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枝ガレは自然栽培のお茶の木にとって必要な自浄作用
- [2019.07.14] Written By 北城 彰(Akira Hojo)
日本の茶園の場合、お茶の木には茶葉がびっしりとついており、木は列を成して植えられております。私はこの仕事を始めるまでは、茶の木というのはそう言うものだと思っておりました。しかし、初めて雲南省に行った時、お茶の木を見てその違いに驚きました。
中国の雲南省や広東省潮州の鳳凰鎮などへ行くと、お茶の木は果物の木のように大きく、ゆったりと一定の間隔で生えております。また、半野生化したような自然栽培茶園になると、木のサイズに対して葉の数が非常に少なく、「枯れないだろうか?」と思わずにいられないほどです。
雲南省では、お茶は仕立て方が特殊なのでしょうか?
収穫量を増やすために、もっとお茶の木を増やしたら、どうなるのでしょう?
実は、これら雲南省の茶園には極めて興味深い自然の仕組みがあります。
お茶の木は生態系に適応するために自然淘汰する
雲南省でも若い木の茶園の多くは比較的高密度にお茶の木が植えられています。雲南省の山間部の茶園は日本のように枝を落とさないため、お茶の木は大きく成長し、「このまま成長し続けたら人も入れないような藪状態になるのでは?」と想像せずにはいられませんでした。ただ、実際、樹齢が古い茶園へ行くと木と木の間には余裕があります。何故なのでしょう?
以前、自然栽培を徹底している農家の人に質問したことがあります。
私「木がある程度大きくなったら、適度に間引くのですか?」
この質問に対して、帰ってきた回答はある意味私の想像を反しておりました。
彼曰く「木が大きくなるにつれて小さなお茶の木は勝手に枯れてゆくからほっとけばよい」
限られた窒素源しかない環境下では、お茶の木は自然淘汰され、強いお茶の木だけが生き残るというわけです。
当然、そこで窒素肥料や動物性の堆肥を与えれば、枯れることなく、どの木も大きくなるでしょうが、それは同時にお茶の木を弱らせ、品質の低いお茶になります。メタボ化した人間が健康面で弱くなるのと同じかと推察します。
お茶の木は生態系に適応するために過剰な枝を自ら枯らす
日本でも窒素肥料を与えず草木由来の堆肥のみでお茶を作っている自然栽培農家があります。彼らの茶園を訪問すると、よく目にするのが、部分的な枝ガレ現象です。まるで10円ハゲのように、茶園の所々の枝が枯れ木の枝が露出しております。枝ガレはある意味、窒素不足を示唆しており、お茶農家としてはこれを見たら、心落ち着かないのではと察します。
雲南省の自然栽培茶園でも、若いお茶の木は沢山の枝を付けてすくすくと成長するのですが、ある程度の樹齢になると、やはり枝ガレを起こします。しかし、枝ガレを起こしたからと言って、お茶の木本体が枯れるわけではありません。
枝ガレを別の角度から見ると、実はこれはお茶の木にとって、自浄作用というか、環境に適応するための調節に過ぎないように思えて来ます。
葉の目的は光合成を行うことです。無肥料の茶園の場合、環境中から得られる窒素は限られており、お茶の木は極めてゆっくりと生長するため、光合成を活発に行う必要がありません。この為、茶葉は小さく、葉緑素も少なくお茶の葉は黄色〜黄緑色をしております。更に、自然環境中から得られる窒素源が限られているため、収支を合わせるため、お茶の木は不要な枝を枯らすという行動に出ます。
現地の農家でもその辺は良く心得ており、枯れようが、葉を減らそうが余り気にしておりません。不思議なことに、枝の数を減らし、葉の総数を減らしたお茶の木は、何百年も生き続けます。逆に、収穫量を増やそうと、肥料を与えると、茶葉の数は急激に増えますが、お茶の木は弱り、数百年の命が突然終わったりもします。
巨木化した老木は一定の間隔を置いて悠然と生き続けております。
健康的な茶葉は濃い後味
自然淘汰と自らの枝ガレによって、シェイプアップしたお茶の木は、見た目はみすぼらしいですが、実は非常に強く、茶葉一つをとっても非常にしっかりとしております。
肥料栽培のお茶の葉は、手で強く揉むと、ボロボロになり、粉だらけになります。それに対して、少ない枝と茶葉の自然栽培茶園のお茶は、同じように揉んでもまったく崩れず、粉がでません。
細胞の一つ一つが非常に小さく、細胞密度が高いために、ゴムのように弾力性があります。このようなお茶は、後味が非常に濃く、強く透き通るような香りがします。
健康なお茶の木は、ポリフェノールを沢山有するため、私達の健康への機能性も大いに期待できます。
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