に似ておりますが、飲み終わった後に後を引く香りは清香タイプの烏龍茶のようです。口に含んだときに仄かにドライアプリコット、プルーン、ブドウ、干し柿などを連想するフルーティな香りがしますが、飲み終わった後に喉からフローラル系の香りが立ち上り、暫く香りの余韻を楽しむことが出来ます。味に関しても、コクが強く、厚みがあり、後味が強く感じられます。香りと味のバランスが取れたとても愛すべきお茶だと思います。個人的に、白茶ファンだけでなく、プーアル茶ファンに是非ともお勧めしたいお茶だと思います。

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