2018年産の武家寨 プーアル生茶を発売しました。このお茶は2018年に作ったのですが、より個性を際立たせるために2年間熟成をしました。熟成させたことで乾燥フルーツ系の甘い香りが強く感じられるようになりました。

標高2000mの自然栽培のお茶

武家寨(中国語でウージァツアイ)は中国雲南省の臨滄市南西部に位置する小村です。寨という文字は小村を意味します。
茶園は2000m以上の標高に位置し、日当たりの良い東向きのスロープに位置しております。武家寨は鳴鳳山と並び、臨滄の中でも非常に良いお茶が収穫される地域として知られております。
お茶の木は数百歳の樹齢の老木で構成されており、無農薬、無肥料、無剪定で管理されております。いわゆる日本の茶園とは全く異なり、お茶の木1本1本が独立して植えられております。何百年にもわたり、お茶の木に手をかけて無いため、個々の木が山の木のように自然な状態に維持されております。

このようなお茶の木の場合、お茶はゆっくりと時間をかけて成長するため、細胞が密になり、茶葉は豊富にポリフェノールやミネラルを含みます。結果、後味に厚みがあり、香りに重さが感じられ、お茶を飲んだとき香りが体の奥に落ちて行くような感覚を感じます。

低温殺青で製茶したプーアル茶

殺青の目的は熱をかけることで、タンパク質である酵素を失活させることです。酵素を止めることで、その後の工程においてお茶が発酵(酸化酵素の介在により酸化)しないようにします。
ただ失活するだけなら、高い温度をかければより効率的に酵素は止まります。ただし、高い温度を加えると、香りの酸化や焦げが生じるため、お茶の素材が持つ本来の香りが失われます。
逆に低い温度で殺青しようとした場合、茶葉内部の温度がゆっくりと上昇するため、酵素が活性化し、作業中に酸化(発酵)が急激に進んでしまうことがあります。この為、低温殺青は香りの点では理想ですが、非常に制御が難しく、作業のやり方だけで無く、設備の設計に関しても最適化する必要があります。

2018年は低温殺青を導入した最初の年でした。私自身、作業に携わり、火力のの調整やお茶をひっくり返す速度などを繰り返し実験することで、最適な作業条件を見極めました。

低温で殺青した本商品は、香りが濃く感じられ、味に関しても口当たりが柔らかく、豊に感じられます。低温殺青のお茶はまた、熟成幅が大きいことも特徴です。

熟成により形成された甘い香り

本商品は2018年に製茶しましたが、餅茶に加工せず、散茶の状態にて現在まで保管し、適度な熟成を加えました。
既に2年半が経過したことで熟成が進み、乾燥したフルーツやサトウキビ、蜂蜜を連想するような甘い香りが感じられます。
液体は非常にやわらかく、滑らかで、濃い後味ゆえに、体の奥底に染み入るような感覚がします。甘い味わいと共に、心地良い仄かな苦味と、また同時に持続性のある甘味を呈します。

現時点でも十分に飲みごたえがあると思いますが、更に数年間か、それ以上熟成するのも良いと思います。更に、熟成を進めたい場合は、未開封のまま、出来るだけ暖かい場所にて保管してください。保管環境の温度が高い程熟成は早く進みます。尚、HOJOではお茶を無酸素包装しているため、開封しない限り、品質劣化の心配はございません。

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